「周知」という言葉をご存知でしょうか。日常生活ではあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、まれに「ご周知ください」などと耳にすることがありますよね。今回は、「周知」の意味とビジネスでの使い方を中心に例文付きでまとめます!また、「周知」の言い換え表現や同音異義語も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「周知」は「しゅうち」と読みます。
「周知」は動作と状態という二つの意味があります。 1つ目は「多くの人に知らせること」で、これは「人に知らせる」という動作の意味になります。 例えば、新しい情報を組織に所属している人全員に知らせるといった場合に「周知する」「周知させる」といったように動詞として使用します。 2つ目は、「広く知れ渡っていること」という状態の意味です。 「周知」の「周」という漢字には、「あまねく」という意味があり、この「あまねく」という言葉の意味は「ひろく・すべってにわたって」となります。 この場合、「一部の人間のみに伝える」という動作や「一部の人間だけが知っている」という状態には使用できません。
「周知する」は、「多くの人が知っている状態にすること」です。 例えば、社内などで新しい規則ができた場合、社内の人全員に知らせなければいけませんよね。 この、社内全員に知らせる・伝えるといった行為を「周知する」といいます。 「周知する」という表現に関して、一部では「誤用なのではないか、、、」と言っている人もいるようなのですが、新聞記事など一般的に多くの人が目にする物でも使用されている表現ですし、「多くの人に知らせる」といった意味合いでは「周知する」という表現が適しているとも言われているため、誤用とは言い切れません。 基本的には「周知する」という表現を使用することに問題はないと言えるでしょう。
例文
「周知させる」は、「誰かに情報共有をさせる」です。 「〜させる」という表現は、「人にある行為をさせるように仕向ける」というように使役の意味があります。 従って、「周知させる」だと命令調の言葉として受けとられてしまう可能性が高いので、使い方には注意が必要です。 上述たように、「周知する」は誤用で「周知させる」が正しいという意見もあり、「周知する」と「周知させる」はどちらが正しい表現なのか?という議論がしばしばなされます。 しかし、正解はどちらも正しい日本語です。 ただ、やはり「周知させる」だと「させる」という表現から「誰かに情報を共有させる」という意味合いが強くなってしまうので、「周知する」と「周知させる」では微妙に意味の違いがあると言えるでしょう。
例文
「周知いたします」は、正しい敬語表現です。 「いたす」は、「する」の謙譲語で、自分の動作をへりくだって表現するので目上の相手に敬意を示す表現になります。 したがって「周知いたします」は、「自分が多くの人に知らせます」という意味の敬語表現です。 ただし漢字「致します」は使いません。 「致す」と漢字表記にする際はそれ自身が動詞になる場合になります。 例えば、「至らせる・及ぼす・届ける・引き寄せる・仕向ける・尽くす」という意味で使うときは「致す」にします。 「周知いたします」の場合の「いたします」は、補助動詞として使用されているものなので、ひらがな表記が正しいです。 動詞は漢字表記、補助動詞は平仮名表記と覚えておきましょう。
例文
「周知」をお願い・依頼する表現は、「ご周知ください」となります。 「周知」に接頭語の「ご」をつけた「ご周知」と、「〜をしてほしい」という意味の「ください」をつけて「ご周知してください」という敬語表現にします。 接頭語「ご」は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなるが、「ご周知ください」の場合は相手の動作に対して使っているので、尊敬語にあたります。 この場合の「ください」は、お願いごとをするときの相手に敬意を示す補助動詞なので、平仮名表記にするのが正しいです。 また、「ご周知ください」を「ご周知願います」に変更することも可能です。
例文
「周知のとおり」は、ビジネスシーンなど目上の相手には使用することができませんので注意してください。 「周知のとおり」は、「ご存知とおり〜」「言うまでもなく」といったようなニュアンスの言い回しになります。 つまり、「知ってるとは思いますが、知らなかったときの為に一応言っておきますね」というような、相手をちょっと小馬鹿にしているようなニュアンスになってしまうのです。 そもそも「知っているとは思いますが〜…」という前置き自体、なくても良いものなのでビジネスで目上の人に使用するのはやめておきましょう。
「周知」という言葉は、「販売する際に周知が必要」といった言い回しで物販で使われる表現です。 「販売する際に周知が必要」とは、何か物を販売して、お客様が商品を手にするときに、必ずお客様に知らせないといけないことがある場合に使用されます。 例えば、「高圧ガス」と販売する場合、購入者に対して災害の発生の防止に関して重要な事項を周知させなければいけないという決まりがあります。 これは、ガスを販売するときにお客様に必ず「災害が発生した場合のマニュアル」を教えておかなければいけないよということです。
「全員が周知していない」という言い回しで使用するのは誤用です。 「全員が周知していない」だと、「全員が情報や伝えるべきことを多くの人に知らせていない」といったニュアンスになってしまうので不自然さがあります。 例えば、「周知していない就業規則は有効ではない」などと使うのは正しい表現になります。
「周知の事実」は、「多くの人に知られている事実」という意味で使用される言い回しです。 一般常識のように、誰もがいちいち言わなてもわかるような事実を「周知の事実」といいます。 「万人周知の事実」と言われたりもします。 「万人」とは、「多くの人」という意味の言葉で、例えばすべての人に好まれるような商品を「万人うけする商品」と言ったりします。 つまり、「万人周知の事実」は、それだけ多くの人に知られている情報であるということです。
例文
「周知徹底」は、「きっちり知れ渡らせること」です。 「徹底」には、「命令・方針などが隅々まで行き渡ること」という意味があります。 したがって、「周知徹底」は、重要な伝達事項などを絶対にきっちり漏れなく伝えるということです。 「周知徹底せよ」は「する」の命令形である「せよ」を仕様しているため、「情報をきっちり漏れなく知らせなさい」という命令になります。
例文
「周知事項」は、「多くの人に伝えるべき事柄」という意味で使用されます。 多くは、業務連絡で使われる言い回しです。 例えば、メールなど書面などで「周知事項は以下の通りでございます」と書いた後に、知ってほしいこと、みんなが知るように広めて欲しいことを箇条書きにしたりすると、一目で知っておいて欲しい情報が何なのかわかります。 また、「周知方法」は「多くの人に知らせる方法」です。 例えば誰もが通る共通通路の壁に張り出しをする、一人ひとりの自宅へ郵送するなど方法は様々ですが、こういった「知らせる方法」を「周知方法」といいます。
「告知」は「こくち」と読みます。 意味:告げ、知らせること 商品の宣伝など、人に情報を知らせること、通知をすることを「告知」と言います。 基本的には、情報を伝える相手が限定される場合に使用されます。
例文
「通知」は、「つうち」と読みます。 意味:必要なことを関係者に知らせること 特定の人、また不特定多数の人に対して自分の意見を伝える場合や、ある事実を知らせる二つのパターンで使用することができます。
例文
「啓蒙」は「けいもう」と読みます。 意味: 無知の人を啓発して正しい知識に導くこと 人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと 相手の知らないことを教えてあげることを「啓蒙」と言います。 専門的な内容を知識のない人に教えてあげるといった意味合いなので、「多くの人に知らせる」という意味の「周知」とはニュアンスが異なります。
例文
「公知」は、「こうち」と読みます。 意味:世間に広く知れ渡っていること 「周知の事実」という言葉の「周知」をそのまま「公知」に言い換えて「公知の事実」として使用することも可能です。
例文
「案内」の読み方は「あんない」です。 意味:物事の事情や様子を知らせることです。 「案内」は、事情を説明して知らせるというようなニュアンスです。 また、「誘導する」というような相手に教え取り次ぐような場面で使用されることが多いです。
例文
「伝達」は「でんたつ」と読みます。 意味:命令・意思・連絡事項などを相手に伝えること 複数の関係者に、高等または書類で次々と情報を伝えていくイメージが「伝達」です。
例文
「認知」は、「にんち」と読みます。 意味:あることをはっきり認めること 例えば、「多くの人に認知されている」だと、「多くの人に認められている」=「多くの人に知られている」というニュアンスになります。
例文
「連絡」は「れんらく」と読みます。 意味:関係の人に情報などを知らせること 例えば、「何かあったら連絡します」は、「何かあったら知らせます」ということです。 「連絡をとる」というように、情報を伝えるというよりは「意思の疎通」といった意味合いで使用されることが多いです。
例文
「お知らせ」は「おしらせ」と読みます。 意味:通知・連絡 「知らせ」という言葉に尊敬を表す接頭語の「お」をつけています。 「お知らせください」だと、「教えて下さい」「連絡してください」といったニュアンスになり「お知らせいたします」だと、「教えます」「連絡してください」といった意味になります。
例文
「報知」は「ほうち」「しらせ」と読みます。 意味:告げ・知らせること
例文
「共有」は「きょうゆう」と読みます。 意味:協同で所有すること
例文
「説明」は「せつめい」と読みます。 意味:ときあかすこと 物事の根拠・理由を明らかにすること ある事柄について、相手が理解できるように詳しく述べることを「説明する」といいます。
例文
「衆知」の意味は「多くの人々の知恵」です。 例えば、沢山の人の知恵を集めて何か大きな問題を解決したいといった場面では「衆知を集める」というように表現します。 「衆智」と表記されることもありますが、どちらを使用しても間違いではありません。 「衆」には「多くの人」という意味があるので、「衆」(多くの人)が「知」(知っている)こと、つまり「周知」と同じ意味だと勘違いされやすいのですが、「衆智」の「知」は「知恵」と覚えておくといいでしょう。
例文
「羞恥」の意味は「恥ずかしこと」です。 「羞」も「恥」も、二つとも「恥じらう」という意味があって、同じ意味の言葉を二つ重ねて「恥ずかしい」という気持ちを協調している言葉であるということがわかります。 例えば、大勢の人の前で何か失敗をしてしまったときに感じる内から湧き上がってくるような恥ずかしさを「羞恥」といいます。
例文
「周知の」の英語は「well-known」です。 「有名な」を意味する英単語に「famous」もあります。 「famous」は「名高い」とも和訳され、「良い意味で有名」という意味になります。 「悪名高い」は「infamous」「notorious」です。 「well-known」は上記のどちらの意味でも使え、ただ単に「たくさんの人に知られている」という意味です。
などの形で使います。
His perspective on international trade is well-known.
彼の貿易に対する考え方はよく知られている。
It's well-known that he never makes public speech.
彼は絶対に公の場で発言しないことで有名だ。
She is a well-known local comedian in Hokkaido.
彼女は北海道で有名なローカル芸人だ。
Kyoto is well-known for its traditional buildings.
京都は伝統的な建造物で有名だ。
「周知させる」は「let them know」となります。 「make」は「強制的に〜させる」という意味なので、「make them know」は不自然な英語です。 「let」も「〜させる」という使役動詞ですが、強制的なニュアンスは含みません。 「Let me know.」で「私に教えてね」という命令文になります。ビジネスシーンでネイティブが多用する表現です。
Please let everyone know about this issue immediately.
全員にこの問題もをただちに周知せよ。
「周知の通り」は「as you know」を使います。 「as you know」は、知らないかもしれない相手に対して使うと失礼にあたりますので注意してください。 その場合は、「as you might know」とすると「ご存知かもしれませんが」となります。
As you know, Samantha is leaving soon.
知ってると思うけど、サマンサもうすぐ辞めるんだってね。
1. 件名 「◯◯のお知らせ」と周知する内容を明記すること 2.宛先 こちらはビジネスメールを書くときの常識。社内に送るものであれば「社員各位」 3.挨拶 「お疲れ様です」が定番。 4. 自分の部署と氏名 こちらもビジネスメールでは常識 5. 周知内容 相手の時間を奪わないようパッと見てすぐにわかるように簡潔に書くのが基本です。 いくつかある場合は、箇条書きにするとわかりやすい。 6. 末文 「よろしくお願いいたします」などがよいでしょう。
件名:【来月のイベント開催日程についてのお知らせ】 本文 お疲れ様です。営業部の中園です。 お忙しいところ申し訳ありませんが、標題の件について お知らせいたします。 また、下記の内容で問題ないか否かご確認の上、返信をお願い申し上げます。 【お知らせ】 20日に開催予定のイベントについて、近隣店舗の皆様から 「27日に予定を変更してくれないか」との相談があり、27日に変更することになりました。 お忙しいところ大変恐縮ですがご検討の上、ご返信をお願いいたします。
「周知」という言葉ついて理解していただけたでしょうか? ✓「周知」の読み方は「しゅうち」 ✓「周知」の意味は「多くの人に知らせること」「広く知れ渡っていること」 ✓「周知する」は「多くの人が知っている状態にすること」 ✓「周知させる」は「誰かに情報共有をさせる」 ✓「周知いたします」は正しい敬語である など