「悍ましい」の読み方は「おぞましい」で、意味は「ぞっとするほど嫌な感じがする」です。「悍ましい事件」などと使われています。今回はそんな「悍ましい」の使い方を例文付きで詳しく解説していきます。その他「忌まわしい」などの類語や対義語、英語も紹介しますので是非参考にしてください。
「悍ましい」は「おぞましい」と読みます。 ちなみに音読みで「悍」は「かん」と読みます。 「悍しい」という送り仮名は誤りなので注意してください。
「悍ましい」の意味は「ぞっとするほど嫌な感じがする」です。 「身震いするほど嫌な感じである」といった意味で使われています。 見るからに嫌なもの、ではなく、雰囲気や精神的に「どこか嫌な感じがある」といった意味合いが強くなります。
「鈍い」で「にぶい」と読みますが、「鈍ましい」は「おぞましい」と読みます。 意味は「愚かしい、ばからしい」といった意味です。「にぶい」といった意味も持ちます。 「鈍ましい」は現代ではあまり使われていません。
「悍ましい」の語源は古語の「おぞし」です。 古語「おぞし」の意味は、 ①勝ち気である、強情である ②恐ろしい、こわい ③悪賢い、ずるい の3つがあります。 「おぞまし」の形だと「強欲だ」の意味のみを持つ言葉になります。 「おぞまし」は文語的で、現代において口語で使う場合は「おぞましい」となっています。 現代において使われている「おぞましい」には上記の「強情である」「悪賢い」の意味はなく、「恐ろしい」が転じて「ぞっとするほど嫌な感じ」といった意で使われています。
「悍」という感じの成り立ちは、りっしんべんに「旱」という字で出来ています。 「旱」は「ひでり」です。ひでりとは「長い間雨がふらずに水が枯れること」を意味し、転じて「必要なものが非常に少なくなること」を表します。 要するに「悍」はひでりで心がすさみ、凶暴になることを表しています。 また下の部分からも分かるように「干」に通じており「乾く」に通じて「かわく、ほす」の意味がありますが、「干」には盾とサスマタの武器の意味もあり「おかす、かかわる、ふせぐ」の意味があります。 ここの「おかす」が「たけだけしい」とった意味合いを持たせています。 「悍」という漢字の意味は ①たけだけしい ②恐ろしい ③良くない、悪い ④ずる賢い ⑤利口である と5つあります。
「悍い」は「悍し」と同義で「気が強い」「恐ろしい」「悪賢い」といった意味です。 「悍い」も古文であり、現代ではあまり使われません。
「悍ましい○○」の形で名詞と組み合わせて使います。
などです。 悍ましい事件は、ぞっとするほど恐ろしい事件といった意味になります。
例文
「〜するだけでも悍ましい」という形でもよく使います。
などと使います。 この表現を名詞と組み合わせて使うことも可能です。 例えば「聞くだけでも悍ましい事件だ」などといえます。
例文
「精悍」の意味は「動作や顔立ちが力強いこと、鋭いさま」です。 「精悍」はポジティブな意味合いが強く、褒め言葉として使います。 車のスタイリングなどにも使われることがあります。 上述した「悍」の「たけだけしい」という意味を、どう捉えるかでポジティブな意味合いにもネガティブな意味合いにもなります。
例文
「悍婦」の意味は「気の荒い女」「じゃじゃ馬」です。 気性の強い婦人(=女性)ということになります。 現代ではあまり使われない表現です。
例文
「悍馬」の意味は「気性が荒々しい馬」「暴れ馬」のことです。 気性が荒いせいで制御しにくい馬のことを表します。 スピードの出る車のことを「悍馬」と表すこともあります。
例文
「忌まわしい」の意味は「不吉、縁起が悪い」と「嫌な感じ、不愉快である」です。 「嫌な感じ、不愉快である」の意味が「悍ましい」と類語になっています。 また「忌まわしい」と同じ漢字で「忌々しい(いまいましい)」といった言葉があります。 「忌々しい」の意味は「忌み嫌うべきことだ、不吉なことだ」「非常に腹立たしい」「癪に障る」です。 「忌まわしい」と同じ漢字で「不吉」の意味は同じです。 「忌まわしい」には「不吉、縁起が悪い」といった意味はありますが、「腹立たしい」といった意味はありません。
例文
「禍々しい」の意味は「不吉」「悪いことが起こりそうな不気味なさま」です。 なにか良くないことが起こりそうな様子を指して使われます。 「禍々しい」には「腹立たしい」といった意味は含みませんが、「不吉なこと」の意味を持つことから「忌々しい」とほぼ同義となります。 ただ使われるニュアンスとしては、「禍々しい」は「不吉で不気味な見た目」に対して使われることが多く、「忌々しい」は「不吉で不気味な雰囲気や空気感、それを連想させる出来事や言動」などに対して使われることが多いです。
例文
「厭わしい」の意味は「嫌な気持ちである、好ましくない」です。 「厭わしい」には「不吉、不気味」といった意味を含みません。 嫌悪感を抱く時に使う言葉です。
例文
「疎ましい」の意味は「嫌で避けたい気持ちである」です。 「厭わしい」とほぼ同義で使われています。 また、「嫌う」といった意味で「疎む」と使うことがあります。
例文
「恐ろしい」の意味は「こわい」「危険を感じて不安である」です。 「恐ろしい」は「こわい、不安」といった意味のみで「不気味だ、不吉だ」といった意味は含みません。 「悍ましいこと」に対して抱く感情に「恐ろしい」があります。
例文
「愉快」は「ゆかい」と読みます。 意味は「楽しくて心地が良いこと」「面白くて心が浮き立つこと」です。 とにかく楽しくて気持ちが晴れるような時に使います。 一切の悍ましさがない様子を表します。
例文
「喜ばしい」の意味は「喜ぶべき状態であること」「良い状態であること」です。 満足するべき状態や事であることを指して使います。 「悦ばしい」と書いて「よろこばしい」とも読み、意味も同じです。 「喜ばしい」という言葉自体は良い意味です。 しかし「○○は喜ばしいことだが」「○○にとっては喜ばしいが」などと嬉しい一面もある反面、良くないことや課題があるといった意味で使われることも多くなっています。
例文
「吉兆」の意味は「良いことが起こる前ぶれ」のことです。 「吉」の意味は「立派、良いこと」です。おみくじでも使われていますね。 また「兆」の意味は「何かが起ころうとするきざし」です。 対義語は「凶兆」となり、意味は「良くないことが起こる前ぶれ、不吉の前兆」です。
例文
「幸先」は「さいさき」と読みます。 意味は「良いことが起こる前兆」で、「吉兆」と同じです。 また「事を始める時に当たって何かを感じさせる物事」という意味もあり「前兆」「縁起」と同じ意味を持ちます。 この場合は「良い」といった意味が含まれないため「幸先が良い」「幸先が悪い」と使います。 一般的には「幸先がいい」と使われることが多くなっています。
例文
「悍ましい」の英語1つ目は「horrible」「horrifying」です。 「horrifying」は「ぞっとするほど恐ろしい」という意味です。 「terrible」よりも意味が強いです。
There was a horrifying incident near here.
ここの近くで悍ましい事件があった。
That's a horrible thing to say!
それは口にするだけでも悍ましい!
いかがだったでしょうか? 「悍ましい」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「おぞましい」 ✔意味は「ぞっとするほど嫌な感じがする」 ✔「悍ましい事件」などと使う ✔類語は「忌まわしい」「禍々しい」 ニュース記事などでもよく使われていますので、ぜひ覚えておきましょう。