「ご提供」という言葉を正しく使えていますか?「ご提供」は「ご提供いたします」「ご提供いただく」「ご提供くださる」などの形で使われます。「ご提供」は敬語の「ご」が付いていますが自分に対して使うことはできるのでしょうか?また二重敬語にあたるのでしょうか?「ご提供」の意味と使い方、敬語、類語、英語を徹底解説します’!
「提供」の意味は「他者の役に立てるために、自分のもつお金や技術、商品などを差し出して使ってもらうこと」を指します。 「情報を提供する」「オフィスを会場として提供する」「臓器提供」などの言い回しで使用されます。 この差し出すという意味合いから転じて、「企業がテレビやラジオの放送で広告費を払って広告主になる」という意味でも使われます。 「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします」というフレーズを聞いたことがある人が多いと思います。
「ご提供」には敬語を表す接頭語「ご」が付いています。 接頭語「ご」は、使い方によって、尊敬語(目上の人の行為をうやまう)、謙譲語(目上の人に対する自分の行為をへりくだる)、丁寧語(話し相手に対して敬意を示す)の3種類のどれにでもなりえます。 提供するのが他人ならば尊敬語ですし、提供するのが自分ならば謙譲語、提供を名詞として使っていれば丁寧語です。 「ご」=尊敬語、と誤解している人が多いので注意しましょう。 「ご」を謙譲語として使えば、自分の行為に対しても使用できるのです。
「ご提供」は敬語かつ堅い語ですのでビジネスシーンで使われます。 「ご提供」は販売や営業などの接客の場面で使用することが多いです。 「サンプルをご提供させていただきます」などを使います。 「サービスのご提供」「資料のご提供」などの文言で使用されることもあります。 「ご提供」という言葉は敬語表現が多く、中には二重敬語のものもあるので注意が必要です。 「ご提供」の敬語表現について解説していきます。
「ご提供いたします」に関しては、 ①自分の行為なのに「ご」を使ってもいいのか? ②「ご」「いたす」はともに謙譲語だが、二重敬語にはならないのか? の2つの疑問を持たれる方が多いです。 ①つ目に関しては、上記の接頭語の解説ですでに触れました。 「ご」は謙譲語としても使われるので、自分の行為に対して使用しても問題ありません。 ②つ目に関しては、「ご提供いたします」は厳密には二重敬語にあたります。 二重敬語とは、1つの語に対して2つ以上の同じ種類の敬語で修飾することをいいます。
よって、文法上は「ご提供いたします」は二重敬語にあたります。 しかし、「ご〜いたす(ご〜いたします)」という形は慣習的に非常によく使用されているため、セットで謙譲表現だとする見方が現在では一般的です。 (辞書によっては、「ご〜いたす」で例文が載っているものもあります。正しい日本語として定着しています) したがって、「ご提供いたします」は厳密には二重敬語にあたるが(二重敬語としない考え方が近年では優勢)、相手に違和感を与えることも失礼になることもないので使用しても問題ない、というのが結論です。 二重敬語がどうしても気になる方がいたら、
とすれば二重敬語は解消されます。
「ご提供いただく」という表現もよく使用されます。 「ご提供いただく」は「ご提供してもらう」という意味です。「いただく」は「もらう」の謙譲語です。 「ご提供いたします」と同じ理由で、「ご提供いただく」も厳密には二重敬語ですが広く使われているので、使用しても問題ありません。 「ご提供いただけますでしょうか」という表現がありますが、この「ますでしょうか」も二重敬語です。 「ます」と「です」の2つの丁寧語が使用されているからです。(「でしょう」は「です」の変形) つまり、「ご提供いただけますでしょうか」は二重敬語がダブルで使われている、ということになります。。 正しく言い換えるならば、
となります。 より丁寧な依頼表現ならば、
などがあります。
↓ 二重敬語「ますでしょうか」を使った表現には「いらっしゃいますでしょうか」が有名ですね。
「ご提供くださる」も厳密には二重敬語ですが、現代では正しい敬語表現として定着しています。 「ご提供くださる」は「提供してくれる」の意味です。 「くださる」は「くれる」の尊敬語です。 「ご」は相手の行為に対して使っているので尊敬語です。 どちらも尊敬語なので二重敬語とみることも可能ですが、現代では「ご〜くださる」で一つの尊敬表現として広く使用されているため、正しい敬語として使っても問題ありません。 「ご〜くださる」には他にも「お守りくださる」「お褒めくださる」などの言い回しがあります。
「ご提供願います」は敬語的に全く問題のない正しい敬語表現です。 「ご提供願います」は「提供してください」という意味の依頼表現です。 「願います」は「願う」に丁寧語「ます」が付いた表現です。 「ご提供願います」は文法上は問題ありませんが、意味的には少し注意すべき表現です。 「ご提供願います」は語感が強いため目上の人に対して使ってしまうと、少しぶっきらぼうで丁寧さに欠けてしまいます。 「ご提供願えますか」と疑問文にするだけ、かなり柔らかい響きになります。 また「ご提供のほど、お願いいたします/お願い申し上げます」とするとより丁寧です。 上記で紹介した「ご提供いただけますか」「ご提供いただくことは可能ですか」で代用することも可能です。 ↓「願います」を使った敬語表現には「ご教示願います」などもあります。
「ご」は尊敬語・謙譲語のどちらの意味でも使えますので、自分が提供する側でも問題はありません。 しかし、「となります」は「何かの結果◯◯という状態へ変化する」という意味なので、変化がない場合は「ご提供となります」という言い回しは不自然な日本語となってしまいます。 例えば「無料でのご提供となります」と言う場合は「無料でのご提供です」と言い換えばよいでしょう。 「〜となります」「〜になります」はバイト敬語といわれ、ファミレスなどのアルバイトが使う独特な敬語の言い回しを指し、不適切な場合が多いので注意が必要です。
「ご提供」の最も意味が近い言葉に「ご支給」があります。 「支給」の意味は「金銭や物品を相手の要求の有無にかかわらず渡すこと」です。 なので「提供」とは微妙に意味合いがことなりますが、ほぼ同じ意味です。
などの形で使われます。
「ご用意」の意味は「必要なものや条件を整えておくこと」です。 「ご用意します」と言った場合、「必要なものを整えて(渡す)」という意味まで含まれます。 「ご用意」も、
などの形で使います。
「提供する」の英語は、
などが一般的です。 「donate」は「無償で提供する」という意味です。
She offered her office as a party place.
彼女はパーティー会場として事務所を提供した。
「広告主になる」という意味の「ご提供」は「sponsore」を使います。
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いかがでしたか?「ご提供」の敬語の使い方は正しく理解できましたでしょうか? 「ご提供」のポイントを下記にまとめておきます! ✔ 「ご」は尊敬語だけではなく謙譲語の意味もあるので、自分の行為に対しても使用可 ✔「ご提供いたします」「ご提供いただく」「ご提供くださる」は本来は二重敬語だが現代では正しい敬語として定着しているので使ってOK ✔「ご提供となります」は日本語として不自然なので注意