ビジネスシーンでも「縁の下の力持ち」の方っていますよね。仕事をする上でとても大切な存在になります。今回はそんな「縁の下の力持ち」の意味や使い方、また類語と英語表現も解説します!また面接などにおける自己PRの仕方も紹介します!
「縁の下の力持ち」とは、人の目につかないところで他人のために苦労や努力をする人を指します。 表舞台に立つことはほとんどありませんが、影の功労者であり、その価値は極めて大きいです。 例えば、企業では何かと目立つ社長ではなく、バックオフィス業務やオペレーション業務で会社を支える副社長が「縁の下の力持ち」にあたります。 家族ならあなたの活躍を家庭でサポートしてくれる母、部活なら選手を陰でサポートしてくれるマネージャー、演劇なら黒子などが「縁の下の力持ち」です。 「縁の下の舞」「縁の下の掃除番」「簀(す)の子の下の舞」ともいいます。
聖徳太子が建立したことで知られる大阪の四天王寺で、経供養で披露された「椽(えん)の下の舞」が由来とされています。 この舞は昭和40年代になるまで非公開で、観客が見ていないにも関わらず舞い手は努力して舞の練習をし続けました。 ここから転じて、陰で努力することや苦労することを指す言葉になりました。 そして時代を経て分かりやすくするために、「椽の下」を同じ発音の「縁の下」に、「舞」は「力持ち」に、変化したといわれています。 「椽の下」の「椽」は、訓読みで「たるき」となります。家の棟から軒にわたして屋根を支える材木を指します。 もともとは「椽の下」なので、建物の縁側の下を支えている、という語源解釈は実は誤りです。 「縁の下の力持ち」は『上方(京都)いろはかるた』の一つでもあります。
いくら人目に付かない所で他人のために努力している人でも、表立った所で活躍する人に対して「縁の下の力持ち」は使うことができません。 例えば、☓「日本アカデミー賞受賞の縁の下の力持ちは、あの主演俳優だ」などは誤用です。 主演俳優は陰でたくさん努力しているでしょうが、職業柄一番注目される存在なので、「縁の下の力持ち」とは言えません。
「縁の下の力持ち」だからといって、必ずしも能力が高いわけではありません。 実力があるのにも関わらず目立つポジションにいない、というニュアンスで「縁の下の力持ち」を使うのは誤りです。 「力持ち」という言葉から、そのように誤解してしまう人が多いので注意です。 一方、「縁の下の力持ち」=無能なわけでもありません。 「縁の下の力持ち」の意味は、人の目につかないところで他人のために苦労や努力をする人です。 実力の有無は関係ありません。
「縁の下の力持ち」は褒め言葉として使えます。 組織や周りの人のために、陰で努力する人を称えるときに使います。
「縁の下の力持ち」の例文
「縁の下の力持ち」には、陰で努力しているのにも関わらず、周りから認められず社会的に報いられることもない、というネガティブなニュアンスで使うこともあります。 「縁の下の力持ち」は褒め言葉ではあるのですが、本人はそれを望んでいない場合があります。
「縁の下の力持ち」の例文
生徒会長や学級委員長、実行委員や部長など表に立つことをやっていなくても、部員として部長を支えたり学園祭で製作物を一生懸命作ったりなど、目立たないところで頑張ってきた人は、「縁の下の力持ち」という言葉を使って面接において自己PRができます。 ただし、
の3点を必ず伝えるようにしましょう。 どういったことをしてきたのか、それによってどういった影響や成果があったのか、そしてそういった部分を会社でどのように活かせるのか、を明確にしておくのがポイントです。
「縁の下の力持ち」の役割を担っている人の中には、本人がその立場を望んでいなく、本当は目立ちたい人も少なからずいます。 そのような人に対して、「縁の下の力持ち」と形容するのは、本人が気分を害する可能性があります。 褒め言葉として使う場合も、状況をみて判断する必要があります。
「縁の下の力持ち」を上司に対して使うのは基本的に避けるべきでしょう。 本人が好んで「縁の下の力持ち」になっていたとしても、部下がそのようにいうと少し上から目線に聞こえる場合があります。 聞き方によっては、能力がなく花形の役職に就けていないとも取れますので注意しましょう。
「内助の功」は「ないじょのこう」と読みます。 「内助の功」の意味は「陰で夫を支える身内の功績」です。 裏でひっそりと夫を支えて出世させる妻、妻の働きのことをいいます。 夫が事業で大きな功績を残したときなどに、「その活躍を裏でサポートしていた存在」として妻を「内助の功」と言い表します。 「縁の下の力持ち」の四字熟語の類語には「内助之功」があります。
「陰の立役者」は「かげのたてやくしゃ」と読みます。 「陰の立役者」の意味は「物事を達成するために、裏方で支えている人」です。 「立役者」は「物事の中心になって活躍する人のこと」です。 「陰」をつけることで、目立たないけれど裏で重要な役割をしている人という意味になります。 「陰の立役者」は「縁の下の力持ち」と同義です。
「簀の子の下の舞」は「すのこのしたのまい」と読みます。 「簀の子の下の舞」の意味は「人知れず陰で他人のために努力をする人」です。 「簀の子(すのこ)」とは、劇場の天上のことをいます。 つまり、「簀の子の下」は天上の下を指す言葉です。 演者が、簀の子の下で舞の踊りの練習をしていたことから「陰ながらに人の支えになる人」を「簀の子の下の舞」と、たとえて言い表すようになりました。 「簀の子の下の舞」と「縁の下の力持ち」は同義です。
「鴨の水掻き」は「かものみずかき」と読みます。 「鴨の水掻き」の意味は「人知れず苦労をしていること」です。 鴨は水面を気楽そうに泳いでいますが、水面下ではたえず足を動かしています。 この鴨の泳ぐ様子から、「何事もないように見えて人知れずたえず努力をしていることのたとえ」として使用されるようになりました。 見えないところで苦労や努力をしているという点で、「縁の下の力持ち」の類語であるといえます。
「裏方」は「うらかた」と読みます。 「裏方」の意味は、
です。 表にはでず、裏で表に出ているひとを支える仕事を「裏方」といいます。
「名脇役」は「めいわきやく」と読みます。 「名脇役」の意味は「上手く主役を引き立てる役割をつとめる人」です。 「脇役」の意味は「演劇・映画などで主役を助けて副次的な役割をつとめる役」です。 転じて「表面にはでない補佐役」という意味でも使用されます。 演劇や映画の役柄だけではなく、例えば社長を支える秘書のように表立って活躍する人の補佐的な仕事をする人を「名脇役」と言い表すこともあります。
「汚れ役」は「よごれやく」と読みます。 「汚れ役」の意味は「演劇・映画などで、犯罪者など好ましくないと思われる役をすること」です。 主役となる人の良さや能力を引き立たせるために、あえて世間から冷たい目で見られるような役をすることをいいます。 汚れ役も、目立たないけれど主役を引き立たせる重要な役割をもっています。 よって、陰で人を支える「縁の下の力持ち」の類語になります。
「顔」は「かお」と読みます。 「顔」の意味は「目、口、鼻などのある、頭部の全面」です。 比喩的に、「物の表面」という意味でも使用されます。 例えば、「彼はお店の顔だ」というように表だった存在であることを言い表すことができます。 「縁の下の力持ち」は「人の目につかないところで、他人のために支える苦労や努力をすること」なので、「顔」は対義語です。
「花形」は「はながた」と読みます。 「花形」の意味は、
です。 「花形」は、目立つような存在であることを言い表す言葉なので、「縁の下の力持ち」の対義語です。
「舵取り役」は「かじとりやく」と読みます。 「舵取り役」の意味は「舵を操って船を一定の方向に進ませる人」です。 船を進ませるためには舵が最も重要であることから、上代から中世にかけては船の責任者、すなわち船頭に相当する役柄のことをいいます。 転じて、「人や集団の行動を一定の方向に導き指導をすること」という意味でも使用されます。
「目立ちたがり屋」は「めだちたがりや」と読みます。 「目立ちたがり屋」の意味は「誰よりも目立ちたいと考える人」です。 自分の思いを直接的に強く主張するなど、何かにつけて目立って注目を浴びようとする人のことをいいます。 「縁の下の力持ち」は、反対に目立ったり注目を浴びるようなことはしません。
「縁の下の力持ち」は英語で何と言うでしょうか? 一番直訳的な英語表現は「賞賛されない立役者」という意味の「an unsung hero」です。「unsung」は「歌われていない」=「賞賛されていない、無名の」という意味になります。 「目立たないけど大切な役割だ」を意味する「She plays an inconspicuous yet vital role.」の方が日常的によく使われます。「inconspicuous」は「目立たない」、「vital」は「重要な」という意味の形容詞です。 その他にも、
She plays an inconspicuous yet vital role in this project.
彼女はこのプロジェクトの縁の下の力持ちだ。