「ご指摘ください」という表現をビジネスシーンで使用することってよくありますよね。しかし、「ご指摘ください」は命令の意味が強いので使用するには注意が必要であるということをご存知でしょうか。今回は、「ご指摘ください」の正しい使い方を解説します。「ご指摘ください」のより丁寧な言い換え表現や、その他の使い方、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「指摘」の意味は、「重要な点や問題となる点を取り上げて示すこと」です。 「指」の意味は「手足のゆび」または「さす・さし示す」です。 「摘」の意味は「つむ」または、「選び出す・あばく」です。 「指摘」は何でも取り上げるわけではなく、主に対象は問題になります。 また、助言も「指摘」に含まれます。
「ご指摘ください」の意味は、「何か問題があれば教えてください」という意味です。 「ご指摘ください」を品詞分解すると、尊敬を表す敬語の接頭語「ご」+「指摘」+「くれる」の尊敬語「くださる」の命令形「ください」となります。 「ください」は補助動詞なので「下さい」と漢字表記するのではなく平仮名で書くのが正しいです。 「ご」も「くださる」もどちらも尊敬語なため二重表現であると主張する人もいますが、「ご◯◯ください」で一つの定型句になっており、許容する考えが一般的です。
「ご指摘ください」は、ビジネスシーンでの会話やメールで主に使用されます。 他社・取引先に不備の際の連絡依頼や上司などに何か過失がないか確認してもらう場合に「何か直すべき点があれば教えてください」といった意味で、「ご指摘ください」を使います。 また、「接客態度」といったように、間違った行動、態度など改めたほうが良い部分があったときに「指摘してください」「教えてください」とお願いをする表現が「ご指摘ください」です。
「ご指摘ください」は「ください」が尊敬語なので、文法的には正しい敬語です。 しかし、「ください」が命令形なので、人によっては失礼に感じる人もいます。 より丁寧に聞こえるように
とすることができます。 しかしながら、これでも依然として命令形なので、より丁寧な敬語表現に変換するには、語尾を違う言い回しに変える必要があります。
「ご指摘いただければと存じます」は、「〜してもらう」の謙譲語である「お(ご)〜いただく」を使用した敬語表現です。 さらに、「いただく」に仮定形の「れば」を使用して、「〜をしてもらえると」という表現を丁寧に言い表しています。 「存じます」は、「思う」「知る」の謙譲語「存ずる」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「存じます」は「思います」「知っています」の謙譲表現です。自分自身をへりくだった言い方で、目上の人に対して使うことができます。 つまり、「ご指摘いただければと存じます」は、「ご指摘してもらえればと思います」という表現を、さらに自分の行動をへりくだることで相手に敬意を示している謙譲語なので、「ご指摘ください」より丁寧な表現であると言えます。
例文
「ご指摘いただきたく存じます」も、「〜してもらう」の謙譲語である「お(ご)〜いただく」を使用した敬語表現です。 「いただく」は「もらう」の謙譲語で、「たい」は希望を表す助動詞です。 さらに、「思う」「知る」の謙譲語「存ずる」+丁寧語「ます」をつけています。 つまり、「ご指摘いただきたく存じます」は「指摘してほしいと思います」を謙譲語にした表現であるということがわかります。
例文
「ご指摘いただければ幸いです」は、尊敬語+謙譲語+丁寧語でてきている敬語表現です。 「ご指摘いただければ」は、「指摘」という言葉に尊敬を表す接頭語の「お」と、「してもらう」の謙譲語の「いただく」、仮定形の「れば」を組み合わせた言葉です。 尊敬を表す接頭語の「ご(お)」と、謙譲語の「いただく」のセットで使用される文法です。 「ご指摘いただけますでしょうか」と使っている方も多いですが、本来は「ます」と「です」の両方を重ねて使うのは間違いです。 「いただけますでしょうか」や「いらっしゃいますでしょうか」などはよく使われているフレーズで違和感を覚えない人が多くいますが、日本語の使い方としては間違っているため注意しましょう。
例文
「ご指摘くださいますようお願い申し上げます」は、「指摘してもらうようお願いします」という意味の敬語表現です。 「指摘」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけて、さらに「〜してくれるように」という意味の敬語表現である「〜くださいますよう」という言葉をつけています。 「お願い申し上げます」は、「お願いを申し上げる」という意味で使用されます。 「お願い」は「願い」という言葉に、尊敬を表す接頭語の「お」をつけた言葉です。 「申し上げます」の「申す」は、「言う」の謙譲語で、「上げる」は敬意を示す補助動詞、「ます」は丁寧語です。 「お願い申し上げます」は、謙譲語を2つ使用しているので、二重敬語となり本来は間違った使用方法となります。 しかし、現代では習慣的に広く使用されており、使用しても問題ないとされる言い回しとなります。 したがって、「ご指摘くださいますようお願い申し上げます」という敬語表現を使用しても間違いではありません。
例文
「ご指摘いただきますよう」「ご指摘賜りますよう」という敬語表現を使用することも可能です。 「〜いただきますよう」は、「してもらう」の謙譲語である「お(ご)〜いただく」を使用し、「する」の丁寧語である「ます」さらに「よう」を組み合わせた表現です。 「〜ますよう」は、「〜にするように」という意味で使用されています。 「〜ますよう」を使用することで、「〜してください」とお願いをするよりも、「〜してくれるよう〜」という柔らかい表現になるので、「〜してくれたら嬉しい」というような、命令の意味が和らぎます。 「賜りますよう」は、「〜してくれるよう」という意味のある相手に敬意を示す謙譲語です。 「賜りますよう〜」は、ビジネスシーンでは相手から恩恵をうけるような場面で使用される言葉で、かなりかしこまった表現になり、堅苦しすぎてしまう場合もありますので、相手や状況を見て言い換えるなど状況にあった使い方をしましょう。
例文
「〜のほど」は、「〜のよう」という意味のある言葉で、「ご指摘のほど」とすることで「指摘してもらえるよう〜」という意味になります。 「〜のよう」と表現を使用することによって、断定を避けて表現を和らげることができます。 上述しているように「指摘してください」と断定してお願いしてしまうと強い口調になってしまい、命令をされていると感じてしまう人もいるので、「指摘してくれるようお願いいたします」という柔らかい言い回しでお願いをするほうが望ましいです。 そして、「ご指摘のほどよろしくお願い申し上げます」は、「指摘」に「ご(お)〜申し上げる」という謙譲語を丁寧語の「ます」をつけた表現です。 「申し上げます」は「言わせていただきます」という意味で、目上の人など敬意を払うべき相手に対して、”うやうやしく言う”というニュアンスになります。 つまり、「ご指摘のほどよろしくお願い申し上げます」は、正確に言えば「指摘してほしいというお願いを言わせていただきます」といったような意味合いであると言えます。
例文
「お申し付け」の意味は、「言いつける」です。 「申し付け」は、「申し付ける」「言いつける」と丁寧にした言葉です。 元々の「申し付ける」という言葉には、
という意味があります。 よく、「何かあれば何なりとお申し付けください」という表現が使われますが、これは、「何かあったらなんでも言いつけてください」という意味です。 つまり、「お申し付けください」は、「自分には引き受ける意思があります」「準備しています」ということを伝えるニュアンスがあります。
例文
「ご指導」は、「指導」という言葉に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「指導」とは、「さす・さし示す」という意味を持つ「指」という漢字と、「みちびく・案内・教え」という意味のある「導」という漢字を組み合わせた言葉です。 つまり「指導」とは、ある意図された方向に教え導くことをいいます。 例えば、「水泳を指導する」といったように何かを教えるというような場面で使用される言葉です。
例文
「ご連絡」の意味は「情報などを知らせること」です。 「ご連絡」は、「連絡」という言葉に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「連絡」には「つながり・関連をつけること」「関係の人に情報などを知らせること」という意味があります。 接頭語をつけた言葉なので、自分から目上の人に連絡する場合や、目上の相手に連絡してもらうという場合に使用することができる言葉です。 「何かあればご連絡ください」でも、「何かあったら教えてください」というニュアンスになるので、言い換えることが可能です。
例文
「ご意見」とは、「意見」という言葉に、「ご」という接頭語をつけた言葉です。 「意見」の意味は、「物事や判断に対してもつ考え」です。 つまり、「ご意見」とは「考えを述べる」ということを、相手を敬い丁寧に言い表した言葉ということです。
例文
「ご教示」はごきょうじと読みます。 「教示」は「知識や方法などを教え示すこと」を意味しています。 「ご教示」は「教示」という言葉に、尊敬を表す接続語の「ご」をつけた言葉です。 例えば「ご教示ください」は「知識や方法などを教えてください」という意味で使われます。 ビジネスシーンで書類の書き方がわからない場合に質問したり、対処の方法について尋ねる場合に使います。
例文
「ご教授」は「ごきょうじゅ」と読みます。 「ご教授」は、「尊敬を表す接頭語の「ご」を付けた言葉です。 「教授」の意味は、「学術、技芸などを教えること」です。 ”学術”は学問と芸術、”技芸”は美術工芸・芸術方面に関わる技術を意味します。 「ご教授」は専門的な知識や技術をある程度の期間、継続的に教えてほしい場合に使います。
例文
「ご指導ご鞭撻」は「ごしどうごべんたつ」と読みます。 「ご指導ご鞭撻」は、(目上の)相手の自分に対する教育や指導のことであり、それらを敬っていう表現です。 「指導」は「ある目的に向かって教え導くこと」、「鞭撻」は「鞭(ムチ)で打つこと」「怠らないよう強く励ますこと」を意味します。 「ご指導」も「ご鞭撻」のどちらも、「ご指導お願い申し上げます」や「ご鞭撻の程、よろしくお願いします」のように単独でも用いられますが、「ご指導ご鞭撻」とセットで用いられることが多いです。 ビジネスシーンでは、目上となる上司や顧客・取引先などに対して引き続き変わらない付き合いをお願いする際の常套句でもあります。
例文
「お力添え」の読み方は、「おちからぞえ」です。 まず「力添え」の意味は、「力を添えること・手を貸すこと」となります。 それに尊敬を表す接頭語「お」を付けて、「お力添え」となります。 「添」は「加える」「足す」という意味なので、「力添え」は助けるといったイメージになります。 ビジネスシーンでは、相手にお願いや要求、要望をする場面や、普段よくしてくれている人達に対する感謝の気持ちを伝える場面で使用されます。
例文
「取り計らい」の意味は「物事がうまくいくように取り扱うこと」「あれこれと便宜を図り対処すること」です。 「気遣い・配慮・心配り」と解釈されることがありますが、「取り計らい」の意味としては間違いですので注意してください。 「取り」は”語勢を強めるのに用いる語”です。 「計らい」は「判断」「処置」「取り扱い」を意味します。 「計らい」だけでも意味は通じますが、「取り」を付けることで、話したり書いたりするときの言葉の勢いを強めることができます。 「お取り計らい」とは「取り計らい」の丁寧表現です。「お」は”尊敬”を表す接頭語です。 物事を上手く進めるためには、あれこれ思案したり、便宜を図りながら処理・対応することが必要になります。それだけの労力を相手にこれからかけたり、すでにかけてしまったことを「お取り計らい」と表します。
例文
「ご指摘の通り」は様々な場面で用いることができます。 相手の指摘に賛同する際や、指摘されたことについて報告をする際、そして指摘に対して謝罪をする際です。 相手の言った通りでした、といった意味で「ご指摘の通り」を使います。 相手に何かを指摘されたときに使用できる表現なのでぜひ覚えておきましょう。
例文
指摘をされた場合、まず「ご指摘ありがとうございます」と感謝をしましょう。 クレームであったり、間違った指摘であっても目上の相手や取引先、顧客様を相手には感謝の言葉を述べるようにするのが基本です。 クレームであっても、指摘をされるということは、「改善するチャンスをもらう」ということです。 自分自身、そして会社の成長に繋がる場合もありますし、何より相手に「指摘をする」という労力を使わせていることに対して感謝の気持ちを述べるべきなのです。 正しい説明をする前に感謝の言葉を述べることでクッション言葉になるので覚えておきましょう。
例文
指摘されたことに対して、対応をしたり訂正をする場合に「ご指摘を踏まえ」「ご指摘いただいた点を踏まえ」などと使います。 また指摘してもらったことへの感謝や、不備があった場合は謝罪をすることも忘れないようにしましょう。
例文
相手から指摘をされた際、その内容が正しかった場合は「ご指摘ごもっともです」「おっしゃる通りです」を使うと良いでしょう。 ただ、相手から指摘をされた内容が正しくなかった場合は使わないように。 「ご指摘ごもっともです」「おっしゃる通りです」は相手に対して肯定・賛同の意味がありますので、正しくないことを肯定してしまうことになります。 「ごもっともです」と言いながら「しかし〜」と行って相手の言うことを否定してしまうと、「ごもっともです」って納得したんじゃなかったの?と相手を混乱させてしまうことになってしまいます。 「適当に返事をしている」と誤解をされてしまう可能性もあるので、きちんと内容が正しかった場合のみ使用するようにしましょう。
例文
「ご指摘ください」の英語表現は、
などがあります。
Please tell me if there is any blank in the order sheet by any chance.
注文書に万が一記入漏れがありましたら、ご指摘ください。
Please correct me if something is wrong.
何か間違いがあれば、ご指摘ください。
ビジネスシーンで依頼するときは、「Please...」よりも「Could you please...?」の形を使うのがよいです。 「please」だけだと少しカジュアルになってしまうので注意してください。
Could you please let me know if you have any questions.
質問等ございましたが、ご教示ください。
「ご指摘ください」について理解していただけましたか? ✓「指摘」の意味は「重要な点や問題となる点を取り上げて示すこと」 ✓「ご指摘ください」の意味は「何か指摘があれば教えてください」 ✓「ご指摘ください」の使用場面は、不備の際の連絡依頼や過失がないか確認してもらう場面など ✓「ご指摘ください」は敬語だが命令形なので注意 ✓「ご指摘いただければと存じます」など丁寧な言い方をするのが望ましい など