「淡々と~をする」「粛々と~をする」という言い回しを聞いたことがあると思いますが、「淡々と」「粛々と」の違いはご存知でしょうか?今回は、「淡々と」「粛々と」の意味を使い方を例文付きで紹介します。「淡々と」「粛々と」の違いや、それぞれの類語も紹介しますので参考にしてください。
▶「淡々と」・・・「あっさりして淡泊なさま」 ▶「粛々と」・・・「静かでおごそこなさま」
「淡々と」は、色味や味、人の態度や行動があっさりとしていることをいいます。 「粛々と」は、静かに重々しく礼儀正しく物事が行われる様をいいます。
「淡々と」は「たんたんと」と読みます。 「淡々」は「淡」という漢字を二つ重ねた言葉になります。 「淡」は、音読みで「たん」訓読みで「あわい」と読みます。 「淡」という漢字には「あわい・色味などが薄い」という意味の他に「気持ちがさっぱりしている・こだわらない」という意味があります。
「淡々と」の意味は「あっさりして淡泊なさま」です。 「淡」という漢字は上記でも説明した通り、「あわい・色味などが薄い」という意味の他に「気持ちがさっぱりしている・こだわらない」という意味がある漢字で、「淡々と」は同じ漢字を二つ重ねることでその意味を強調している言葉です。 あっさりと、しつこさやこだわりのないような様を「淡々と」といいます。
「淡々と」は人の様子に対して使う言葉です。 「冷静で無駄のない話し方・落ち着いている態度」という意味合いで使用されます。 例えば、「淡々と話す」は良く使われている言い回しですが、「淡々と話す」は「落ち着いていて、言葉に無駄がなく話す」というような意味合いになります。 感情の起伏があまり見えない様子ということです。 このように、「淡々と」は人の態度や様子に使用されます。
●冷静に 「冷静に」の意味は「感情に左右されないで、落ち着いている様子」です。 感情に左右されずに落ち着いて思考し、行動にでる様子を「冷静に」といいます。 〇「冷静に」を用いた例文
●落ち着いて 「落ち着いて」は、「落ち着く」の連用形である「落ち着き」に接続詞の「て」を付けた言葉です。 「落ち着いて」の意味は「気持ちが静まっていること」です。 または、「おさまりのよこと」です 〇「落ち着いて」を用いた例文 「今は落ち着いて判断することができないと思う」 「大丈夫ですよ、落ち着いてください!」 「もう少し冷静に判断すべきだったと後悔している」 ●平然と 「平然と」の意味は「何事もなかったかのように落ち着いて」です。 起きたことに対して動じない様を「平然としている」というように言い表します。 〇「平然と」を用いた例文 「人が傷ついているというのに平然と笑っている彼女の神経を疑う」 「38度の熱があっても彼女は平然と仕事をしていた」 「彼は家族に隠し事をしながら平然と生活をしていたのだ」 ●無愛想に 「無愛想」は、「愛想」に打ち消しの「無」がついた言葉です。 「愛想」の意味は「人に好感を与える対応のしかた」です。 つまり、「無愛想」の意味は「そっけない態度」というような「人に好感を与えない対応」ということになります。 〇「無愛想」を用いた例文 「隣の人に引っ越しの挨拶をしに行ったら、無愛想な男の人がでてきた」 「人見知りで、初対面の人には無愛想だと思われがちなのが悩みです」 「コンビニの店員さんが無愛想で感じが悪かった」 ●黙々と 「黙々と」の意味は「黙ってなにかをし続けるさま」です。 例えば、「黙ってどんどん作業を進めていく」というような状況に「黙々と作業をする」と使用します。 〇「黙々と」を用いた例文 「気が付けば日付を超えるまで黙々と仕事をしていた」 「内職のような黙々と作業をするような仕事が自分には向いていると思う」 「重たい空気が流れる中ただ黙々と食事をし続けた」
「粛々と」の読み方は「しゅくしゅくと」です。 「粛々」は、「粛」という感じを二つ重ねた言葉です。 「粛」は、音読みで「しゅく」訓読みで「つつしむ」と読みます。 「粛」には「つつしむ・おごそか・身をひきしめる」という意味があります。
「粛々と」の意味は「静かでおごそかなさま」です。 「粛々」は、「つつしむ・おごそか・身をひきしめる」という意味のある漢字を重ねて意味を強調している言葉です。 「静かにしている様」「厳かに心を引き締まるさま」「つつしむさま」を「粛々としている」というように言い表します。
「粛々と」は場面や人の姿勢に対して使う言葉です。 「粛々と」は例えば、お葬や結婚式といった冠婚葬祭など、格式や礼法、作法に従って身を引き締めて執り行われる場面に使用されます。 そういった場面を「粛々としている」「粛々と~をする」というように言い表します。 本来は、「上から目線」という意味はありませんが、政党が世論の反対意見に耳を傾けずに政策を行っていくという場面で使用される言葉である為、マイナスな印象を与えてしまう可能性があります。 意図する意味合いと違う受け取り方をされない為にも、ビジネスシーンでは「粛々と」よりも「淡々と」を使うほうが良いでしょう
「予想外のハプニングにも動じず粛々と披露宴を進めた」 「大事な会議の為訪れた取引先の人を粛々と対応した」 「粛々とした空気が苦手で、理由をつけて逃げ出した」 「大きなミスをしてしまった事を反省して粛々と仕事をした」 「若い頃に犯罪を犯し、出所後は粛々と生きている」 「今回の件を粛々と受け止め、真摯に対応させていただきます」
●静粛に 「静粛に」の意味は「静かに慎んでいること」です。 「ひっそりと静まり返っていること」を「静粛」といいます。 例えば、「静粛にしてください」とは「静かにしてください」という意味になります。 〇「静粛に」を用いた例文 「皆さん、静粛にしてください。校長先生がお話をしてくださいます」 「先生が静粛に!と一喝すると一瞬で子どもたちが静まり返った」 「静粛だった会場も時間が経つとだんだん騒がしくなっていった」 ●密やかに 「密やかに」の意味は「ひっそりと物静かなさま」です。 また、「人に知られないようにそっと行うさま」を「密やかに」といいます。 〇「密やかに」を用いた例文 「彼の幸せを密やかに祈った」 「結婚記念日を密やかに二人だけで祝った」 「密やかに社内恋愛で愛を育んでいたなんて驚いたなあ」 ●ひっそりと 「ひっそりと」の意味は「物音や人声がしない静かなさま」です。 「静かに目立たないようにすること」を「ひっそりと」と言い表します。 〇「ひっそりと」を用いた例文 「門限を過ぎてしまったので親にばれないように、ひっそりと家に入った」 「どうしても心配だったので、子どもの後ろをひっそりとついていった」 「犯人はこの家でひっそりと生活をしていたと思われる」 ●おごそかに 「おごそかに」の意味は「重々しい・礼儀ただしく近寄りにくいさま」です。 「威厳を感じるさま」を「厳かに」といいます。 〇「おごそかに」を用いた例文 「厳かに審査結果が発表された」 「披露宴は厳かに行われました」 「厳かな雰囲気に近寄りがたさを感じ避けていた」
「淡々と」「粛々と」の違いについて理解していただけましたか? ✓「淡々と」の意味は「あっさりして淡泊なさま」 ✓「粛々と」の意味は「静かでおごそこなさま」 ✓「淡々と」は人の様子に対して使う言葉 ✓「粛々と」は場面や人の姿勢に対して使う言葉 など
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