「体系化」は「体系」に接尾語「化」がついた言葉です。「体系」とは「個々別々のものを、特定の規則を基準に、統一すること」を指します。「化」は「ある状態に変える」の意です。ビジネスで使う「知識の体系化」とは「バラバラな知識を関連付けて一つにまとめること」を意味します。
「体系化」は「たいけいか」と読みます。
「体系化」の意味は「個々別々のものを一定の原理によって秩序正しく統一された組織の全体」です。 簡潔に説明すると「個々の情報や知識などををまとまりを持ったものに仕上げること」です。 「体系化」は「体系」という言葉に接尾辞「化」がついた言葉です。 「体系」という言葉自体に「個々のものを筋道を立てて統一された組織」という意味があります。 接尾辞「化」には「そのような状態や性質に変える・変わる」という意味があります。 「体系的」となると形容動詞となり「体系が整っていて統一がとれているさま」というニュアンスになります。
「体系化」は
などの形で使うのが一般的です。 様々な情報や知識をまとめた「体系科学」や「体系数学」という教科書や参考書が販売されています。 また生物学の一種に「体系学」という学問があります。「生物体系学」ということもあります。 体系学では進化に基づいて生物多様性を研究します。
例文
「体系化」の類義語には「構造化」「組織化」「システム化」「同系」などがあります。 「体系化」の同義にあたる言葉に「構造化」があります。 ほぼ同じ意味で使われる言葉ですが、違いは「概念」です。 「体系化」よりも「構造化」の概念の方が広いです。 つまり「構造化」が「体系化」を包括していいます。 「体系化」には「組み合わさることで一緒に機能するもの」、「一緒になったときにより良く機能する」というニュアンスがあります。 「構造化」は「ただ単に機械的にまとめること」というニュアンスがあります。 例えば数学の教科書を「体系化」した場合は、よりわかりやすく学びやすい順番にまとめられています。 イップで数学を「構造化」する場合は、あいうえお順など機械的にまとめられているものになります。 その他の「体系化」の類似表現との違いは下記の通りです。
また「体系化」は「編成」や「編制」と言い換えることができます。 「編成」「編制」の意味は「個々別々のものをまとまった組織にすること」です。
「体系化」の対義語は「個別化」や「分散化」です。 「個別化」とは「複数のものをそれぞれ別物として扱うこと」です。 「分散化」とは「物事を一箇所に集中させないようにすること」です。 なお「体系的」の反対語は「個別的」「分散的」となります。
「体系化」を英語で表すと「systematization」になります。 「体系化」は名詞で、動詞「体系化する」の「systematize」に接尾辞「-tion」がつきます。 日本語でも「システム」と言いますが、「system」と「systematization」の違いは、
です。 また「〜を体系的にまとめる」は「organize 〜 systematically」と表現することができます。
Those kinds of information need to be systematized.
これらの情報は体系化される必要があります。
It is important for us to organize our knowledge systematically.
知識を体系的に整理することは重要です。
そもそもなぜ知識や情報などを体系化することが必要なのでしょうか。 ここでは、体系化の重要性やメリットをご紹介していきます。
物事を体系化することで得られる最大のメリットが作業効率のアップです。 情報や知識がひとつにまとまっていると、時間や労力の消費を最小限に抑えることができます。 そのため物事に集中して取り組むことができ、仕事や作業の高い完成度も期待できます。
知識や情報が体系化されたものに業務マニュアルや参考書などがあります。 これらがあることによって、より多くの人が共通した知識や情報を持つことが可能になります。 共通認識を持つことで認識のズレや誤った情報の伝達などを防ぐことができます。
情報や知識が体系化されていれば、物事が理解しやすくなったり、理解がより深まるというメリットもあります。 個々の情報や知識だけでなく、それらの関連性も含めてインプットすることができるため、情報や知識が定着しやすくなります。 また個々としてではなく全体像として見ることができるので、物事の流れなどを掴みやすくなります。
物事が体系化されていることによってそこから新たな気づきを得られることもあります。 関連性や相違性、因果関係などが見え、そこから新たな知識や情報を手に入れることが可能です。 すでに持っている知識や情報に加えて新しい気づきを自分のものとすることで、視野や物事の可能性を広げることができます。
体系化することにより、論理的思考などのスキル向上も期待できます。 論理的思考力は、体系化だけでなく日常生活やビジネスなどあらゆるシーンで欠かせない能力の一つです。 体系化の目的や目標、そしてゴールは何かを明確に考える必要があるため、これらの思考を習慣化することで論理的思考力が身につきます。 また論理的思考力だけでなく、必要な情報を検索する「情報収集力」や、物事をわかりやすくまとめる「文章力」などの向上も期待できます。
ここでは、情報や知識などを体系化するための具体的な方法をご紹介していきます。
体系化するにあたりまず必要なことが「目的」を明確にすることです。 「目的」が不明瞭だと、時間や労力を無駄にしてしまう可能性があります。
などを自問自答し、目的や目標をクリアに設定しましょう。
目的や目標を設定したら、体系化に必要な情報や知識は何かを把握します。 また合わせて不要とものもしっかり把握することも重要です。 例えば、レストランのキッチン業務マニュアルを作成する時に必要なことは
などになります。 逆に不必要なものは
などです。 必要なものとそうでないものを事前にしっかりと把握しておくことで、時間と労力を有効的に使うことができます。
情報や知識などを体系化する際に最も時間をかけたいことが「情報収集」です。 なぜなら抜け漏れ等があると「体系化された」とは言えないからです。 情報収集にはある程度まとまった時間を投資しましょう。 情報収集の際、情報のみを記録するのではなく、引用元なども合わせてメモしておくことで見直しや整理がしやすくなります。 事前に情報収集の期間を設定したり、「今日は○○に関する情報を集める」などと情報収集における目標を設定するのもおすすめです。
情報収集を終えたら、次にそれらの情報の整理に入ります。 順序立ててに整理したり、類似した情報ごとにラベリング(分類)したりします。 情報を整理する際に必要なのが、先程ご紹介した「目的・目標」です。 「何のために」情報を整理するのかを明確にしない限り、物事を体系化することは不可能です。
体系化には見直しも欠かせません。重複している情報や足りない情報はないかを確認します。 内容はしっかりとまとまっているか、見直しを複数回行いましょう。 自身のみで見直しを行うのではなく、第三者にも内容を確認してもらうと尚良です。
一度体系化なされたものを、定期的に見直すことも重要です。 物事に変更が生じた際は、体系化された内容にも変更がある場合があります。 削除や追加の情報はないか、情報は最新のものかなどを確認しましょう。
先程上記で体系化のメリットをご紹介しましたが、体系化することのデメリットもいくつかあるのでご紹介します。
上記の「体系化の方法」でも触れましたが、体系化には時間や労力が必要です。 この点は、体系化することのデメリットといえます。 目的や目標設定、情報収集、そして情報の整理など、体系化するまでの過程ではまとまった時間や労力が必要です。 そのため他の作業が滞ってしまったり、体力や思考力が低下してしまうことが考えられます。 また、また物事が体系化された後も、その形に慣れるまでに時間を要します。 これは体系化に限ったことではありませんが、何か新しいことに順応するまでは一時的に大変さを感じることになります。
単体で物事を見るよりも、体系化されたものをインプットする方が視野は広がります。 しかし、体系化されたものが全てとは限らないため、まとまった情報のみにフォーカスすると視野が狭くなるというデメリットもあります。 例えば完璧に体系化されたものだと思っていても、他の視点で見ると抜けている情報などがある可能性があります。 そのため、体系化されたもの以外の知識や情報に目が向かず、それ以上のノウハウが生まれにくくなります。 視野が狭くなることを防ぐためには、
などの対策が必要です。
知識や情報がまとまっていることがモチベーションアップに繋がることもあればそうでないこともあります。 体系化のデメリットとして、学習意欲の低下も挙げられます。 「調べる」ことに価値を見出す人は、知識や情報の体系化を必ずしも必要としません。 個個別々のものを学んでいく中で「○○と△△の違いや関連性は何だろう」と学習意欲が高まり、自身の力で網羅的に学習することができます。
本書では人がいかにして多様・複雑かつ膨大な情報の本質を把握し体系化するのかが説明されています。
本書では問題発見、市場分析、戦略立案、業務改善などビジネスにおいて役立つフレームワークが70種類紹介されています。 図を用いてわかりやすく説明されているため、新社会人にもおすすめの1冊です。
業務マニュアルは、「体系化」の一例です。 本書では計画、業務の洗い出し、から業務手順、コツのまとめ方まで、作成手順が詳しく説明されています。
いかがでしたか? 「体系化」について理解は深まりましたでしょうか。 「体系化」の意味は「個別のものをわかりやすく一つにまとめること」です。 「知識の体系化」や「体系化された○○」などの形で使います。 「体系化」の類語には「構造化」「組織化」「システム化」などがあります。 「体系化」は英語で「」と表現することができます。 「体系化」のメリットには「作業の効率化」などがあり、デメリットには「時間や労力が必要」などがあります。