「閑古鳥(かんこどり)」は「カッコウ(郭公)」の異名で、翼と尾が長い約35センチほどの実存する鳥です。「かんこどり」とは「カッコウドリ」の訛りで、漢字「閑古鳥」は当て字です。カッコウは鳴き声が物静かなため、「閑古鳥が鳴く」で「場所が物寂しいさま」「店の商売が繁盛していないさま」を表します。
「閑古鳥」は「かんこどり」と読みます。 「閑古鳥」とは「カッコウ」の別名です。 「カッコウ」は漢字で「郭公」です。 「カッコウ」とは全長は約35cmで体が灰色の鳥です。 ユーラシア大陸とアフリカで広く繁殖し、日本には夏鳥として5月ごろ飛来します。 よって、「閑古鳥」の季語は夏です。 日本では主に山地に生息しますが、寒冷地の場合平地にも生息します。 有名な "エグい" 習性に「托卵(たくらん)」があります。 「托卵」とは、卵の世話を他の個体に托する動物の習性です。 巣作りから抱卵、子育てまで託します。 代わりに世話をする動物を仮親と言います。 「カッコウ」には「合法鳥(がっぽうどり)」という別名もあります。 幼鳥には「むしくひ」「おほむしくひ」などの異名もあります。
「閑古鳥」という言葉の由来は「カッコウドリ」が訛った説が濃厚です。 また「閑古鳥」という漢字表記は当て字です。 「閑古」という言葉があるわけではありません。
「閑古鳥が鳴く」という慣用句があります。 「閑古鳥が鳴く」はことわざではありません。 また「閑古鳥が泣く」は誤記となります。「なく」は「鳴く」のみが正しい表記になります。 「閑古鳥が鳴く」の意味は「人が集まらずものさびしい様子」です。 特に商売などが流行らない時にさびれている様子を指します。 なぜ「閑古鳥が鳴く」と「さびしい様子」という意味になるかというと、
などが挙げられます。 「閑古鳥」は静けさや寂しさのメタファーとして古くから日本語の詩などで登場します。 例えば、松尾芭蕉の俳諧には「うき我をさびしがらせよ閑古鳥」というものがあります。 さらに「閑古鳥が歌う」とも使われます。 意味は「閑古鳥が鳴く」と同じで「商売などが流行らないさま」を表します。 「閑古鳥が鳴く」を意味する四字熟語はありません。
「閑古鳥」の古語は「呼子鳥(よぶこどり)」です。 「呼子鳥」は人を呼ぶような声で鳴くことから付けられた名前です。 古今和歌集の解釈を中心に歌学に限らず様々な学説を師から弟子へと伝授する「古今伝授」において、「呼子鳥」は「稲負鳥(いなおほせどり)」「百千鳥(ももちどり)」と三鳥とされています。
「閑古鳥が鳴く」は主に"店"とともに使われています。 「閑古鳥が鳴く店」「店は閑古鳥が鳴く」と両方の形で使えます。 「閑古鳥が鳴く」の言い回しには
の他にも、
などと使われています。
例文
閑散としていることを「閑古鳥状態」と言われることもあるのですが、これは正式な表現ではありません。 そもそも「閑古鳥」だけでは、商売がはやっていないことを指しません。 「閑古鳥状態」で客足がないことだと伝わることが多いですが、正式な表現ではないことは覚えておきましょう。
お店が静かということは結果的に暇ということになりますが、「閑古鳥が鳴く」自体に「暇」という意味はありません。 あくまで「人がいなくて静か」「さびれている」という様子を表す言葉です。 特に「人が暇である」という意味で使うのは誤用です。
「門前雀羅を張る」は「もんぜんじゃくらをはる」と読みます。 意味は「訪れる人がおらず、門の前で遊ぶ雀(すずめ)を捕まえるための網を張れるほどである」です。 これは「訪問者がいなくてひっそりしていること」のたとえとして使われています。 「鳥の網張る宿」は「とりのあみはるやど」です。 意味は「門前雀羅を張る」と同じです。 他、二字熟語なら
などがあります。 どれも静かでひっそりとしていることを表します。
例文
「閑古鳥が鳴く」の対義語には
があります。 「門前市を成す」は「もんぜんいちをなす」と読みます。 意味は「門前に人や車馬が群がり集まること」で「その家には出入りする者が多いこと」のたとえとして使われています。 「門前市の如し」は「もんぜんしのごとし」と読みます。 意味は「門前市を成す」と同じです。 「市」は「人が多く集まるところ」を表します。 「成す」は「そういう形・状態をつくる」で、「如し」は「〜のようだ」です。
例文
「静か」という意味ならば
などがあります。
The street was very quiet.
通りは閑古鳥が鳴いていた。
「店などが繁盛していない」の意味ならば、
などがあります。
It's the slack season for business.
商売は閑古鳥の鳴く季節だ。
いかがだったでしょうか? 「閑古鳥が鳴く」について理解出来たでしょうか? ✔「閑古鳥」は「かんこどり」と読む ✔意味は「人が集まらずものさびしい様子」です。 ✔語源はカッコウの鳴き声の物静かなさま ✔類語は「門前雀羅を張る」、対義語は「門前市を成す」など