「お聞かせください」は相手に思っていることや意見を述べてほしいとお願いをするときに使用する敬語表現です。今回は「お聞かせください」の意味や、より丁寧な敬語表現を紹介します。「お聞かせください」の言い換え表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「お聞かせください」は「聞かせて」の敬語表現です。 相手に思っていることや意見を述べてほしいとお願いをするときに使用します。
「聞かせてください」「聞かせなさい」は丁寧語ですが、目上の人に使用するのは不適切です。 「お聞かせください」とすると目上の人に使用できるようになります。 「お聞かせください」の
尊敬語は相手を立てて敬意を示すことができる敬語表現です。 したがって「お聞かせください」は目上の人に使用することができます。 ただし、「くれ」を使用した命令文であるのは事実です。 一方的に要望・要求するようなニュアンスになってしまうので目上の人に使用する場合はより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
例文
「お聞かせくださいませ」は「聞く」に接頭語の「お」と、命令形「くれ」の丁寧語「くださいませ」をつけた敬語表現です。 接頭語「お」の敬語の種類は、文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 「お聞かせくださいませ」の場合、接頭語の「お」は尊敬語です。 「くださいませ」は「くれ」の丁寧語です。 したがって「お聞かせくださいませ」は尊敬語+丁寧語の正しい敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「お聞かせ願います」は、「聞く」に尊敬を表す接頭語の「お」と「願う」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「願う」に丁寧語の「ます」をつけた「願います」は、「〜をお願いします」と相手に依頼をする場面で使用することができます。 したがって、「お聞かせください」より丁寧に相手にお願いをすることができる敬語表現であるといえます。 ただし「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であり尊敬語ではないという点で、丁寧さに欠けます。 「お聞かせ願えますか」「お聞かせ願えませんか」と疑問文にするとさらに丁寧になります。 「願います」を使用する場合、「お聞かせ願いたく存じます」だとより丁寧です。 「お聞かせ願いたく存じます」は、「聞く」に尊敬を表す接頭語の「お」と「願う」に「思う」の丁重語の「存ずる」に丁寧語の「ます」を使用しています。 丁重語とは動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。
例文
「お聞かせいただければ幸いです」を品詞分解すると「お」+「聞く」+「いただければ」+「幸い」+「です」となります。
「いただければ〜」には仮定のニュアンスがあり、「してもらえたら〜」という願望を表す丁寧な言い回しです。
も「もらう」の謙譲語「いただく」を使用した丁寧な敬語表現です。 「幸甚に存じます」は「とてもありがたく思います」「何よりの幸せであると思います」という意味です。
「お聞かせくださいますようお願い申し上げます」は、「聞かせてくれるようお願いします」という意味です。 「お聞かせ」の「お」は尊敬を表す接頭語です。 「くださいますよう」は、断定する意味を避け柔らかいニュアンスでお願いをするために使用されています。 「お願い申し上げます」は、「願い」に尊敬語を表す接頭語の「お」と「言う」の謙譲語の「申し上げる」と丁寧語の「ます」で、相手に依頼をするときに使用する丁寧な敬語表現です。 「願います」「お願いします」よりも「お願い申し上げます」のほうがフォーマルな響きがあり、目上の人に対してや厳粛な場面では「お願い申し上げます」と言う方が適切です。
「お聞かせくださいますか」「お聞かせくださいませんか」は二重敬語で誤用です。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を重ねて使用してしまうことをいいます。 「お聞かせくださいますか」は、「聞く」に尊敬を表す接頭語の「お」と「くれ」の丁寧語の「ください」と丁寧語の「ます」に疑問を表す終助詞「か」を使用しています。 「お聞かせくださいませんか」は、「聞く」に尊敬語の「お」と「くれ」の丁寧語の「ください」に丁寧語の「ます」の未然形+打ち消しの助動詞「ぬ(ん)」+疑問を表す終助詞「か」です。 したがって、「お聞かせくださいますか」も「お聞かせくださいませんか」も丁寧語を二つ使用している二重敬語であるといえます。
「お聞かせくださいますか」「お聞かせくださいませんか」を、正しい敬語にすると、「お聞かせ願いますか」「お聞かせいただけますか」が正しいです。 「お聞かせ願いますか」は、「聞く」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「願う」に丁寧語の「ます」と疑問を表す終助詞「か」です。 したがって、尊敬語+丁寧語の正しい敬語表現であるといえます。 「お聞かせいただけますか」は、「聞く」に尊敬を表す接頭語の「お」と「もらう」の謙譲語の「いただく」と丁寧語の「ます」と疑問を表す終助詞「か」です。 したがって、「お聞かせいただけますか」も尊敬語+謙譲語+丁寧語の正しい敬語表現です。
「ご教示ください」は、「ごきょうじください」と読みます。 「ご教示ください」は「教示」という言葉に、尊敬を表す接続語の「ご」、「くれ」の丁寧語である「ください」をつけた言葉です。 「教示」は「知識や方法などを教え示すこと」を意味しています。 「ご教示ください」は、ビジネスシーンなどのかしこまった場面でやり方がわからないというときに質問したり、対処の方法について尋ねる場合など「知識や方法などを教えてください」という意味で使われます。 また、「ご指示を仰ぎたい」というようなアドバイスを求める場合にも使う言葉です。
例文
「ご教授ください」は、「ごきょうじゅください」と読みます。 「ご教授」は、「教授」という言葉に、尊敬を表す接続語の「ご」をつけ、「くれ」の丁寧語である「ください」をつけた言葉です。 「教授」の意味は、学術、技芸などを教えること。養護、訓練とならぶ教育上の基本的な活動、作用のことです。 また、大学、高等専門学校などの教育機関で、専門の学術、技芸を研究し教える人、その官名または職名という意味もあります。 「ご教授ください」は、「専門的な知識や技術を教え授けてください」というような意味で使用され、専門的な知識や技術をある程度の期間、継続的に教えてほしい場合に使います。 「ご教授」は、短時間でさっと教えられるような内容に使うものではない為、例えばメールなどで、「ご教授いただきたいのですが」と軽く質問してしまうと失礼にあたる場合があります。 メールや文章で使用する場合は注意しましょう。
例文
「ご指南ください」は「ごしなんください」と読みます。 「ご指南ください」は「指南」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「くれ」の丁寧語の「ください」を使用した敬語表現です。 「指南」の意味は、「教えること。教え示す人」です。 「指南」はただ「教える」ということではなく、剣道や華道などといった武術や芸能を教え示すことを意味しています。 知識や学問について教えてもらう、という場合には「指南」は使えないので注意しましょう。 目上の人に武術や芸能を教えてほしいとお願いをするときに「ご指南ください」を使用します。
例文
ご指導ご鞭撻賜りますようは「ごしどうごべんたつたまわりますよう」と読みます。 「ご指導ご鞭撻」の意味は、目上の相手からの自分に対する教育や指導のことであり、それらを敬っていう表現になります。 「ご指導」も「ご鞭撻」のどちらも、「ご指導お願い申し上げます」や「ご鞭撻の程、よろしくお願いします」のように、単独でも用いられていますが「ご指導ご鞭撻」と合わせて用いられることが多くなっています。 「ご指導ご鞭撻賜りますよう」は、、どんな場合でも挨拶やスピーチの「結びの言葉」「締めの言葉」として使うことが基本であり、いつでも「お聞かせください」と言い換えられるわけではないので注意してください。 また、「ご指導ご鞭撻」には「今後も変わらずよろしくお願いします」という思いも含まれるため別れのシーンで使用することはできません。
例文
「お聞かせください」の1つ目の英語表現は、「let us know」です。 「私たち(弊社)に教えてください」という意味です。
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この製品についてどう思うからお聞かせください。
「would like to hear」としてもよいでしょう。 「聞きたい」という意味です。 「would like」は「want」より丁寧な表現で、ビジネスシーンに適しています。