「心機一転(しんきいってん)」とは「あることをきっかけに、気持ちががらりとよい方向に変わること。また、ある動機で心の在り方をよい方向に変えること」を意味する四字熟語です。「心機」は心の動き、「一転」は大きく変化することを意味します。「心気一転」と書くのは誤りなので注意です。
「心機一転」の読み方は「しんきいってん」です。 「しんきいちてん」ではないので注意しましょう。 また「心機」の漢字を「心気」とするのは誤用です。
「心機一転」の意味は「ある事柄をキッカケに気持ちがすっかり変わること」です。 また、「自ら気持ちを変える」「心を入れ替える」といった意味もあります。 主に、良い方向に気持ちが変わる場合に使われています。 あるきっかけから、気持ちがポジティブな方に向かっていくことを指して使われることが多くなっています。
「心機一転」は熟語の「心機」と「一転」から成り立っています。 「心機」の意味は ①「心持ち」「気持ち」「気分」 ②「心がはればれしないこと」「くさくさすること」 です。 ②の意味では「辛気(しんき)」と表記されることが多いですが、「心気」でもこの意味で「心気臭い」で「しんきくさい」と使うこともあります。 「一転」の意味は ①「一回転」「ひとまわり」 ②「がらっと変わること」「がらりと変えること」 です。 この2つが組み合わさり「気持ちががらりと変わること」となりました。 そして「心気」には「晴れ晴れしない」といった意味もあるため、「晴れ晴れしない気持ちが変わること」から「良い方向へと心持ちが変わる」といった意味として多く使われています。
「新規一変」といった言葉はありません。 「しんきいっぺん」が「しんきいってん」と音の響きもほぼ一緒であり、漢字からも「新しく変わる」と近い意味で解釈できることから誤用されることが多くなっています。 上述しましたが、「心機」と「心気」は意味が似ていますが、「心気一転」という四字熟語はありませんので注意してください。
「心機一転」はよい方向に気持ちが変わる場合に用いられることがほとんどです。 「心機一転」は主に
と使います。 「心機一転する」は、自ら気持ちを切り替えることです。 「心機一転して」は、例えば「心機一転して再チャレンジした」とした場合、気持ちを切り替えてもう一度挑戦したといった意味になります。
例文
「心機一転」は恋愛にも使います。 恋人と別れた時や好きな人に振られてしまった時に、落ち込んだりもしながら「心機一転しよう!」と次の新しい恋をしますよね。 この時に心機一転したい人は、未練のある相手の連絡先や画像を削除したり思い出の品を捨てたりするといいでしょう。 また髪型などを変えたり自分磨きをして心機一転する人もいます。 女性が失恋したら長い髪を切る、というのも心機一転のひとつですよね。
「心機一転」はビジネスシーンでも使います。 「心機一転」自体は敬語ではないので、他の敬語表現と併用します。 「心機一転を図る」とは「気持ちを新たに出来るように計画する」といった意味です。 仕事でも、行き詰まったりする時ってありますよね。 事業が伸び悩んでいる時や負のループから抜け出したいと思った時に、ビジネスモデルを変更したり他の事業に参画したりします。 そういった時に「心機一転を図る」と使います。 敬語で用いる場合は「心機一転を図りましょう」などと語尾を敬語にしましょう。
「心機一転、頑張ります」などと異動時の挨拶や意思表明、抱負を述べる時にも使います。 やはり部署や店舗の異動は、新しいスタートになります。 そういった際に、次の場所で気持ちも新たにして頑張るということを伝えることが出来る言葉です。 このように「心機一転」は、副詞的にも使うことができます。
「心機一転」は履歴書の転職理由にも使うことが出来ます。 例えば、前職が倒産した時やリストラした時に新たに仕事を探さなければなりませんよね。 その時に「リストラ(もしくは倒産)した為に、転職活動しています」とだけでは良い印象を与えません。 そこで「これをチャンスと捉え、新しい場所で心機一転頑張りたい」とすると、相手にポジティブな印象を与え元気に仕事をしてくれると思ってもらえます。 また、業種を変えて転職活動する際にも使うことが出来ます。 この場合は「前職での○○の部分を生かしつつ、心機一転△△として飛躍したい」とすると、ポジティブな印象を与えます。
「心機一転」はオフィス移転などのお祝いメッセージでも使われます。 例えば 「事務所移転おめでとうございます。 とても立地の良い場所に移転されたとお伺いしました。 心機一転、気持ちも新たに頑張ってください。 ご多忙になられることと思いますが、貴社の益々のご発展と社員ご一同のご健勝を祈念いたします。」 などと使います。
「気分一新」は「きぶんいっしん」と読みます。 意味は「物事をするにあたって、気持ちを新たにすること」です。 「一新」とは「すっかり新しくなる」「新しくなること」です。 気持ちを前向きに新しくしていくことを表し、自分の心の持ちようです。 「心機一転」は何か気持ちが変わるきっかけとなることが起こっている時に使う点が違いとなります。
「気分転換」の意味は「今までの気分と切り替えること」です。 主に、不快になった気持ちやふさぎ込んでしまった気持ちを、前向きな気持ちに切り替えることです。 そのために行動をすることも「気分転換」と言います。 例えば、仕事でミスをして落ち込んでいる時に、「気分転換にコーヒーを買いに行く」のように使いコーヒーを買うことで気持ちをリフレッシュし、ポジティブな方向へ変えていきます。
「緊褌一番」の読み方は「きんこいちばん」です。 意味は「気持ちを引き締めて、物事に臨むこと」です。 気合を入れ、覚悟を持って事にあたることです。 「緊褌」は「ふんどしを引き締めること」です。 「褌」は「ふんどし」と読みます。 「一番」は「ここ一番」などと使うように、「思い切って」「大勝負の前の心構えを言う言葉」です。
「心新たに」「気持ちも新たに」の意味は「これまでの考えや気分を捨て、新しい気持ちで物事に望むこと」です。 「気分一新」とほぼ同義です。 「気持ちも新たに」は自分の環境や状況が変わる時によく使います。 例えば昇進や異動をしたり、引っ越しなどをした際に「立場変わり、気持ちも新たに頑張ります」などと使います。
「気を取り直す」の意味は「元気を取り戻すために思い直すこと」です。 「気を取り直す」は何かネガティブなことが発生した直後に使います。 「心機一転」もネガティブなことが起きた後にも使いますが、特に悪いことが起きていない時でも使うことができます。
「気分が下がる」といった意味の四字熟語に「意気消沈」があります。 「意気消沈」の読み方は「いきしょうちん」です。 意味は「元気がなくなること、勢いが消え失せること」です。 すっかりと沈んでしまうことを表します。
他に「気分が下がる」といった意味合いの言葉には 「落ち込む」 「萎える」 「気が滅入る」 「無気力になる」 などがあります。
「心機一転」の英語でよく「change my mind」が紹介されますが、これは意味が違います。 「change my mind」は「考え方が変わった」というニュアンスです。 例文で使い方を確認して見てください。
At first I thought she is very mean, but after I talked with her a little, I changed my mind.
最初彼女は性格が悪いと思ったが、少し話した後に考えが変わった。
「心機一転する」と同じ意味をもつ英語のイディオムに「turn over a new leaf」があります。 直訳すると「葉っぱをめくる」という意味かな?と思いがちですが、この「leaf」は「葉っぱ」ではなく「書物の1ページ」です。 昔は葉っぱで紙を作っていたため、「leaf」にはこの意味があるのです! 書物を人生にたとえて、新たな1ページを刻むというニュアンスです。
Recently I've felt sick of my life, so I decided to turn over a new leaf and study abroad in London.
最近人生に嫌気がさしていたので、心機一転してロンドンに留学することを決めました。
いかがでしたか?「心機一転」の意味と使い方はご理解いただけたでしょうか? 「心機一転」は「しんきいってん」と読みます。 「心気一転」と誤記しないように注意しましょう。 「心機一転」は「気持ちをよい方向に大きく変える、または変わる」という意味の四字熟語です。 仕事や恋愛など様々な場面で使用することができます。 類語には「気分一新」があります。