「慣行」「慣習」「慣例」「恒例」「通例」という言葉をご存知でしょうか。「慣行に従う」「慣例を守る」「恒例行事」といったように使います。では、それぞれの意味についてしっかりと理解しているでしょうか。これらの言葉は行事を表す場合に使います。普段の生活では行事が多くあるので、これらの言葉を聞いたことある、使ったことがあるという方がいるかもしれません。似ていますが、実は意味が異なるので、一つ一つの意味についてきちんと知っておくことが必要です。そこで今回は「慣行」「慣習」「慣例」「恒例」「通例」の使い分けについて解説していきます。適切に覚えて、上手く使い分けできるようにしましょう!
「慣行」・・・ある社会の中で前々からの習わしとして行われている事柄、普段の生活で行なっている事柄 「慣習」・・・ある社会の中で、長い間伝統的な習わしとして行われている事柄 「慣例」・・・前々から何度も行われてきて、習わしのようになってきた事柄 「恒例」・・・いつも同じ時期や方法によって、行事や儀式が行われること 「通例」・・・世間一般での決まりとなっていること、そうすることが当たり前になっていること
「慣行」「慣習」「慣例」は「前々から行なっていること」を表します。 「慣習」はある地域や社会で伝統的に行われている事柄、「慣行」はある企業や団体で行われている事柄、「慣例」はだんだんと当たり前のように行われるようになった事柄です。 「慣習」は「絶対にやらなければいけない」と、そこに属する人からすると強要のニュアンスが強いです。 「慣習」の比べると、「慣行」「慣例」はそういった強制するという意味合いは小さくなります。「慣行」と「慣例」では、「慣行」の方が改まった事柄に対して使うことが多いです。 「慣習」はある特定の土地や社会、「慣行」は社会や会社、「慣例」は会社や学校の事柄に対して使います。
「慣行」は<かんこう>と読みます。 「慣」は音読みで「カン」、訓読みで「なれる」と読みます。 「慣」は「いつも行なっていること」を意味します。 「行」は音読みで「コウ・ギョウ・アン」、訓読みで「いく・おこなう」と読みます。 「行」は「おこない、取り組み」を意味します。 「慣行」の意味は、
です。 ある組織の中で古くからのしきたりとして行われていることや、常日頃から行なっていることを表します。「慣行」は「無理なことは分かりきっているが、あえてする」というニュアンスが含まれます。 「慣行にとらわれる」「慣行を破る」「慣行に従う」といったように使います。 「慣行の散歩」「慣行のプール通い」といったように、普段から行なっていることも表します。 「慣行犯」という言葉があり、これは「常習犯」と同じで「同じ不当行為を繰り返す人」を意味します。「盗みの慣行犯」「ドタキャンの慣行犯」などと使います。
例文 「その組織や社会で、以前からの習わしとして行われている」という意味
「普段の生活のなかで行なっている」という意味
「慣習」は<かんしゅう>と読みます。 「慣」は音読みで「カン」、訓読みで「なれる」と読みます。 「慣」は「いつも行なっていること」を意味します。 「習」は音読みで「シュウ」、訓読みで「ならう」と読みます。 「習」は「繰り返しやってきたおこない」を意味します。 「慣習」の意味は「ある社会のなかで、長い間に広く認められてそのようにする決まりとなった習わし」です。 ある特定の地域や社会において、長い間受け継がれている習わしを表します。「慣習」は古くから決まって行われているもの、伝統的なものということです。 「慣習に従う」「慣習を守る」「慣習がある」といったように使います。 「毎朝走るのが慣習だ」といったように、「慣習」は個人的なことに関しては使うことはできません。 「慣習」は地域や社会、会社など複数の人が行なっている決まりを表す場合に使うのが適します。
例文
「慣例」は<かんれい>と読みます。 「慣」は音読みで「カン」、訓読みで「なれる」と読みます。 「慣」は「いつも行なっていること」を意味します。 「例」は音読みで「レイ」、訓読みで「たとえる」と読みます。 「例」は「前から行われている習わし」を意味します。 「慣例」の意味は「今まで繰り返し行われてきて習慣のようになったもの」を意味します。 ある物事のやり方や進め方に関して何度も行なってきたことが、いつのまにか普通になっていることを表します。 以前から何度も行われて習慣のようになったおこないです。「慣例」には、昔から引き継がれてきたという意味合いは含まれません。ただ繰り返し行われていること、何度も行われていることを指します。 伝統的までは言わないものの、習慣と呼べるほど何度も行われてきた事柄が「慣例」となります。「慣例」は何十年間ではなくて、3〜4年間行なっただけのことに対しても使うことができます。 「慣例を守る」「慣例に従う」「我々の慣例」「慣例化」といったように使います。
例文
「恒例」は<こうれい>と読みます。 古くは「ごうれい」と読まれていました。 「恒」は音読みで「コウ」、訓読みで「つね」と読みます。 「恒」は「普段通りで変わらないこと」を意味します。 「例」は音読みで「レイ」、訓読みで「たとえる」と読みます。 「例」は「前から行われている習わし」を意味します。 「恒例」の意味は「いつも通り決まって行われるもの、決まって行われる行事や儀式」です。 常々決まって行われることを表します。特に、儀式や行事を「恒例」と呼びます。毎年あるいは毎回と、特定の期日で行なっている行事や儀式のことです。 町のイベントや学校行事、家の中での儀式などを表す場合に使うことが多いです。例えば、「来月、毎年恒例の花火大会が行われる」だったら「毎年開催されている花火大会」という意味になります。 「恒例による」「恒例行事」「恒例の飲み会」「毎年恒例」といったように使います。「恒例行事」だったら「いつも同じ時期に決まって行われる行事」を表します。
例文
「通例」は<つうれい>と読みます。 「通」は音読みで「ツウ・ツ」、訓読みで「とおる・かよう」と読みます。 「通」は「広く行われていること」を意味します。 「例」は音読みで「レイ」、訓読みで「たとえる」と読みます。 「例」は「前から行われている習わし」を意味します。 「通例」の意味は、
です。 世間一般での行いや普通のやり方を表します。「通例」は、名詞としても副詞としても用いることができます。 例えば、「謝罪するのが通例だ」「通例のセミナーは午前10時に会場する」といったように使います。 一般的なおこないや通常はそうすることになっているものを表すので、一般的ではない特殊なことに対しては「通例」は使うことができません。 「通例となっている」「通例化」「通例◯◯」といったように使います。
例文