ビジネスシーンでもよく使われている「ご配慮」という言葉ですが、正しく使えていますか?今回は「ご配慮」の正しい意味とビジネスメールなどでの使い方を例文付きで詳しく解説します。また「お気遣い」「ご考慮」との違いや類語も説明します。
「ご配慮」は「ごはいりょ」と読みます。 「配慮」という漢字は「くばる」「割り当てる」という意味の「配」と、「思い」「あれこれと思い巡らせる」の意味の「慮」からなっています。
「配慮」は「他人に対して心をくばること、よく考えて行う心遣い」という意味です。 それに敬語の「ご」がつき、「ご配慮」となり、「相手が自分のためにしてくれた心配り」の丁寧な言い方になります。
「ご配慮」は「相手が自分に配慮をしてくれたこと」の敬語表現であり、それに対して感謝をする時に使います。 そのため、目上の相手が自分に対して心遣いをしてくれた時に使う言葉となっています。 感謝を伝える際の主な言い回しは
などです。 また、「ご配慮」よりもさらに丁寧な表現に「ご高配」があります。 ただ職場の上司などに対してしょっちゅう「ご高配」を用いるとくどいと感じられてしまうこともあります。 「ご高配」はとてもかしこまった表現となりますので注意しましょう。
「ご配慮ありがとうございます」 「ご配慮いただきまして、誠にありがとうございます」 「先日は突然お伺いしたにも関わらず、ご配慮をいただきありがとうございました」 「このたびの開店に際しましては、ご祝電とお花を頂戴し誠にありがとうございました。いつもながらの温かいご配慮に、心より感謝申し上げます」
また「ご配慮」は相手の心遣いの感謝だけではなく、相手に対して「気を付けてもらうこと」がある場合に使うことができます。 お願いをする際の主な言い回しは
となります。 例えばお客様に対して商品に直接手を触れないようにお願いしたい場合、「商品にお手を触れぬよう、ご配慮願います」などと使うことができます。 また相手に注意を促したい場合、ただ注意をするだけでは相手が不快な思いをしてしまう場合があります。 そのため、注意したい事項に対して配慮をお願いする、といった形で伝えることができます。 例えば「店内は禁煙となっております。喫煙する場合は一度店外の喫煙スペースまで足を運ぶようご配慮くださいますようお願い申し上げます」などと使うことができます。
「ご配慮のほど何卒よろしくお願いいたします」 「大変勝手を申しまして恐縮ですが、ご配慮賜れますと幸いです」 「海外出張の際には、紛争・テロ・内戦等に巻き込まれないよう、くれぐれもご配慮をお願いいたします」 「本日の内容に関しましては正式発表があるまでは口外いたしませぬよう、ご配慮いただきたく存じます。よろしくお願いいたします」
「ご配慮」は目上の相手に対して使う敬語表現です。 そのため、同僚や部下など同等もしくは目下の相手に対して使うと不自然になります。 過度な敬語表現は慇懃無礼となりますので注意しましょう。 同僚や部下などが配慮してくれたことに対して感謝を伝える場合は、下記の例文を参考にしてください。
「配慮してくれてありがとうございます」 「心遣いありがとう」 「お気遣いありがとうございます」
自分が気を配る場合には、目上の相手であっても「配慮」と使います。 自分の行動に対して「ご配慮」と敬語を使うのは誤用となりますので注意しましょう。 何かをするにあたって気を付けることを伝える場合に、「気をつけます」では軽い感じがします。 ビジネスシーンでは「配慮します」と使うようにしましょう。 また自分の配慮が足らなかったことを相手に謝罪する場合は「私の配慮が足らずこのような事態を招いてしまい、大変申し訳ございません」などと使います。
「ご配慮」をしてもらったことを感謝する場合に「ご配慮いただき」を使います。 この後に続けて感謝の言葉を繋げて主に使われています。 また、「恐縮です」を繋げることで配慮してもらったことをかしこまり申し訳なく思っていることを伝えることができます。 ビジネスメールなどでも用いられる表現ですので覚えておきましょう。
○「ご配慮いただき」を用いた例文
「ご配慮いただき誠にありがとうございます」 「ご配慮いただきまして大変感謝いたしております」
「ご配慮いただきまして恐縮でございます」 「ご配慮いただけるとのこと大変恐れ入ります」
「ご配慮いただき」同様に「ご配慮」をしてもらったことを感謝する場合に「ご配慮くださり」を使います。 この後に続けて感謝の言葉を繋げて主に使われています。
○「ご配慮くださり」を用いた例文 「この度は私の体調をご配慮くださり、誠にありがとうございました」 「ご配慮くださったおかげで、素晴らしい1日を送ることができました」
「賜る」は「もらう」の敬語表現です。 そのため目上の人から何かを「もらう」ことに対して敬意を払った表現として使えます。 目上の相手からの配慮をしてもらった場合に使うことができます。 また、配慮をお願いしたい場合にも使うことができます。
○「ご配慮を賜り」を用いた例文
「日頃より格別のご配慮を賜りまして、誠にありがとうございます」 「御社におかれては寛大なるご配慮を賜り厚く御礼申し上げます」
「ご配慮を賜りますよう、よろしくお願いいたします」 「大変勝手を申しまして恐縮ですが、ご配慮を賜れますと幸いです」
「痛み入る」とは相手の親切や好意に恐縮するといった意味があります。 そのため、配慮してくれたことに対して恐縮する気持ちを伝えることができます。 主に目上の相手に対して感謝の気持ちを伝えるときに使われています。
○「ご配慮痛み入ります」を用いた例文 「部長からのご配慮痛み入ります」 「この度はご配慮いただきまして、痛み入ります」
相手に配慮をお願いするときに「ご配慮のほど」が用いられます。 主に「ご配慮のほどよろしくお願いします」と使われています。 「ご配慮のほど感謝いたします」と使うのは不自然ですので注意しましょう。
「ご配慮ください」も相手にお願いする場合に用いられます。 ただ、「ご配慮ください」だけではやや冷たい印象を与えることもありますので、特に目上の相手に対しては「ご配慮くださいますよう、よろしくお願いします」などを付けるようにしましょう。
○「ご配慮ください」を用いた例文 「この先は関係者のみとなっております。ご配慮ください」 「くれぐれもご配慮くださいますよう、よろしくお願いいたします」」
「ご配慮」・・・「相手の配慮(=よく考えてからする心づかい、心をくばること)の敬語表現」 「お気遣い」・・・「相手の気遣い(=あれこれと気を使うこと、心づかい)」の敬語表現」 「ご考慮」・・・「相手の考慮(=考えをめぐらすこと、よく考え合わせること)」の敬語表現」
「気遣い」の意味は「あれこれと気を使うこと、心遣い」です。 その場の状況に応じて周囲のことを考えたり相手のことを思いやって行動することを指して使います。 「お気遣い」は、「相手が自分のために気を使ってくれること、配慮してくれること」を表しています。
○「お気遣い」を用いた例文 「いつもお気遣いをいただき、誠にありがとうございます」 「仕事と家庭の両立について心配してくださる部長のお気遣いには、大変感謝いたします」
「考慮」の意味は「考えをめぐらすこと、よく考え合わせること」です。 物事を色々な要素を含めて考えること・判断や行動の前に色々な要素を考え合わせることを表します。 単に”考える”ということではなく、「様々なことに考えを巡らせる」というニュアンスになります。 「ご考慮」は「相手が自分のために考えを巡らせてくれること」を表しています。
○「ご考慮」を用いた例文 「この度は◯◯の件に関しまして、ご考慮いただきありがとうございます」 「勝手なお願いで誠に恐縮ではございますが、ご考慮いただければ幸いです」
意味:「相手の配慮」に対して敬意を払った言葉 相手が気を使ってくれたことを敬う言葉
○「ご高配」を用いた例文 「これまでの皆さまのご支援ご高配に心より感謝申し上げます」 「今後とも何卒ご高配賜りますよう、お願いいたします」
(意味:あちこちへ気を配ること・あれこれと気をつかうこと)
○「お心配り」を用いた例文 「お心配りいただきまして誠に恐縮です」 「お心配り賜りありがとうございます」
(意味:手厚い情け) お礼の言葉として使われます。
○「ご厚情」を用いた例文 「昨年中は並々ならぬご厚情を賜り、心よりお礼申し上げます」 「今回のプロジェクトが成功したのは、皆様のご厚情の賜物でございます」
(意味:穏やかで思いやりのある優しい心・情け深い心) 相手の恩恵や情けによって救われたことへのお礼を伝えることができる言葉です。
○「ご温情」を用いた例文 「今回頂戴した身に余るほどのご温情に心よりお礼申し上げます」 「この度は思いもかけぬ皆様のご温情に触れ、感激いたしました」
(意味:相手のために心をこめて尽くすこと) 「心尽くし」は人に対してだけではなく、物に対しても使うことができる言葉です。
○「お心尽くし」を用いた例文 「お心尽くしの贈り物を頂戴いたしまして、感謝申し上げます」 「部長のお心尽くしで本社に残れましたこと、心から感謝いたしております」
(意味:ひいきにすること・目をかけて引き立てること) 「ご愛顧」は引き立てる側が使う言葉です。
○「ご愛顧」を用いた例文 「平素より格別のご愛顧にあずかり、誠にありがとうございます」 「今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます」
「ご配慮」の英語表現を見ていきましょう。 英語には尊敬語という概念はないので、「ご配慮」の「ご」は考える必要がありません。 「配慮」は「あれこれと心をくばる」ことなので、一番近いのは「consideration」になります。 「consideration」は、「考慮、熟慮」という意味を持つ単語です。 「consideration」の形容詞形「considerate」は「思いやりのある」という意味になります。 「懸念」を意味する「concern」も「ご配慮」というニュアンスで使うことは可能です。 例文です。
Thank you so much for your consideration.
ご配慮ありがとうございます。
I appreciate your concern.
ご配慮ありがとうございます。
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「ご配慮」について理解できたでしょうか? ✓「相手が自分に配慮をしてくれたこと」の敬語表現 ✓ビジネスで目上の人が配慮してくれたことへの感謝を表すときに使う ✓またお願いをするときにも使うことができる ✓「ご配慮いただき」「ご配慮賜り」などと使う