「倣う」の読み方は「ならう」で、意味は「すでにある物事を真似てその通りにする」です。「先人に倣う」「右に倣え」などと主に使われています。今回はそんな「倣う」の使い方を例文付きで詳しく解説していきます。類語や英語も紹介しますので、是非参考にしてください。
「倣う」の読み方は「ならう」です。 「倣」は音読みで「ホウ」となります。
「倣う」の漢字は「傚う」とも書くことも出来ますが、「傚」は常用漢字ではありません。 そのため「倣う」が使われることが多くなっています。
「倣う」の意味は「すでにある物事を真似てその通りにする」です。 手本として真似をすることを「倣う」と言います。 現代でいう「パクる」というよりも「お手本とする」といった意味合いが強くなります。
「倣う」の語源は古語「慣らふ」です。 「慣らふ」の意味は、
となります。 「習う」も「慣らふ」が語源となっています。
「倣う」は主に「先例/前例に倣う」「先人に倣って」と使います。 すでにある物事ややり方を真似るため、先例や先人という言葉が頻繁に使われています。 他にも
などと用いられます。 伝統もすでにある物事ですし、他国ですでに行われていることを真似る際には国名が用いられます。 また、「〜に倣って、○○する」という言い回しもよく使われています。 〜を真似て○○するということになります。 ちなみに「〜を倣う」とは使用しないので注意しましょう。
例文
元々「右へ倣え」は「横隊の列などを整列させるときの号令」のことです。 右にいる人に合わせて自分の位置や角度を直すものです。 そこから「最初に行った人の真似をしたり追随したりすること」といった意味を持つようになりました。 「無批判に」といった意味合いが強く、主体性を欠いたさまを表します。 軍国主義的なところが表れた言葉です。 自分の意思で判断をしたり自由な言動をするのではなく、周りと足並みを合わせる様子が伺えます。 また、小学校などで縦に並ぶ際は「前へ倣え」と言いますよね。 これも「前の人に合わせて整列しなさい」ということです。 そうすることで縦の列がきれいに揃います。
例文
「顰」は「ひそみ」と読みます。 意味は「善し悪しを考えずやたら人の真似をする」です。 また他人と同じ行動をする時に謙遜して言うこともあります。 ちなみに「顰」とは「眉間にしわを寄せること」です。 なぜ「顰に倣う」がこういった意味になったのかというと、中国古代四大美女の一人と言われる「西施(せいし)」が苦痛で顔をしかめていた際にそれを見た町の醜女はそれが美しいと思い、西施を真似て顔をしかめながら村中を歩きました。眉をひそめても美しいのは西施が元々美女だからなのですが、西施の美しさは知っていたのにそれには気が付かなかった、という故事に基づいています。 そのため「西施の顰みに倣う」とも言います。
例文
「倣」という字を含む熟語には「模倣」があります。 「模倣」は「もほう」と読みます。 意味は「自分で創作するのではなく、すでにあるものを真似ること」「他者と類似あるいは同一の行動をとること」です。 「模倣犯」などと使いますよね。 これは、すでに起きた犯罪を真似て同じような犯罪をおかしたり、同じ手口を使う人を指します。
例文
「習う」の意味は「知識や技術などの教えを受ける」です。 稽古をしてもらったり教わったりして技術や学問を身につけたり、繰り返し練習して身につけることを指します。 「学習」「練習」「教習」などと使われているとおり、「知識や技術を自分の身に付ける」ことを表します。 ちなみに「倣う」と同様に「習う」も語源は古語「慣らふ」となります。 「倣う」は「真似る」といった意味合いが強く、「習う」は「教わる」といった意味合いが強くなっています。
「みならう」という言葉の感じは「見習う」と「見倣う」のどちらも正しくなっています。 ですが、一般的には「見習う」が用いられています。 「みならう」の意味は「人のすることを見て覚える、見て学ぶ」となります。 「人のすることを見て真似るだけでなく、自分の身に付ける」ため「見習う」の方が意味的にもマッチしています。
例文
「準ずる」の意味は「ある基準を標準として考える」「同等の扱いをする」です。 「先例に準ずる」「正社員に準ずる待遇」などと使います。 「準ずる」は「手本として真似をする」というニュアンスがあり「倣う」と近い意味を持ちます。 また、「準ずる」には「あるものと同様の資格で扱う」や「あるものを基準にしてそれに見合った扱いをする」といったような意味もあります。
「則る」は「のっとる」と読みます。 意味は「規準・規範とする、手本としてそれに従う」です。 「法律に則る」「伝統に則る」などと使われています。 ちなみに同音異義語の「乗っ取る」と意味は異なります。 「乗っ取る」は「自分の支配下に置く」「攻め入って自分のものとする」です。
例文
「従う」の意味は「後ろについて行く」「他からの働きに順応する」です。 ただ前にいる人についていく、といった意味でも使われますし、目上の人やルールなどの指示の通りに動くといった意味でも使われています。 「手本とする」といった意味合いはあまりなく、「逆らわずに順応する」ということを表す言葉です。
例文
「踏襲」は「とうしゅう」と読みます。 「踏襲する」の意味は「前人の経験したものややり方をそのまま受け継ぐ」「元のまま伝える」です。 前任者や先輩・上司など今までその業務や作業を行っていた人のやり方・思想を受け継ぐことを表しています。 「やり方や方針を継続すること」「受け継ぐこと」といったことを幅広く意味する表現です。
例文
「追随」は「ついずい」と読みます。 意味は「あとに付き従って行き、それを真似ること」「前を行く者に従って後を追うこと」です。 主に、「追随」は「他人の意見や行動を真似する」という意味で使います。 例えば、「彼は追随を許さない」などとよく言いますが、これは「彼は技術が簡単に真似できないくらい優れている」という意味になります。
例文
「真似る」は「まねる」と読みます。 意味は「他の人や物に似せてする、みならう、模倣する」となります。 「真似る」は日常生活でもよく使われる言葉です。 そのためビジネスシーンで使うとくだけた印象があります。
例文
「倣う」の英語1つ目は「follow」です。 「follow」は「〜に従う」という意味の他動詞です。 「follow a precedent」で「前例に倣う」という意味になります。 「follow his example」で「彼の過去に倣う」という意味のイディオムです。 「follow suit」で「先例に倣う」という意味のイディオムです。 「suit」は洋服の「スーツ」ではなく、ハートやスペードなどのトランプのマークを指します。 前の人が出したマークと同じことを出す動作が語源となっています。 「follow suit with...」で「...に倣う」となります。
She followed her mother's example and entered college in London.
彼女は母に倣い、ロンドンの大学に入学した。
The telecommunications company followed suit with the competitors and decided to lower their fees.
その通信事業者は競合に倣い、通信料金を下げることを決定した。
「model A on B」で「Bに倣いAを作る」という意味になります。 使用できる場面は限定されますが、「倣う」という意味で使える表現です。
She modeled her villa on a very famous architect's design.
彼女はある有名な建築家の設計に倣って家を建てた。
いかがだったでしょうか? 「倣う」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「ならう」 ✔意味は「すでにある物事を真似てその通りにする」 ✔「先例/前例に倣う」「先人に倣って」などと使う ✔類語は「準ずる」「則る」など 難しい漢字ですが、「前へ倣え」など実は幼少期から耳にしている言葉です。 しっかりと意味を覚えておきましょう。