「ぼんよう」と読むのは「凡庸」と「汎用」のどちらか分かりますか? 昨今では、誤読や誤用が目立つ言葉です。 今回は、「凡庸」と「汎用」のそれぞれの意味、使い方、例文、英語表現、類義語、対義語を解説します! 間違えないように、きちんと理解しておきましょう。
「凡庸」と「汎用」は、実は全く別の意味を持っています! 「汎用」がよく「ぼんよう」と誤読されることから、同じ「ぼんよう」と読む「凡庸」と混同されることが多いようです。 ネット上では「汎用性」と言いたいがために「凡庸性」と言ってしまっている人がかなり多くいます。 ■「凡庸(ぼんよう)」 意味…優れたところや取り柄などがなく、平凡であること。凡人。 ■「汎用(はんよう)」 意味…広い範囲で用いることができること、応用できるもの 混同している人の多い言葉ですが、全く意味が違うものです。 広く使えるものを「万能だ!」と褒めようとしたのに、間違えて「凡庸」という言葉を使うと「なんの取り柄もない」と否定的になってしまいます。 間違って使わないように、「凡庸」と「汎用」の意味はしっかりと覚えておきましょう!
「凡庸」は<ぼんよう>と読みます。 意味は、「平凡で特に優れた所のないこと」「取り柄がないこと」です。 「凡」という字は、「およそ(一般的)」「並(普通)」といった意味があります。 「庸」にも「用いる」「以って」といった意味の他に「常」「普通」「並である」といった意味があります。 その2つが組み合わさり「凡庸」となり、「平凡」や「凡人」である様子を表現する言葉になりました。 しかし、ただ「人並み」「ごく普通」といった意味ではなく「優れた所がない」「取り柄がない」といった意味がありますので、否定的な言葉です。
「凡庸」は物事や人に対して使うことができます。 しかし、否定的な言葉ですので他人に対して使う時は注意しましょう。 言い回しとしては「凡庸な○○(名詞)」「凡庸である」「凡庸なる」「凡庸さ」などと使われています。 使用例として例文をいくつか紹介します。 ぜひ参考にしてみてください!
「凡庸な毎日から抜け出したいが、仕事が落ち着くまでは出来なさそうだ」 「凡庸な日が続けば嫌になるが、嫌なことがあると凡庸な日々に戻りたくなる」 「彼女と一緒にいると自分がとても凡庸なものに思える」 「20年ぶりの同窓会でも、彼の凡庸さは全く衰えていなかった」 「周りから見れば凡庸な趣味かもしれないが、私にとっては唯一の癒やしの時間だ」 「この商品の凡庸さには正直呆れた」
○平凡 意味:これといった優れたところがなく、並なこと …起伏がなく常に平らで何もないことを表す言葉。「凡庸」とほぼ同義だが、「平凡」の方が「ごく普通」の意味が強く「凡庸」はマイナスな印象を持たせる言葉。 (例文)「平凡な毎日がどんどん過ぎていく」 ○平々凡々(へいへいぼんぼん) 意味:きわめて平凡なさま (例文)「平々凡々な生活で不自由はないがさほど楽しくもない」 ○凡下(ぼんげ) 意味:優れたところがなく平凡なこと ○庸劣(ようれつ) 意味:平凡で劣っていること ○坦々 意味:大した波乱もなく物事が過ぎていくこと、平凡なさま ○人並み 意味:世間一般の人と同じ程度であること ○無難 意味:平凡でまずまず無事といったものであること
○偉大 意味:すぐれて大きいこと、立派なこと …「凡庸」の対義語とされている言葉。「偉」は「偉い(えらい)」という字であるが、「大きい」「立派」「優れている」といった意味もある (例文)「彼は偉大な人格を持った人だ」 ○非凡 意味:一般の人よりずっとすぐれていること …「凡人」ではないということ、要するに何か特化したところや取り柄があること (例文)「彼の非凡な才能が経験不足を補う」 ○特異 意味:普通とは異なり特別なこと、特に優れていること ○稀有 意味:めったにないこと、珍しいこと ○鬼才 意味:人間のものとは思えないほどのすぐれた才能、またその才能を持った人のこと ○奇才 意味:世にも珍しいすぐれた才能、またその才能を持った人のこと ○逸材 意味:すぐれた才能のこと、またその才能を持つ人のこと
「汎用」は<はんよう>と読みます。 「ぼんよう」は誤読ですので、注意しましょう。 意味は、「ひとつのものを広くいろいろな方面に用いること」です。 ひとつのものが、さまざまな分野や用途に用いることができることを表しています。 「汎」の訓読みは「汎い(ひろい)」となります。 これは「広い」と同じ意味で「汎」には「ひろい」「ひろくゆきわたる」といった意味があります。 語源は「風を受けて速く流れる」という意味で、「汎」は「川」と「風」を意味する漢字です。 そのため、「汎用」で「ひろく用いる」といった意味になりました。
「汎用」は主に、物や事について用いられています。 あるものが、ひとつの用途ではなく幅広く応用が可能なものに対して使う言葉です。 その際は「汎用○○」や、「汎用性」「汎用的」などと言い回しされることが多くあります。 どのように使うか、例文をいくつか紹介するので参考にしてみてください。
「この製品は汎用的に用いることができる」 「iPhoneとは連絡手段から映像編集、音楽再生など汎用性の高いコンピュータだ」 「靴は汎用的に使えるものを選んでいる」 「ハロウィンの時期は汎用品の制服がネット通販ではよく売れている」 「醤油や味噌など調味料は汎用性の高いものが多い」 「わりかしどんな人ともどんな場所でも馴染めるため”汎用ちゃん”と呼ばれている」
○万能 意味:すべての物事に効能のあること、あらゆることに優れいてること …何にでも効力があること、また、さまざまな物事において巧みであるときに用いる言葉。万事に役立つ様子を表す。 (例文)「彼女にとって山を登ることは心を癒やす万能薬のひとつだ」 「彼は小学生の頃からスポーツ万能だった」 ○多角的 意味:いくつかの方面にわたるさま ○広範囲 意味:範囲が広いこと、そのさま ○多目的 意味:ひとつの物がいくつもの目的を持つこと ○応用が利く 意味:既存の知識や道具を場合に応じて他の物事に適用させることが可能なこと
○専用 意味:特定の人だけが使うこと、特定の目的・対象だけに使うこと …「汎用」は範囲が広く多目的であるのに対して、「専用」は特定された範囲でしかないといった意味になる。 (例文)「顔専用のクリーム」 「課長専用のデスク」 ○限定 意味:物事の範囲や数量を限ること、思考の対象の性質・限界をはっきり定めること ○特定 意味:特にそれと指定すること、また特に定まっていること ○制限 意味:物事にある限界を設けること ○独自 意味:他と違い、それだけに特有であること ○指定 意味:人、場所、時間、事物などを特にそれと定めること
「凡庸」と「汎用」について理解できたでしょうか? ✔「凡庸」は「ぼんよう」と読み、「平凡であること」という意味 ✔「汎用」は「はんよう」と読み、「広く使えること」という意味 ✔「凡庸」と「汎用」は、まったく違う意味を持つ言葉である 特に「汎用」は誤読や誤用が多く、また使用頻度も高い言葉です。 正しく使えるように、しっかりと覚えておきましょう!
元NHKアナウンサーの著者が教科書通りの敬語ではなく、様々なシーンで使うことができる生きた敬語表現を紹介しています。文法的に正しい敬語でも、言い回しや場面によっては相手に不快感を与えてしまう場合があります。こちらの本では ”気の利いた敬語” の使い方を、言葉のプロがコンパクトに解説しています。
同じ内容でも伝え方次第で結果が全く変わってしまう。そんな経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか?実は言葉の選び方や順序には公式があり、それに気付きさえすれば、ビジネスシーンだけではなく人生全般でのコミュニケーションを円滑にすることができます。こちらの本では、相手の返事を「ノー」から「イエス」に変える具体的な方法が体系化されています。
偏差値35だった筆者が、二年間の浪人と東大合格の末にたどり着いた読書術を余すところなく大公開しています。文章を読み込む力や論理的に整理する力などが劇的に向上する実践的な読み方が分かりやすく解説されています。仕事・勉強の生産性を上げたい人にも読書嫌いにも効果テキメンの一冊です。