「不撓不屈」とは「どんな困難にも決してひるまず、負けないこと」を意味します。「不撓」「不屈」はともに「くじけない」を意味します。「撓」は「たわむ。まがる。くじける」を意味する漢字です。「不撓不屈」は「ふとうふくつ」と読みます。「不撓」を「ふぎょう」「ふじょう」と読むのは誤りです。「不撓不屈の精神」などと使います。
「不撓不屈」の読み方は「ふとうふくつ」です。 「撓」は音読みで「トウ・ドウ」、訓読みで「たわむ・みだす」と読みます。 「撓」は「そり曲がること」を意味します。 真っ直ぐだったものが、強い力を加えられてそり曲がった形になることを表す場合に「撓む(たわむ)」を使います。 自然に曲がることだけではなくて、自分で意図的にものを曲げることも表します。 そこから「諦める、疲れる、心がくじける」といった意味も持つようになりました。 「屈」は音読みで「クツ」、訓読みで「くっする・かがむ・くぐまる」と読みます。 「屈」は「かがむ」の他に「くじける」「従う」「尽きる」といった意味があります。 「屈する」は「折れ曲がる」「勢いや意欲がなくなる」ことを表します。 その「撓」と「屈」に、「否定する」といった意味を持つ打ち消しの語「不」が付き「不撓不屈」となります。
「不撓不屈」の意味は「強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけないこと」です。 何があろうとも消して諦めないこと、志を曲げないことを表します。 「撓」にも「屈」にも「くじける」「諦める」といった意味があります。 それらを「不」で打ち消しているため「くじけない」「諦めない」といった意味となります。 そして「不撓不屈」と「くじけない」といった意味を2度繰り返すことで強調しているため「何があっても、どんな苦難にもくじけない」といった意味になります。
「不撓不屈」の語源となっているのは中国の『漢書』の「楽昌篤実、不撓不屈」です。直訳は「楽昌(がくしょうこう)は篤実で、撓まず屈せず」となります。 意味は「楽昌の性格が誠実であり、どんな時も志を曲げない」で、楽昌が素晴らしい人柄であることを評価しています。これが元なり「不撓不屈」が用いられるようになりました。 要するに、「不撓不屈」の由来は故事成語となります。 ちなみに「楽昌」とは楽昌侯となった王商(おうしょう)という人物のことです。
「不撓不屈」は主に座右の銘として用いられることが多くなっています。 何事にも諦めない心は大事ですよね。 自分の夢を叶えるためにも、自分で諦めないようにするために座右の銘にする人が多いのでしょう。 よく使われる言い回しには「不撓不屈の精神」があります。 これは「どんな時も諦めず、強い志を持ち続ける精神」を表し、自分が掲げた夢や目標に向かって進み続けることを表します。 仕事や人生の目標に対して使われています。 偉人の多くも「不撓不屈の精神」で事を成し遂げたといったことも多いことから、座右の銘や人生のテーマとする人が多くなっています。
例文
不撓不屈の類語には
などがあります。 「七転八起」の意味は「何回失敗しても、諦めずに立ち上がって奮闘すること」です。 いくら落ち込むことがあっても、そこで屈せずに再び挑戦することで良い事が起きることを表します。 「剛毅果断」の意味は「強い志があり、決断力があること」です。 「剛毅」は「意志が強くくじけないこと」、「果断」は「思い切って事を行う決断力に富んでいること」を表します。 「雑草魂」は「ざっそうだましい」と読みます。 意味は「雑草のように何度踏まれても丈夫である強い心」です。 主に高貴な身分ではない人が使います。裕福な人生では身につかない、不遇を耐え忍び生きてきたからこそ手に入る精神力を指します。
例文
「不撓不屈」の対義語には
などがあります。 「意志薄弱」の意味は「物事をやり抜く心が弱いこと」です。 困難な状況にすぐ挫折したり、他人の意見によって諦めたり決断出来なくなったりすることを指します。 「薄志弱行」の意味は「意志が弱く実行力がないこと」です。 意気地がないために、物事を実行する勇気のないことを表します。 「付和雷同」の意味は「自分に一定の見識がなく、ただ他の説にわけもなく賛成すること」です。 決まった考えがなく他人の意見に軽々しく従うことや、自分の主義・主張を持たずに人の言動につられて行動することを表します。
例文
「不撓不屈」の英語には、
などがあります。
The Prime Minister showed an unyielding commitment to solving the economical issues of Japan.
首相は日本の経済的問題の解決に関して、不撓不屈の決意を示した。
いかがだったでしょうか? 「不撓不屈」について理解出来たでしょうか? ✔読み方は「ふとうふくつ」 ✔意味は「意志が強くどんな苦難にもくじけないこと」 ✔主に「不撓不屈の精神」と使われる ✔類語は「七転八起」「勇猛精進」、対義語は「意志薄弱」「優柔不断」など