「嗜虐心(しぎゃくしん)」とは「人や動物を痛めつけたり虐げたりするのを好む心理」を指します。いわゆるドSです。「残虐なことを好む」という意味の「嗜虐」に「心」が付いた熟語です。「嗜」が好むこと、「虐」がむごいの意です。
「嗜虐心」の読み方は「しぎゃくしん」です。 「嗜」は「し」と読みます。 一般的に「嗜好品(しこうひん)」がよく使われています。
「嗜虐心」の意味は「残虐なことを好む心理」です。 「嗜虐」の意味が「残虐なことを好むこと」です。 「嗜虐」のみの場合は性癖を指すこともあります。 そこに「心」が付くことで「心理や気持ち」を表します。 そのため「嗜虐心」とした場合は性癖は含まれません。 人や動物などを痛みつけてることを好むといった心情のみを表します。 残酷な様子を表すとても怖い言葉です。
「嗜」と「虐」の漢字のそれぞれの意味を説明していきます。 「嗜」は訓読みで「嗜む(たしなむ)」と読みます。 意味は「特別に好む」「好み」です。 「口」と「耆」という字から出来ています。 「耆」は音によって意味が異なりますが、「たしなむ」と読む場合は「旨」という字に通ずることから、「口」と合わせて「旨い(うまい)、味わう、好む」といった意味を持ちます。 「虐」は訓読みで「虐げる(しいたげる)」と読みます。 意味は「いじめる、むごく扱う」「むごい、厳しい」「災い」です。 「虎」と「爪」と「人」という字から出来ています。 虎が爪を出して人を掴む様子を表し、そこから「むごい」を意味するようになりました。 その2つが重なり「いじめることを特別に好む」となります。
「しぎゃく」と読む言葉に「弑逆」があります。 慣用読みで「しいぎゃく」と読むこともあります。 意味は「主君や父親を殺すこと」です。 「弑」という字は音読みで「弑する(しいする)」と読みます。 「弑する」の意味も「主君や父親を殺すこと」です。
「嗜虐心」は人や動物を痛め付けることを快感とする人の心理を指して使います。 「嗜虐心」の主な言い回しは
などです。 また、他にも「嗜虐」は、
などといった使い方もします。 「嗜虐症」は異常性欲のひとつです。 「サディズム」「サディスティック」などとも言われています。
例文
昨今では「人をからかうのが好きな人」の気持ちを指して「嗜虐心」と使われています。 この場合は本来の残酷な意味合いはなく、友達同士でイジったりするのを楽しむ程度です。 たまにこのからかいの度が過ぎて友人関係に亀裂が入ることもありますよね。 からかっていて楽しくても、相手がそれに対して不快に思ったり傷付いてしまうこともあるので、このような嗜虐心を持っている方も注意が必要です。
「加虐心」は「かぎゃくしん」と読みます。 意味は「人をいじめたり苦痛を与えたいという気持ち」です。 「嗜虐心」は「加虐を好む気持ち」であり、「加虐心」は「加虐したい気持ち」のことです。
「自虐」は「じぎゃく」と読みます。 意味は「自分で自分を傷付けること、いじめ苦しめること」です。 「自虐」は他人ではなく自分自身を虐げたり責め立てたりすることを指します。 昨今では「自虐ネタ」などといって、「わたしデブだから」と自分自身の外見をいじったり、「俺はスポーツも勉強もできない」などと出来損ないのエピソードなどを言って笑いを取ることが多いですよね。その場合は強い苦痛を与えるというよりも、自分の欠点などを自ら発言することを指します。
「暴虐」は「ぼうぎゃく」と読みます。 意味は「乱暴でむごい仕打ちをして、人を苦しめること」です。 荒々しいふるまいをして人を傷つけたり苦しめたりすることを指します。 四字熟語に「暴虐非道(ぼうぎゃくひどう)」という言葉があります。 意味は「むごたらしく人を苦しめ、人の道を踏み外すこと」です。
「サディスティック」の意味は「残酷なことを好むこと」です。 一般的には「S(エス)」「ドS(ドエス)」などと言われることもあります。 「SM」の「S」であり、「M」は対義語で説明しますが「マゾヒスティック」のことです。
「グロ好き」の意味は「グロテスクなことが好きであること」です。 「グロテスク」とは「気味が悪いもの」「あくどいもの」です。 血が吹き出るような映画を「グロい」などと言いますよね。
「被虐」は「ひぎゃく」と読みます。 意味は「他から虐げられること」「残酷な取り扱いを受けること」です。 「被虐性愛」という言葉もあり、これは人からいじめられることを好む性癖のことです。 「マゾヒズム」とも言い「サディズム」の対義語となります。
「嗜虐心」の英語は「sadistic」です。 日本でも使うSの語源が「sadistic」または「sadist」です。
He is a sadistic serial killer.
彼は嗜虐心のある連続殺人犯だ。
いかがだったでしょうか? 「嗜虐心」について理解出来たでしょうか? 「嗜虐心」って、とても怖い言葉ですね。 嗜虐心を持った方が、虐待やDVなどを起こしてしまうのでしょう。 しかしながら、多くの人がある意味、嗜虐心を持って日々生活しているともいえます。 例えば、虫を殺生したり、牛革のバッグを愛用したり、鶏肉を食したり。。。 直接的に生き物を痛めつけるだけが嗜虐心ではないことも心に留めておきたいものですね。