「杓子定規(しゃくしじょうぎ)」とは、「いつも一つの基準や規則にとらわれて、応用や融通が利かないこと」を意味する四字熟語。曲がった杓子の柄を定規として利用することから。「杓子」とは汁や飯などをすくうのに使う道具で、しゃもじやおたま、かき氷にシロップをかける道具などがそれにあたる。
「杓子定規」の読み方は「しゃくしじょうぎ」です。 「杓子定規」の意味は「何でも一つの形式に当てはめて融通や応用が効かないこと」です。 主に人の性格を表す際に使います。 基本的には「柔軟性に欠ける」といったニュアンスでネガティブな表現で使うことが多いです。
「杓子定規」の語源ですが、杓子を定規の代用としていたことが由来です。 「杓子」とは、調理器具の一種で、汁や飯などをすくいとる道具のことです。汁用の杓子は「お玉杓子(おたまじゃくし)」、飯用は「杓文字(しゃもじ)」と呼ぶのが一般的です。(お玉杓子は、蛙の子のことではありません!) 「定規」は、直線や曲線などを引く時に使う文房具のことです。 昔は杓子の柄は曲がっていて、定規にならないものを定規のように代用することから、「間違った基準で物事を判断すること」という意味が転じて、「全てのことを一つの規則や標準に当てはめて処理しようとすること、またそのために融通の効かないやり方や態度のこと」という意味で使われています。
「杓子定規」は、人の性質や考え方、を消極的に描写する時に使います。 決まった考え方や慣習にとらわれてしまい融通や応用が効かない様子を指します。 「杓子定規」のビジネスシーンでの事例では、
などがあります。 「杓子定規」は、「杓子定規な○○」「杓子定規に▲▲」という形で使うのが一般的です。 主な言い回しは、
などです。
などと副詞的に使うこともできます。
などと人を形容し、非難する時にも使うことができます。
例文
「杓子定規」の類語は、
などがあります。 「四角四面(しかくしめん)」の意味は、「態度や考え方が真面目過ぎて堅苦しいこと」です。 「四角四面な人」「四角四面の応答」「四角四面にあいさつをする」などと使います。 「杓子定規」が否定的な意味合いで使われるのに対し、「四角四面」は肯定的なニュアンスで使われる言葉です。 「頭が固い」の「かたい」という漢字は、「固い」「硬い」「堅い」がありますが、「頭が固い」と表記するのが一般的です。 「頭が硬い」「頭が堅い」という形ではあまり使われません。 「固い」「硬い」「堅い」の使い分けは、対義語を考えるとわかりやすいです。 「固い」⇔「緩い」 「硬い」⇔「やわらかい」 「堅い」⇔「もろい」
「杓子定規」の対義語は、「融通無礙」です。 「ゆうずうむげ」と読みます。 「融通無碍」の意味は、「考え方や行動が何ものにもとらわれることなく、自由に対応できること」です。 「柔軟で融通無碍な態度」「融通無碍に対処する」などと使います。 「融通」は「その場その場で適切な処置をすること」という意味があり、「融通が利く」などと使います。 「無碍」は「何の障害や妨げがなく、自由自在であること」という意味があります。 さらに「杓子定規」の対義語には、「臨機応変」もあります。 「りんきおうへん」と読みます。 「臨機応変」の意味は、「その場その場の状況や変化に応じて適切な処置を施すこと」です。 人の複数の状況に応じた行動そのものを表す言葉です。 「臨機応変に対応する」「臨機応変の処置」などと使います。 「臨機応変」に似た言葉に「当意即妙(とういそくみょう)」という言葉がありますが、「当意即妙」とは、会話において気の利いた発言やタイミング のよい受け答えに対して使います。つまり、「当意即妙」は行動そのものに対しては使いません。 「杓子定規」の反対語には他にも、
などがあります。
例文
「杓子定規」の「形式ばった」という意味の英語表現は「formalism」や「formalist」です。 「formalism」の意味は「形式主義、形式論」で、「formalist」の意味は「形式主義者、形式にこだわる人、堅苦しい人」です。 しかし、これらはフォーマルな英語表現なので、日常会話ではあまり使いません。 「ルールに従う(人)」といったニュアンスで、
などと日常会話では使用します。 「stick」には「固執する、執着する」といった意味があります。 「規則通りにやる」といったニュアンスでは、
と表現します。これらの表現に「頑固」という否定的な意味合いは含まれません。 その他には、
などの英語で「杓子定規」のニュアンスを表現することができます。
She always goes by the book.
彼女はいつも杓子定規だ。
Our boss is a stickler for the rules and regulations.
我々の上司はいつも杓子定規な人だ。
He is too rigid in his opinions.
彼は考えが杓子定規だ。
いかがだったでしょうか? 「杓子定規」について理解出来たでしょうか? ✔読み方は「しゃくしじょうぎ」 ✔意味は「何でも一つの形式に当てはめて融通や応用が効かないこと」 ✔「融通がきかないこと」というニュアンスで否定的な描写として使う ✔類語は「融通無碍」や「臨機応変」など