一段と優れている物を「別格」という言葉を使用して表現することってよくありますよね。その他にも「格別」や「特別」など似たような表現が色々ありますが、それぞれの意味と使い方の違いを理解できている人は少ないのではないでしょうか。今回は、「別格」の意味と使い方を例文付きで紹介すると共に、「特別」「格別」といった類似表現をとの違いも合わせて解説します。また、「格別」の英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「格別」の読み方は「かくべつ」です。 「格」は音読みで「カク」「別」は音読みで「ベツ・ベチ」訓読みで「わかれる」と読みます。 基本的に「かくべつ」と読みますが、「かくべち」と読むこともできます。 「別」を「ベチ」と読むことは、珍しいのですが、例えば「別儀」も同じように「べちぎ」と読むことができます。
「格別」の意味は、「物事や事柄の程度が他の物より特に優れていること」です。 地位や身分、程度を表す時に、「格上」「格下」と言い表すことがあると思いますが、この「格」と「別」を組み合わせることで、「格が他のものとは別」という意味で「格別」という言葉を使用します。 他の物と比べて「とても良い」という状態など、とりたてて優れていると感じるものに対して、「格別」という言葉を使います。 「凄い・素晴らしい」とただ表現するよりも、「他の物とは格が別だよ」という表現の仕方をされると、ずば抜けて素晴らしい物だと思いますよね。 このように、「普通のものとは程度が全く違うほど優れている」ということを強調する言葉が「別格」になります。
「格別」は単体でも副詞的に使いますし、「格別に」という形で用いることもあります。 副詞とは、用語を修飾する言葉で、「とても大きい」の「とても」や、「かなり」といった程度を表す言葉と同じ働きがあります。 例えば、
といった言い回しで使用されます。
例文
「格別の」「格別な」という形でも使います。 この場合の「格別」は名詞です。 例えば、
といった言い回しがあります。 また、
などの表現はビジネスメールでたまに使用されます。 例えば、「平素より格別のご愛顧を賜り〜...」で、いつも自分をひいきしてくれている相手に対して感謝の気持ちを伝えることができます。 「格別の〜...」なので、とても大切に扱ってもらっていることを感謝しているということです。 いつもよくしてくれている取引先の相手に使用することが多いです。
例文
ビジネスメールで使用できる「格別」の使用例
「格別だ」「格別です」で形容動詞として使うことも可能です。 「形容動詞」とは、「〜だ」など終止形で終わる自立語のことです。 例えば、「彼女の作ってくれる料理は格別だ」というように、文章の最後を「格別」にして甚だしく優れていることを強調する文章にすることができます。
例文
「格別」は、「〜格別、」で「例外として」という意味で使用することもあります。 「普通とは違う、別の扱いがなされる」という意味で、わかりやすく言うと「〜ならともかく」「〜は別として」という使われ方をします。 例えば、「新人なら別格、ベテランがそんなミスをするなんてありえない」というような使い方をしますが、これは「新人ならともかく、ベテランがそんなミスをするなんてありえない」という意味になります。 やや古い言い方であり、あまり日常生活で使用されることはあまりないでしょう。 現在では主に法律用語として使われています。
例文
「特別(とくべつ)」の意味は、「普通一般と違うこと・他のものと区別されること」です。 特別は、「他の物とは別」という、明確に一般的なものと区別ができる・例外であるといった場合に使用する言葉です。 例えば、「特別な日」と言う表現は、「普段の日と違う日」ということですよね。 ただし、「特別」は「格別」とは違い、「より優れている」という意味はありません。 例えば、「特別好きではない」というように打ち消しの語をつけて「大して...ではない」という意味でも使用することが可能です。 つまり、「他のものと区別する」という理由が必ずしも「優れている」という理由でないということです。
例文
「各別」は、「格別」と意味も使い方も同じであり、「格別」の別表記であると言えます。 「格別」の「格」は、地位や身分、程度を表す言葉であり、そこに「別」をつけることで「他のものより優れている」という意味になっていますが、「格別」はどうでしょうか。 「各別」の「各」は「おのおの」「それぞれ」という意味です。 「各」に「格別」と同じように「わける」「別」という漢字をあわせて「他のものよりも...」という区別するニュアンスをもつようになっています。 つまり、「格別」と「各別」の違いは「格」と書くか「各」と書くかという漢字の違いです。 基本的にどちらで書いても間違いではありませんが、「各別」は一般的でないため文章で表記する場合に「各別」と書くと誤字だと思われてしまう可能性が高いです。 「格別」を使用するのが無難と言えるでしょう。
例文
「別格」は「格別」と使用している漢字も意味も同じであるということからもわかるように、「決まっている格式にとらわれず、特別であること」また、「レベルやランクが特別である」ということを言い表した言葉です。 したがって、「格別」と「別格」も意味同じ意味であり、使い方も同じになります。
例文
「格段」の意味は、「格別」と相違ありません。 「格別」と同じように、「程度がはなはだしい様」を表現していて、他の物とは区別されるほど優れているという意味で使用されます。 ただし、使い方に微妙な違いがあります。 「格段」の「段」という漢字には、「ひときわ」という意味があり、「他のものよりかなり差がある」といった場合に使用されることの多い言葉で、「技量」や「能力」といったものが、他との違いがかなり大きいという場合に「格段」という言葉を使用します。 例えば、「◯◯の能力に格段の違いがある」と言うことができても、「◯◯の能力の格別の違いがある」とは言いませんよね。 このように、「格段」と「格別」はニュアンスの違いにより、言い換えられない場合もあるのです。
例文
「特段」の意味は「他のものの程度や状態とは差があること」です。 ある物事の程度の差が甚だしいことを表します。 例えば、「特段の理由がない限りは、来週のイベントは出席するべきだ」といったように使います。これは「何か普通とは異なった理由がなければ、イベントに出席するべき」ということを表しています。 「特段」は、「特別」と同じ意味の言葉になり、この2つを言い換えても何ら問題はありません。 したがって、同じように「特段」の場合も「特段」という言葉自体に「特に優れている」という意味はないという点が「格別」とは違う点であるということがおわかりいただけるかと思います。
例文
「格別」の英語表現には「special」「especial」があります。 「special」と「especial」は完全な同意語ですが、「especial」の方がフォーマルな英語です。 ちなみに「especial」は形容詞ですが、この形で使うことはあまりありません。副詞である「especially」の形で使うことが多いです。 逆に「special」は「specially」と副詞で使うことは少なめです。
My mom's handmade pizza is so special to me.
母の手作りピザは私にとって格別だ。
It's especially cold this morning.
今朝は格別に寒い。
「格別」の英語表現には「exceptional」「exceptionally」もあります。 「exceptional」は「例外的」という意味なので、「special」「especially」よりも意味が強いです。 「exceptional」「exceptionally」は、技術、能力、質などに対して使うことが多いです。
She is an exceptionally talented student.
彼女は格別に才能がある生徒だ。
「particular」「particularly」「in particular」という表現もあります。 「particular」は「(数ある同類の中で)特有の」と意味です。
I have nothing particular to tell you.
格別あなたに話すことはない。
I was not particularly an academic child.
私は格別勉強が好きな子供ではなかった。
いかかでしたでしたか? 「格別」という言葉の意味や使い方を理解していただけたでしょうか。 ✓「格別」の読み方は「かくべつ」だが「かくべち」と読むこともできる ✓「格別」の意味は「物事や事柄の程度が他の物より特に優れていること」 ✓「格別」「格別に」で副詞として使うことができる ✓「格別の」「格別な」で名詞として使うことも可能 ✓ビジネスシーンでお礼を伝えるときに使用することも ✓「格別だ」「格別です」で形容動詞として使う など