「拝見」という言葉を正しく使えていますか?「拝見」という敬語は間違って使っている方がとても多いことで有名です。そんな「拝見」という言葉を今回は解説していきたいと思います。
敬語「拝見する」の正しい意味と使い方まとめ ✔「拝見する」は「見る」の謙譲語 ✔ 謙譲語なので自分の行為に対して使い、へりくだり相手への敬意を示す ✔「拝見します」が正しい表現(謙譲語「拝見する」+丁寧語「ます」) ✔「拝見いたします」は二重敬語なので不適切(「いたす」は「する」の謙譲語) ✔「拝見させていただく」も二重敬語なので不適切 ✔ 自分以外の行為に対しては「見る」の尊敬語「ご覧になる」を使う
それでは「拝見する」の使い方を詳しく見ていきます。
「拝見」は「はいけん」と読みます。
「拝見する」ははいけんすると読みます。 「拝見する」「見る」の謙譲語で、自分が見る動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「拝」には「謹んで」という意味があるため、謙遜の気持ちを表すときによく使います。 「拝見する」はメールや書類を「見る」「読む」「目を通す」という意味になります。 「内容や目的を理解する」というニュアンスも含まれています。
「拝見する」は謙譲語です。自分を謙る言葉なので、相手の見る動作に「拝見」を使うと失礼に当たります。 例えば目上の相手に「こちらの資料は拝見されましたか?」と聞くと、逆に相手を下げて自分を高めているという表現になってしまいます。 「拝見」はメール・手紙や資料を確認したことを、相手に伝えるときに使うのが一般的です。 「拝見しました」「拝見します」といったように使うことができます。
「拝見します」は「見る」の謙譲語「拝見する」+丁寧語「ます」なので、丁寧な印象を与えることになります。 例えば、目上の人に見せてもらえるか確認をする場合に「拝見してもよろしいでしょうか」と使いましょう。 「拝見」を使うことで正しい謙譲語を使いこなせているスマートな印象になります。
「拝見いたします」はよく使われる言葉ですが、文法的に正しい使い方ではありません。 「拝見いたします」は「見る」の謙譲語「拝見する」+「する」の謙譲語「いたす」になるため、二重敬語になってしまいます。 二重敬語は回りくどい印象を与えてしまうため、良くないとされていますが、ビジネスシーンで「拝見いたします」「拝見いたしました」は頻繁に使用されています。 文法的には正しくありませんが、慣習的によく使う表現なので、ほとんどの人にとってそこまで違和感のある表現ではありません。 ただ、実際には「拝見します」が正しい使い方なので覚えておきましょう。
「拝見させていただきます」は「見る」の謙譲語「拝見する」+「〜してもらう」の謙譲語「いただく」なので、二重敬語になります。 「させていただく」は、相手から許可をもらい何かをして、それを敬語で報告する表現です。 「拝読いたします」と同様で文法的には正しくありませんが、ビジネスシーンではよく使われています。
「教授が出版された本を拝見しました」 「御社の求人広告を拝見して、メールをお送りいたしました」 「参考文献を送ってくださりありがとうございます。さっそく拝見しました」 「企画書を拝見してもよろしいですか?」
「拝見する」は「見る」の謙譲語でした。 では、「見る」の尊敬語は何でしょうか? 「見る」の尊敬語は、「ご覧になる」「見られる」になります。 尊敬語の場合、相手の行為に対して使います。 目上の人が何かを見る場合に、「ご覧ください」や「ご覧くださいましたか?」というのが正しい言い方です。 また、自分自身のものや会社のものなどを見てもらう場合には、「ご覧になる」に謙譲語「いただく」を付け加えた「ご覧いただく」を使います。 「ご覧いただく」は「見る」の尊敬語「ご覧になる」+「〜してもらう」の謙譲語「いただく」となるので、へりくだった印象を与えます。 また、「ご覧になる」のさらに丁寧な表現に「ご覧くださり」があります。「ご覧になる」+「〜してくれる」の尊敬語「くださり」になるので、相手が行ってくれたことに感謝の意を表します。 ちなみに「ご覧になられる」は二重敬語となるので、注意しましょう。
「詳細につきましては、お手元の資料をご覧ください」 「パンフレットを送付しました。一度ご覧いただければ幸いです」 「当社の商品をご覧くださり、誠にありがとうございます」
「拝聴」は<はいちょう>と読みます。 「聞く」の謙譲語で、「つつしんで聴く」という意味です。 「今日もテレビを拝聴しています」などと口頭ではあまり使わない表現です。 「拝聴」は基本的にメールや手紙など、文面上で使う言葉になります。 よく似た表現に「清聴」という言葉があります。 「ご清聴ありがとうございます」などと聞いたことがある方も多いと思います。 「拝聴」は自分が相手の話を聞くときに使う言葉なのに対して、「清聴」は相手が自分の話を聞いてくれたことに敬意を表す言葉です。
「拝読」は<はいどく>と読みます。 「読む」の謙譲語で、「つつしんで読む」と言う意味です。 「拝見」と同じ自分のことをへりくだった言葉なので、相手の動作には使えません。 「この間送ったメール拝読いただけましたか?」といった表現は間違いになります。
「拝受」は<はいじゅ>と読みます。 「受ける」の謙譲語で、「つつしんで受ける」という意味です。 謙譲語ですので日常生活ではあまり使われませんが、ビジネスシーンでは使われることがあります。 例えばクライアントや取引先から「あの資料、届きましたか」という連絡に対して「はい、拝受しました」などと返事をします。
「観覧」は<かんらん>と読みます。 意味は見物すること、眺めることです。 謙譲語:観覧させていただく
「美術館内をゆっくりと観覧した」 「本日は観覧させていただきありがとうございました」
「閲覧」は<えつらん>と読みます。 意味は書物や書類などを調べようと読むことです。 謙譲語:閲覧させていただく
「図書館で論文を閲覧する」 「閲覧させていただいた資料は、スタッフに返却しておきました」
「拝見する」の英語表現を考えていきましょう。 英語には謙譲語という概念はありませんので、普通に「見る」「読む」を英訳をすればOKです。 ビジネスメールなどでネイティブがよく使う「見る」は「take a look at...」です。 例文です。
I just took a look at the document attached to this email.
このメールに添付された資料をさっそく拝見しました。
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