「お加減」は「健康状態を目上に聞く」と「物事の状態・程度を目上に聞く」時に用いられる言葉です。ビジネスシーンでは「お加減いかがですか」とよく使われています。病気や怪我の人への手紙や年賀状でも用いることができます。今回はそんな「お加減」の使い方を例文付きで詳しく解説していきます。健康な人へは「お加減いかがですか」は使えないため、他の体調を気遣う表現も紹介しますので是非参考にしてください。
「お加減」は目上の人に対して健康状態を聞く際に使います。 「加減」の意味はいくつかありますが「健康の状態や程度」といった意味もあり、それに接頭語である「御(お)」を付けた言葉です。 そのため「お加減」は尊敬語となり、目上の相手に聞く際に用いられる言葉となります。 体調が優れていない人や、病気・怪我をしている人の現在の状態を伺うために使います。 そのため、健康だと分かっている相手には使えません。使ってしまうと失礼にあたるので注意しましょう。
また、体調だけではなく物事の状態や程度を目上の人に聞く場合にも用います。 「お湯加減」や「塩加減」などと使うこともありますよね。 このように、「加減」には物事の状態や程度を表すことが出来ます。 美容室などではよく使われていますよね。 頭を洗う際のシャワーの温度を聞かれる時や頭をマッサージしてもらう際の指圧の加減などを聞かれる時に用います。
「お加減」を相手に聞く際は「お加減いかがですか?」が定型句です。 体調の悪い人には「お加減いかがですか?」だけで「体の調子はどうですか?」「怪我の痛みはどうですか?」と聞かれていると相手は理解することができます。 ただ「怪我のお加減いかがですか?」などと聞いても問題ありません。
「お加減いかがですか?」の原型は「加減はどうか」となります。 「加減」は健康状態だけでなく、時候や味覚なども指して使います。 それらが今どういった程度であるか、を聞いているのが「加減はどうか」となります。 ただ、原型といえど「加減はどうか?」と日常生活で使うことはほとんどありません。 その場合は「調子はどう?」「体調どう?」などが一般的です。
「お加減いかがですか」より丁寧な表現は「お加減いかがでしょうか」となります。 「〜ですか」よりも「〜でしょうか」の方が丁寧となります。 「でしょう」は推量や疑問を丁寧に表したり、やわらかな断定を丁寧に表すといった意味合いがあります。 「です」は丁寧の断定の助動詞となり、それをよりやわらげて丁寧に表したのが「でしょう」となります。
「加減はどうか」を尊敬語にすると「お加減はいかがなさいますか」「お加減はいかがなさいましたか」となります。 例えば「お風呂のお加減はいかがなさいますか」とすることで「お湯の温度はどの程度にしますか?」を尊敬語で聞いていることになります。 この場合は「お風呂のお湯加減はいかがなさいますか」と聞いても正しい尊敬語となります。
「いたす」は、「する」の謙譲語「いたす」の語尾に丁寧語の「ます」が付いた言葉です。 そのため「お加減はいかがいたしましたか」は謙譲語となります。 謙譲語とは、自分のことに対して使うものです。 そのため、相手の加減を聞く際のフレーズとして謙譲語を用いるのは誤用となります。
相手の具合が良くないことを表す際は「お加減が優れない」を使うのがいいです。 「悪い」「良くない」は直接的な表現となるため、特に目上の相手の体調のことをストレートに言い過ぎるのはいい表現ではありません。 「優れない」には「調子の悪い様子」「すこぶる良いわけではない」といった意味合いのある言い回しです。 緩叙法を用いることで、婉曲的な表現になり、丁寧な表現となります。
「お加減」はメール、年賀状、手紙、などの書き言葉でも使うことが出来ます。 まずは「お加減いかがですか?」と相手を気遣う言葉から書き出しましょう。 ただ、「お加減いかがですか?」と聞く際は、それ以上相手の体調について触れないようにしましょう。 相手に同情をしたり、病状などについて詳しく聞くのは避けましょう。 相手を気遣った後は要件を伝えましょう。 また、会話で使う際も同じです。 「お加減いかがですか?」と聞いて、相手が詳しく答えてきたら話を聞くようにしましょう。 「おかげさまで」と返ってきたら、それ以上同情も深堀りもしないようにしましょう。
まず、風邪をひいている相手に体調を気遣う場面で用いられます。 プレッシャーにならないよう、現状を聞くのは避けて「お加減いかがですか?」と「ゆっくり休んでください」といった内容を組み合わせて送りましょう。
病気になってしまった場合は、相手が自宅療養であったり入院中であったりします。 特に手術を受けた相手には術後にお見舞いのメールや手紙を渡すことになりますので、「術後」というワードを入れるといいでしょう。 また、病気の療養中の相手に年賀状を出すこともあります。 喪中なわけではありませんので、新年の挨拶をしても問題ありません。 ただ重い病状だったりした場合に「おめでとうございます」と言うのは気が引ける方は「謹賀新年」などを用いるといいでしょう。
◯自宅療養の場合のメール例文 「○○様 突然のご病気との方に接し、大変驚いております。 お加減はいかがでしょうか。ご無理なさらず、ゆっくりとご静養なさってください。 取り急ぎメールにてお見舞い申し上げます。 株式会社英語部 △△課 渡辺より」 ◯入院 「○○様 先日、ご入院されたと伺い驚きました。 手術を受けたと伺いましたが、術後のお加減はいかがですか。 まずは治療に専念し十分に養正いただき、一日も早く全快なされますようお祈り申し上げます。 取り急ぎ、書中にてお見舞い申し上げます。」 ◯年賀状 「謹賀新年 その後、お加減はいかがでしょうか。 病院で迎えるお正月は寂しいのではないかと案じておりましたが、退院が近いと伺いまして安心しております。 一日も早くお元気なお顔を拝見したいと願っております。」
怪我の場合も、自宅療養や入院をしている場合があります。 相手の状況に合わせて連絡をしましょう。 年賀状も、病気と同様に送っても問題ありません。 「おめでとうございます」を言うのが気が引ける場合じゃ「謹賀新年」などを用いましょう。
◯自宅療養の場合の例文 「○○部長 この度は、○○部長が怪我をされたとお聞きし、大変驚いております。 その後、お加減はいかがでしょうか。心よりお見舞い申し上げます。 お見舞いにと思いましたが、かえって部長にご迷惑をかけしてしまうと思い、 心ばかりですがお見舞いの品をお送りさせてただきました。 何かと仕事のことが気にかかると存じますが、 今はゆっくりとご静養なさってください。 部長が職場に戻られることを心待ちにしております。 取り急ぎお見舞い申し上げます。 なお、この後のご返信はお気遣いなさらないようお願いいたします。」 ◯入院 「○○様 この度、○○様が怪我によりご入院されたと伺い、大変驚いております。 その後、怪我のお加減はいかがでしょうか。 まずは治療に専念し十分に養正いただき、一日も早く全快なされますようお祈り申し上げます。 取り急ぎメールにてお見舞い申し上げます。 この後のご返信はお気遣いなさらぬようお願いいたします。」 ◯年賀状 「謹賀新年 その後、怪我のお加減はいかがでしょうか。 病院で迎えるお正月は寂しいのではないかと案じておりましたが、退院が近いと伺いまして安心しております。 一にも早くお元気なお顔を拝見したいと願っております。」
もし、「お加減いかがですか?」と聞かれた場合は、まず感謝と謝罪を忘れないようにしましょう。 体調不良により会社を休んでいる場合は、まず仕事等で迷惑をかけていることと心配をかけてしまっていることに対してお詫びをしましょう。
といった一文を入れるといいでしょう。 さらに、体調を気遣ってくれたことへの御礼の言葉も添えましょう。
単に「ありがとうございます」と述べるよりも、「お気遣いありがとうございます」と言った方が、相手に対して感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
「お加減」と同じように相手を気遣う文面で用いられるのが「お具合」「お体の具合」です。 「お加減いかがですか」と同様に「お具合いかがですか」「お体の具合はいかがですか」と使われています。 他にも「お怪我の具合はいかがでしょうか」などとも用いられます。
例文
「ご体調いかがでしょうか」と使う場合もありますが、「お加減いかがでしょうか」よりも砕けた表現となります。 立場が随分と上の相手に対しては「お加減いかがですか?」を使う方がいいでしょう。 職場の先輩などにメールをする際などに用いるといいでしょう。
例文
「お体に気をつけて」は、相手の健康を気遣う言葉です。 「お体に気をつけて」は「体に注意を払ってほしい」「健康でいてほしい」という意味になります。相手の体調を気遣ったり、健康を祈っている気持ちが込められています。 しかし、「お体に気をつけて」だけでは少しフランクな印象になってしまいます。 親しい上司などに対してはよいでしょうが、お客様や取引先に対しては、
などとより丁寧な表現を使いましょう。
例文
「ご自愛ください」は、「あなた自身の体を大事にしてください」という意味になります。 さらに「あまり無理しないでください」「健康でお元気にいてください」「身体を大切にしてください」といったニュアンスが含まれます。 「ご自愛ください」は、手紙やメールの末尾で、相手の健康を気遣う結びの言葉として使われます。 男性・女性、目下・目上など老若男女関係なく使うことができる表現です。 ただ「ご自愛ください」は、「体調を崩さないように健康を保ってください」という意味合いが込められているため、すでに怪我で入院している人や、病気で治療中の人、体調を崩している人には決して使ってはいけません。
例文
「つつがなくお過ごしください」も相手の健康を気遣う表現として使用することができます。 「つつがなく過ごす」ということは、「病気やケガなく平穏に過ごす」ということです。 「つつがなく」の漢字は「恙なく」で、意味は「病気・災難などがないさま」です。 手紙や、メールの挨拶文で「つつがなくお過ごしください」と使用すると「平穏な日々をお祈りします」といった意味を込めることができます。
例文
「ご健勝をお祈り申し上げます」とすると、堅い表現になります。 「健勝」は、「健康が優れていて健やかなこと」を意味しています。 「ご健勝をお祈り申し上げます」とすると、「(あなたが)健康であることをお祈りします」という意味になります。「ご健勝お祈り申し上げます」は、手紙やメールの挨拶か結びの言葉として用います。 「健勝」は、個人や家族の健康を祝う言葉なので、企業や団体に対しては使うことができません。
例文
「お大事に」は、すでに病気にかかっている人や体調を崩した人などに対して「早く良くなってください」「大事に至りませんように体を大切にしてください」という意味で使用します。 「お大事にしてください」は一般的によく使われるフレーズで、「してください」は動詞「する」+丁寧語「ください」で成り立っています。 ただ「してください」だと少々要求の意味が強いため相手によっては失礼だと思われる可能性もあります。 日常会話や、社内での会話であれば「お大事にしてください」で十分ですが、目上の人や取引先など、きちんと敬意を払う相手には「お大事になさってください」の方が良いでしょう。
例文
料理などの加減を聞くには「How do you like...?」を使います。
How do you like the soup?
スープのお加減はいかがですか。
How would you like your steak cooked?
ステーキの焼き加減はどういたしましょうか。
怪我や病気をしている人に体調を聞く場合は下記のような表現をします。
How are you feeling now?
Are you getting better?
Are you alright?
いかがだったでしょうか? 「お加減」について理解できたでしょうか? ✔意味は「健康状態を目上に聞く」「物事の状態・程度を目上に聞く」 ✔定型句は「お加減いかがですか」 ✔メール、年賀状、手紙、などの書き言葉でも使うことが出来る 社会人はよく使う言葉です。しっかりと覚えておきましょう。