「ご提案」はビジネスシーンでよく見聞きする言葉だと思いますが、正しく理解していますか?敬語の「ご」が付いていますが、自分の行為に対して使うことができるのでしょうか?またより丁寧な敬語にするにはどうすればいいのでしょうか?今回は「ご提案」の意味と使い方を徹底解説していきます。
「ご提案」の意味は「ある考えや案を提出すること。また、その議案」です。 同じ読みの熟語に「定案」がありますが、これは「定まった案」という意味です。
「ご提案」には敬語を表す接頭語「ご」が付いています。 接頭語「ご」は、使い方によって、尊敬語(目上の人の行為をうやまう)、謙譲語(目上の人に対する自分の行為をへりくだる)、丁寧語(話し相手に対して敬意を示す)の3種類のどれにでもなりえます。 提案するのが目上の立場の他人ならば尊敬語ですし、提案するのが自分ならば謙譲語、提案を名詞として使っていれば丁寧語です。
よって、「ご提案」は社内の上司や社外の取引先など目上の人に対する自分の行為に使うことができます。 尊敬語なのに「ご」を自分の行為に対して使っていいのか?と心配している人が多く見受けられますが、自分に対して「ご提案」は使うことが可能です。 「ご」=尊敬語、と誤解している人が多いので注意しましょう。
「ご提案いたします」は自分が上司や取引先、顧客などに意見や議案を提出するときに使います。 提案するのは自分なので、接頭語「ご」は謙譲語です。 「いたす」は「する」の謙譲語です。 「提案」という1つの言葉に対して「ご」と「いたす」の2つの謙譲語で修飾しているので二重敬語と解釈することも可能です。 しかし、「ご〜いたす」「ご〜いたします」という表現は慣習的によく使われるので、現代では正しい謙譲表現と認識されています。 二重敬語が気になる方は、 ・ご提案します ・提案いたします とすると、完全に二重敬語ではなくなります。 「ご提案いたします」の代わりに「ご提案申し上げます」を使ってもいいでしょう。 「申し上げる」は「言う」の謙譲語で、「お〜申し上げます」で謙譲表現となります。
例文
「ご提案させていただきます」は大変丁寧な日本語に聞こえるのですが、厳密には間違った日本語なのであまり使用しない方がよいでしょう。 「いただく」は「もらう」の謙譲語なので、「ご提案させていただきます」は「提案させてもらいます」という意味です。 「させていただく」という表現を使うには2つの条件があります。 ①行為の対象者からの許可があること ②その行為をした結果、こちら側に恩恵があること の2つです。 提案するときはわざわざ相手の許可は取りませんし、提案した結果こちら側に恩恵があると考えるのは不自然ですよね。 お店などでお客様の忘れ物を捨てる際に「こちらのお忘れ物は処分させていただきます」などと使うのが適当です。 客の物を捨てるには許可が必要ですし、捨てた結果お店が片付くという恩恵がありますよね。 しかし、ほとんど人はそこまで考えて「ご提案させていただきます」を使用していません。単に謙遜の意味合いを強めるために「いただく」を使っています。実際に使用しても相手に悪い印象はないでしょう。絶対に使用すべきではない、ということはありませんが、間違った日本語なので「ご提案いたします」を使うのがベターでしょう。
「ご提案なのですが」は提案の話題を切り出すときに使います。基本的にはメールではなく口語で使います。 「ご提案なのですが」は、提案しているのはこちら側なので謙譲語と解釈することもできますが、名詞として使っているので丁寧語と解釈する方が自然です。 どちらにせよ、「ご提案なのですが」は正しい敬語表現となります。 「ご提案なのですが」は「ご提案があります」「ご提案がございます」などと言い換えてもよいでしょう。
例文
「ご提案をご用意いたしました」は文字通り「提案を用意しました」の意味になります。 「ご提案をご用意いたしました」は上記で紹介した「ご提案なのですが」「ご用意があります」などと同じように使うことができます。 「ご」が2回使われているから二重敬語?と思う人もいるかもしれませんが、二重敬語ではありません。 二重敬語とは、同じ語に対して複数の同じ種類の敬語で修飾することを指します。
と考えるのが自然なので、二重敬語にはあたりません。 しかしながら、2回連続で「ご」が使われていてクドいと感じる人もいるかもしれません。 その場合は「ご提案を用意いたしました」としてもよいでしょう。
「ご提案がございましたら〜」は相手に提案を求める依頼表現です。
など色々な言葉を後に続けることが可能です。 単に「ご提案ください」ということも可能です。 より丁寧な依頼表現には、
などがあります。 相手が提案するので、「ご提案がございましたら」の「ご」は尊敬語になります。
「ご提案いただいた内容で」は「提案してもらった内容で」という意味です。 「ご提案いただきました内容で」とするとより丁寧です。 「ご提案いただいた通り」なども同じように使うことができます。
例文
目上の人の提案に同意する場合は「ご提案に賛成です」というフレーズが使えます。 「ご提案に賛成でございます」とするとより丁寧になります。 言い換えには
などがあります。 「支持」「同意」という言葉は少し上から目線に聞こえる場合があるので注意です。 逆に反対のときは「賛成いたしかねます」と言います。 「せっかくのご提案ですが〜」と言うこともできます。
例文
相手の提案に対してお礼を言う場合は「ご提案ありがとうございます」を使います。 この「ご」は尊敬語です。 より丁寧な感謝の表現には、
などがあります。
「ご提案の件」は、すでに提案してもらったことに対して何かしらの対応するときに使う言い回しです。 「ご提案の件」単体でメールの件名にすることもできます。
などの形で、相手の提案の話題を切り出すときに使用されます。
例文
提案書資料に「ご提案書」と記入するのは正しいのでしょうか? 接頭語「ご」を丁寧語または謙譲語と解釈すれば、自分が提案している側ですが「ご提案書」と記入することは誤りではありません。 しかし、「ご」=尊敬語と勘違いしている人は現在でも多くいます。 そのような人たちからすると、自分が提案しているのに「ご提案書」って変だなーと思われるかもしれません。 なので、「提案書」と記入するのが無難かもしれません。
1. 件名 「◯◯のご提案」と案内する内容を明記すること 2. 先方の会社名・部署名・氏名 こちらはビジネスメールを書くときの常識。部署がわからないときは省略可。名前がわからないときは「担当者様」とかく。 3.挨拶 「いつもお世話になっております」が定番。はじめてメールする場合は「突然のご連絡失礼いたします」「はじめまして」などと書く 4. 自分の会社名と氏名 こちらもビジネスメールでは常識 5. 提案内容 ①提案する内容の説明、②相手の会社へのメリット、③実績 を端的に書く。長いメールはそれだけで読む気がなくなるので注意 6. 末文 提案する場合は、「何卒ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます」がよいでしょう。 7.名前 最後に苗字だけ記入するのもビジネスメールのマナー
《提案メールの例》 新規アフィリエイト・プログラムのご案内 株式会社ABCD 担当者様 突然のご連絡失礼いたします。 株式会社EFGのアレクサンダーと申します。 貴社のウェブサイトを拝見しまして、ご連絡させていただきました。 弊社のアフィリエイトプログラムをご提案させていただきたく存じます。 弊社アフィリエイトプログラムの特徴は、なんといっても収益性の高さです。どの競合様よりも高単価でご提供させていただいています。 また、収益の振込も月末締め翌月末払いとなっており、ご好評いただいております。 弊社アフィリエイトは現在約100のメディア事業様にご導入いただいております。 一度貴社にてお打合せさせていだくことは可能でしょうか。 何卒よろしくお願いいたします。 アレキサンダー
「ご提案」の類語には「ご提示」があります。 「提示」とは「相手に差し出してみせること、考えなどを相手に示すこと」を意味します。 「ご提示ください」とは、「お見せください、考えを示してください」という意味になります。
例文
「ごていじ」は「ご呈示」と書くことがあります。 「ご呈示」は物質的なもの(触ったり見たりできるもの)を見せるときにのみ使います。 しかし、その意味は「ご提示」に内包されているので、「ご呈示」をわざわざ使用する必要はなく、あまり見かけることが少ないでしょう。
「申し出る」は「希望・要求・意見などを)進んで言って出る」「相手に自らの意図を伝える」という意味です。 「申し出」とは「申し出ること。また、その内容」です。 「お申し出」の「お」は尊敬語で、相手の申し出に対して使います。
例文
「打診」の意味は「相手に働きかけ、その反応によって相手の意向を探ること」です。 相手に意見を求めたり、話を持ちかけることを表します。中立的な立場から相手の意向を探ることなので、相手から納得を得たり、好ましい答えをもらえるかどうかははっきりとしません。 「打診」は、患者の体の調子を確認するために必要となる診察方法です。元々は医療用語として使われていましたが、だんだんと意味が広がり一般的に使われるようになりました。
例文
その他にも
などが類語としてあります。
「(正式な)提案」を意味する英語は「proposal」です。 「提案する」は、
です。
Let me propose solutions to your product's problems.
貴社商品の問題点への解決方法をご提案いたします。
形式張らない提案は「 suggestion」という英語になります。 「それとなく言うこと」「おすすめする」くらいのニュアンスで使うことができます。 動詞は、
となります。
I'd like to suggest that we start as early as possible.
できるだけ早くはじめることをご提案いたします。
科学的に正しい英語勉強法
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正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。 タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。 イラストや例文などが満載なので、これを機会にスラング英語をマスターしちゃいましょう!
「ご提案」の意味と使い方はご理解いただけましたか? 「ご提案」の要点を下記にまとめておきます。 ✔「ご提案」の意味は「ある考えを提出すること」 ✔「ご提案」は目上に対する自分の行為にも使える ✔「ご提案」の類語は「ご提示」 ✔「ご提案」の英語は「proposal」「suggestion」