「目を細める」とは「嬉しさで笑みを浮かべる」という意味の慣用句です。愛らしい子供の姿や可愛らしい小動物などを見た時などに使います。怒りや不快感、心配事を表す時に使うのは誤用で、その場合は「眉をひそめる」を使います。ちなみに「目を細める」は「目を細くする」が正式な言い方になります。
「目を細める」の意味は2つあります。 ①「目の開き方を小さくする」 ②「嬉しさで笑みを浮かべる」 です。 ①は物理的に、ただ上まぶたと下まぶたに力を入れて目の開きを小さくすることを指します。 ②は慣用句であり、微笑ましい気持ちや嬉しい時の表現として「目を細める」と使います。 微笑む時や安心した時って、自然と目が細くなりますよね。 ちなみに、目を細めると文字がよく読めるのは光の量が制限されてボヤけなくなるからです。
「目を細める」の2つ目の意味では「目を細くする」という表現が正式な表現です。 嬉しいことがあってニコニコしたり、目にしたものに対して愛おしさがある時に微笑んだりすることを「目を細くする」と言います。 「〜を見て目を細くする」「〜に目を細くする」といった使い方をします。
「目を細める」は嬉しさや愛おしさで微笑む時に使います。 疑いや不快感を示す時に目を細める人がいますが、日本語の慣用句「目を細める」にはこの意味はありません。 確かに怒っている時や疑いを持った時にも目を細めることはありますが、その場合は「眉をひそめる」を使いましょう。 「眉をひそめる」については、対義語のところで解説します。
「目が細まる」とした場合は自然発生的な意味合いが強くなります。 嬉しかったり愛おしかったりして、無意識に目が細くなってしまう時に使います。 主に、小説などで用いられています。 嬉しさを強調するために受動態で表現します。 「孫の成長に思わず目が細まる」などと使います。
例文
「目」を含む慣用句は多く存在しますが、今回は目の形に限定した慣用句との意味の違いに注目したいと思います。
「目を開く」の意味は「これまで知らなかったことに初めて気付く」です。 「知識を得たり真理を悟ることで、新しい境地を知る」ことを表しています。 例えば新しい勉強を始めたり、本を読んだりすることで「目を開く」ことがあります。 人から話しを聞いたりして、新しいことを知ったり奥深さを知ったりした場合にも使います。 物理的には「閉じた目を開ける」といった意味も持ちます。
例文
「目を細める」を怒りの意味で使うのは誤用であると上述しましたが、その場合は「目を三角にする」と言い換えれば問題ありません。 「目を三角にする」の意味は「目に角を立てること」です。 目を怒らせて、怖い目つきをすることを指します。 円い目の形が変わるほど怒っている様子を表します。 そのため怒りの度合いはとても高くなっています。
例文
「目を丸くする」の意味は「驚いて目を見張る」です。 びっくりした時で目を大きく見開きますよね。 そうすると目の形はまん丸くなります。 そのことから「目を丸くする」は驚いている様子を表します。
例文
「目を長くする」の意味は「気を長くして見る」です。 短気を起こさずに、我慢して見ることを表しています。 一般的にはあまり使われていません。 また「長い目で見る」といった言葉もあります。 この意味は「ある事柄を現状だけでは判断を下さず、気を長く持って将来を見守る」です。 これはよく使われる表現となっています。 どちらも「長い」は「気の長さ」を表しています。
例文
「目を皿にする」は「目を大きく見開いた様子」を表します。 物を探している時や、驚いている時などに人は目を大きく見開きますよね。 そういった際に「目を皿にする」「目を皿にして」と使います。 これは目が見開かれることによって、白くて円いお皿のようであることから「目を皿にする」といった慣用句が使われています。
例文
「顔が綻びる」は「かおがほころびる」と読みます。 意味は「緊張して固くなった表情が緩むこと」「結んでいた口もとが緩むこと」です。 緊張のあまり真顔になっていたり表情が固くなっていた人が、緊張が解けて笑顔になったり表情がやわらぐ時に使います。 「口元が綻びる」と使うこともあります。 また、同じ意味の言葉に「頬を緩める(ほほをゆるめる)」もあります。
例文
「笑みが溢れる」は「えみがこぼれる」と読みます 意味は「思わず微笑んでしまうこと、笑ってしまうこと」です。 自ら笑おうとしたのではなく、楽しいことや嬉しいことがあった時に感情が溢れて笑顔になってしまうことを表します。 つい目を細めてしまったり口角が上がってしまうことを指します。
「目尻を下げる」の読み方は「めじりをさげる」です。 意味は「満足したような顔つきをする」です。 嬉しい時や気に入った時に満足した表情になることを「目尻を下げる」と言います。 また、「女性に見とれてだらしない顔をする」といった意味もあります。 この場合は「いやらしい目つき」のことです。
「相好を崩す」は「そうごうをくずす」と読みます。 意味は「顔をほころばせて心から喜ぶさま」です。 喜びや笑いが、自然とあふれてきて表情にあらわれることを指します。 「相好」の意味は「顔つき、表情」です。 元々は「仏の体に備わっている特徴」を指し、「32の相と80種の好の総称」でした。 「相好を崩す」は「顔つきが崩れること」ですので、顔をくしゃくしゃにして喜ぶことを表します。
「破顔」は「はがん」と読みます。 意味は「顔をやわらげて笑うこと」です。 微笑む様子を表します。 また、花が開くことを指して使うこともあります。 四字熟語には「破顔一笑」というものがあります。 意味は同じで「顔をやわらげてにっこり笑うこと」です。 「破顔する」「破顔一笑する」などと使います。
「怒る」といった意味を持つ慣用句には
などがあります。 「口を尖らす」の「怒っている時や言い争っている時の口付きや不満な表情」を表します。 むすっとしている顔つきを指します。子供が拗ねたりすると口を尖らせますよね。 その顔つきを表しています。 「目くじらを立てる」の意味は「目をつり上げて他人のあら捜しをする」です。 「目くじら」とは「目尻」のことで動物の「クジラ」とは関係ありません。 元々は怒った時の表情だけを指していましたが、最近では責めることや咎めることを表すことが多くなっています。 先ほども説明した「目を三角にする」も対義語になります。
「悲しむ」といった意味を持つ慣用句には
などがあります。 「胸がつかえる」の意味は「悲しみや心配事の感情で、胸が苦しくなる」です。 悲しいことがあると、胸が圧迫されるように苦しくなりますよね。その様子を表しています。 「胸が張り裂ける」の意味は「悲しみや苦しみなどによって、胸がいっぱいになり苦痛を感じる」です。 袋などもいっぱいになると張り裂けてしまいますよね。それを胸に悲しみや苦しみでいっぱいになっていることをたとえて使われています。「胸が裂ける」とも使います。 「断腸の思い」の意味は「はらわたが千切れるほど悲しく辛い気持ち、深い悲しみ」です。 それほど耐え難い悲しみのことを指します。
「目を細める」を英語に直訳すると「narrow my eyes」です。 しかし「narrow my eyes」だと英語では疑いや不快感を示すイディオムです。 「narrow my eyes」は「眉をひそめる」という和訳がぴったりです。
She suddenly paused and narrowed her eyes in conversation.
彼女は会話中に突然止まって眉をひそめた。
「smile」には名詞と動詞があり、様々な表現があります。
She had a big smile on her face.
She has a nice smile.
She gave me a smile.
いかがだったでしょうか? 「目を細める」について理解出来たでしょうか? ✔意味は「目の開き方を小さくする」「嬉しさで笑みを浮かべる」 ✔「目を細める」は「目を細くする」が正式な言い方 ✔怒った時に使うのは誤用 ✔類語は「顔が綻びる」「笑みがこぼれる」など ✔対義語は「口を尖らす」「胸がつかえる」など