「鬼が笑う」とは現実性が低いことや予測ができないことを話す人をからかう時に使う慣用句です。「鬼」とは本来笑わない存在のたとえで、「笑う」は「笑顔」ではなく人を馬鹿にする「嘲笑」です。強面の鬼でさえおかしくて嘲笑してしまうほど、現実離れしているというニュアンスです。「来年のことを言うと鬼が笑う(=不可能な未来予測をするなんて馬鹿げているの意)」などと使います。
「鬼が笑う」とは、 実現性がないことや予想ができないことを人が言ったときに使う言葉です。 「あれこれと言っても仕方がない、意味がない」という意味合いで人の発言をからかう時に使います。 ここでの「笑う」は、「笑顔」ではなく、人を小馬鹿にする「嘲笑」の意味合いです。 「鬼」は、笑わない存在の比喩表現で使われています。 「鬼」は本来笑うことがないが、そんな鬼でさえも嘲笑してしまうほどおかしな話をしている人に対して使う慣用句です。 「鬼が笑う」はよく「来年のことを言うと鬼が笑う」という諺(ことわざ)で使われることが多いです。 他の言い回しには、
などがあります。 また、「鬼」ではなく、「烏(からす)」や「鼠(ネズミ)」などを用いて、
と表現することもあります。 本来は笑うはずがない動物さえも嘲笑ってしまうというニュアンスで使われています。
「鬼が笑う」の語源は、上方のいろはかるたと言われています。 上方とは、大阪や京都を含む畿内(都や皇居に近い地域)を呼んだ名称です。 天明(1781~1789年)に京都で考案された上方いろはかるたの「ら」の読み札に「来年のことを言うと鬼が笑う」と書かれていたことが由来とされています。
「先のことなど誰にもわからない」といった意味での類語は「三日先知れば長者」です。 「先見の明があれば大金持ちになれる」という意が転じて「先のことなどわかる人はいない」という意味合いがあります。 「先見の明」とは「将来どうなるかを前もって見抜くこと」という意味があります。
「何が起きるかわからない未来について考えても仕方がない」といった意味での類語です。 「将来のことは全く予測できないこと」のたとえとして使うことわざです。 「一寸」は「一尺」の10分の1、約3センチです。 目の前のことでさえ何もわからないのに、もっと先の未来のことなんて考えてもわからない、無駄、というニュアンスがあります。 「一瞬先は闇」という形は誤用ですので注意しましょう。
「来年のことを言うと鬼が笑う」のことわざのように「何が起きるかわからない将来について考える」といった意味での類語で「捕らぬ狸の皮算用」があります。 「とらぬたぬきのかわざんよう」と読みます。 意味は「手に入るかどうかわからないものに期待をかけて計画を立てること」です。 「算用」は「金銭の額や物の数量を計算する」という意味です。 狸を捕らえる前から、タヌキの皮を売って儲ける計算をすることが由来とされています。 「捕らぬ」は、「取らぬ」「獲らぬ」とも書きます。 また「かわざんよう」を「革算用」と書くのは誤りです。
こちらも「現実味のないことをあれこれと考える」といった意味での類語です。 上記でご紹介した「捕らぬ狸の皮算用」の類語でもあります。 意味は「何かを入れる前にその使い道を早々と計画すること」です。 空を飛ぶ鳥を見て、捕まえもしないうちから料理の献立を考えることが由来とされています。
上記でご紹介した「捕らぬ狸の皮算用」や「飛ぶ鳥の献立」と同義です。 「あなのむじなをねだんする」と読みます。 意味は「あてにならない事をあてにする愚かさ」です。 「狢」とはアナグマや狸のことを指します。 捕らえる前から狢がいくらで売れるかと予想することが由来とされています。
「来年のことを言うと鬼が笑う」の反対語に「昔のことを言うと鬼が笑う」ということわざがあります。 意味は「過ぎてしまった過去の話をしても今更何も変わらない、取り返しがつかない」です。 「来年のことを言うと鬼が笑う」と同じように、昔のことを思い出したり考えたりするのは、鬼でさえも嘲笑してしまうほど無駄なことというニュアンスです。
「鬼が笑う」をそのまま英語にすると「A demon laughs.」ですが、これだと意味が伝わりません。 「現実性がない、予想がつかない、馬鹿げた」という意味の英語には、
などがあります。
「嘲笑する」という意味の英語には、
などがあります。 「人を小馬鹿にする」といった意味では「make fun of...(...を笑いものにする)」という英語表現もあります。
「来年のことを鬼が笑う」と似た意味の英語のことわざに「Don't count your chickens before they're hatched.」があります。 直訳は「卵がかえる前にひなを数えるな。」となり、「まだ手に入るかどうかわからないものを当てにして計画を立てることは良くない」というニュアンスです。
「明日や未来の事は誰にもわからない」というニュアンスを伝えるには、
と表現することができます。
いかがでしたか? 「鬼が笑う」について理解は深まりましたか? 「鬼が笑う」とは「実現性の低いことや不確定なことをあれこれと議論しても意味がない」と人をばかにする慣用句です。 ここでいう「笑う」は微笑むではなく、嘲笑うという意味です。 不可能なのに未来予測をする人や高すぎる目標を掲げている人をからかう時に使われます。