「竜頭蛇尾」とは「始めは威勢がよいが、終わりは全く勢いがなくなること」を意味する四字熟語。頭は竜のように立派だが、尾は蛇のように貧弱で、前後のバランスが取れていない意から。「竜頭蛇尾」は「りゅうとうたび」と一般に読むが、「竜頭」は「りょうとう」、「蛇尾」は「じゃび」とも読む。
「竜頭蛇尾」の読み方は「りゅうとうだび」です。 「りょうとうだび」と読むこともあります。 「竜頭蛇尾」の意味は「はじめは勢いが良いが、終わりの方は振るわなくなること」です。 頭は竜のように立派であるが尾は蛇のように貧弱であることから、「出足は素晴らしく終わりはつまらないこと」「頭でっかち尻すぼり」であることをたとえた言葉です。
「竜頭蛇尾」の由来は公案集(禅の精神を究明するための問題)に出てくる禅語です。 『碧巌録(へきがんろく)』や『恵徳傳燈録(けいとくでんとうろく)』などに載っています。 『碧巌録』に収録されている話で使われている話は、
宋の国に陳尊者(ちんそんじゃ)という偉いお坊さんが、旅をしている僧に問答を仕掛けた際にいきなり「喝!」と返されました。(「喝」は、禅宗における叱咤の声で、相手に言葉を差し挟む余地を与えないために用いられる言葉です。) そして「出会い頭に一喝されてしまった」と陳尊者がつぶやくと、さらに「喝!」とその僧が言ってきました。 間髪入れない応対であったため、ちゃんと修行した僧かと思ったのですがそうでも無さそうであることに気付き「この層、竜のようだが真の僧ではなさそうだ。おそらく竜頭蛇尾であろう」と思い、「喝!喝!と威勢はいいが、三喝・四喝のあとはどのように収めるのか」と問うと、その僧は黙り込んでしまいました。
といった内容です。 元々は「一見すると悟りを開いているようだが、実際は見掛け倒しである」といった文脈で使われていたのですが、「最初は勢いがあったが、最後は勢いがなくなっていく様子」でもあるため、その意味で現在も使われています。 ちなみに竜は仏教において仏法を守護する神とされていたため、竜のよう=悟りを開いているとされていました。
「竜頭蛇尾」は人の活躍や物事の結果などについて使われています。 主な言い回しは
となります。 例えば野球のチームが最初は勢いが良かったが最後に結果が振るわなかった際には「竜頭蛇尾のシーズン」などと使います。
例文
「竜頭蛇尾」の類語は
などがあります。 「虎頭蛇尾」の意味は「竜頭蛇尾」と全く同じで「最初は勢いがいいが最後はふるわないこと」です。 「竜の頭」が「虎の頭」となり、大きく威圧感のある様子を表しています。 「頭でっかち尻すぼり」の意味は「はじめは勢いがよく、終わりは貧弱になること」です。 「頭」は「最初」を表し、「尻」は「終わり」を表しています。 「羊頭狗肉」と「羊質虎皮」の意味は「見かけは立派だが実際は粗悪な品を売るたとえ」です。 「有名無実」の意味は「名ばかりで実質が伴わないこと」を表し、この3つの四字熟語は「見掛け倒しであること」を表します。
「竜頭蛇尾」の対義語は
などがあります。 「大器晩成」の意味は「世に出て大成するまで時間がかかること」です。 大物若い頃は目立たず、後から実力を養い大成するといったことを表します。 「徹頭徹尾」の意味は「最初から最後まで言動や態度などが一貫すること」です。 「首尾一貫」と「終始一貫」も「最初から最後まで方針や考え方などが変わらず筋が通っていること」を表します。
「竜頭蛇尾」の英語には「anticlimax」があります。 「あっけない結末」「期待外れの終わり」という意味です。 形容詞は「anticlimactic」です。
I was looking forward to seeing the new movie but it was a bit of an anticlimax.
新しい映画を見るのを楽しみにしていたが、竜頭蛇尾の感があった。
直訳っぽく「start big and end small」つまり「大きく始まって、小さく終わる」と表現してもよいでしょう。 「big」と「small」は動詞を修飾しているので、本来は形容詞ではなく副詞にすべきですが、強調するために口語では形容詞を使うことも可能です。 「start big and end small」という正式なイディオムがあるわけではありませんし、抽象度が高い表現なので、相手が意味わかっていなさそうなら、追加で説明するのがよいでしょう。
The event started big but ended small.
イベントは竜頭蛇尾だった。
いかがだったでしょうか? 「竜頭蛇尾」について理解出来たでしょうか? ✔読み方は「りゅうとうだび」 ✔意味は「はじめは勢いが良いが、終わりの方は振るわなくなること」 ✔語源・由来は公案集の禅語 ✔類語は「虎頭蛇尾」「頭でっかち尻すぼみ」など