「奇をてらう」とは「人の気を引くために、故意に普通と違った言動をすること」という意味で、人の手段や態度を非難する時に使います。「衒う(てらう)」は「照らふ」から転じた言葉で「自分に才能や知識があるようにわざと見せかける。また、見せびらかす」という意味で、「才をてらう」のようにも使います。「奇」は「普通とは異なること」を意味し、「奇人」「寄行」などと使います。
「奇をてらう」の読み方は「きをてらう」です。 「てらう」の漢字は「衒う」となります。
「奇をてらう」の意味は「人の気を引くために、故意に普通と違った言動をすること」です。 わざと奇妙で風変わりなことをすることで、周りの人から注目を集めようとすることを指します。 「てらう」は「照らふ」から転じて言葉で、「自分に才能や知識があるように、わざと見せかける。また、見せびらかす」という意味があります。 「奇」は「普通とは異なること」を意味します。 「奇をてらう」以外にも「才をてらう」で「才能を見せびらかす」または「知識があるように振る舞う」という意味になります。
「衒」という漢字には「ひけらかす」「売る」「たぶらかす」などの意味があります。 「衒気(げんき)」「女衒(ぜげん)」などの熟語で使われ、それぞれ「自分の才能や学識をひけらかしたがる気持ち」「女性を買い付け遊女屋に売っていた仲介業」という意味です。 「玉を衒いて石を売る」ということわざがあります。 これは「高価な玉(=値打ちのある物)のように見せ掛けて、実際には石(=値打ちのない物)を売りつけること」です。 見かけの立派さに比べて、内実が粗末なもののたとえとして使われています。
「奇をてらう」は、わざと普通と違ったことをして人の注意を引こうとする人を批判する時に使います。 自然体では自分は注目されなかったり、才能がないことを隠すために変わったことをしている人に対して使うため、良い意味で使われることはありません。 また「奇をてらわない」「奇をてらわず」と否定形にして「わざわざ風変わりな言動をして注目されたりしないさま」となり「無難であろうとするさま」「自然体なさま」を表します。 この場合は良い意味で人を褒める時に付きます。
「てらう」と「ねらう」が似ていることから「奇を狙う」と誤用されることが多いので注意しましょう。 意味合いも「変わったと思われることを狙う」となるのでは、と混同されやすいです。 「奇をてらう」が正しい言葉ですので、しっかりと覚えておきましょう。
「奇をてらう」の二字熟語にすると「衒奇(げんき)」となります。 「奇を衒う」の漢字が使われており、意味は一緒です。 「衒奇」は「奇を衒うこと」となります。 「わざとらしい振る舞い」といった意味としてよく使われています。
例文
「奇抜」の意味は「思いも寄らないほど、きわめて風変わりなこと」です。 人の意表をついたり、普通のものとは並外れて異なっている様子を指して使います。 「奇抜な服装」「奇抜な発想」などと使われています。
例文
「奇矯」の意味は「言動や思考が普通とちがい、ひどく変わっていること」です。 「嬌」には「勢いが強い、激しい」といった意味もあります。 「奇矯」の場合はその意味が用いられており、「言動が変わっていてはげしい様子」を表します。 「奇矯な人」「奇矯な人生」などと使います。
例文
「奇異」の意味は「普通と特に様子が変わっていること」です。 「不思議なこと」といった意味でも使われます。 「普通と変わっていて妙なこと」を表し、「奇異な服」「奇異な状況」などと使います。
例文
「突飛」の意味は「常識からひどく外れていて、人々が驚くようなさまであること」です。 行動が思いがけなかったり、並外れて風変わりなさまを表します。 主に「突飛な言動」「突飛な発想」「突飛である」などと使われます。
例文
「風変わり」の意味は「行動や性質などが普通と変わっていること」です。 非難する意味合いはありませんが、褒め言葉として使われることもほとんどありません。 「あの人と他の人とはちょっと違うよね」といった意味合いが強いです。 「風変わりである」「風変わりな人」などと使います。
例文
「受けを狙う」の意味は「周りの人が喜んだり笑ったりすることを意識した言動」です。 周りを楽しませるために受けを狙うことも多いことから、いい意味で使われることも多くなっています。 ただ注目されたくて受けを狙っている人に対しては、悪い意味で用いられることもあります。
例文
「虚仮威し」の意味は「愚かな人を感心させる程度のあさはかな手段」です。 見せかけは立派だが、中身のないことを表します。 「他人を嘲る」という意味で「こけにする」と言います。そこから「怖がらせる」という意味の「おどし」を付けて、「中身のない考えでおどす」という意味の「こけおどし」が使われるようになったのです。
例文
「エキセントリック」の意味は「個性的で普通ではない性格や言動のこと、ひどく変わったさま」です。 「エキセントリック」はいい意味でも悪い意味でも使われます。 一般的に周りの人を「エキセントリックだ」という場合は、「奇人、変人」とマイナスなイメージを持って使うことが多いですが、アーティストや芸術家などに対しては「個性的で唯一無二」「固定概念にとらわれていない」とプラスの意味で使われることが多いです。
例文
「正々堂々」の意味は「態度が正しく立派であること」です。 「正々」は「正しく整っていること」、「堂々」は「威厳があり立派なこと」を表します。 自分を良く見せようとしたり注目を浴びるためにわざと変わったことをするのではなく、ありのまま堂々としていることです。
例文
「正攻法」の意味は「正面から堂々と攻めるやり方」です。 相手を騙すようなことをしたり、画策を練ったりしないで、正々堂々とした攻め方を指します。
例文
「真っ向勝負」の意味は「物事から逃げずに立ち向かうさま」です。 正々堂々と戦う様子を表します。 「真っ向」の意味は「真正面」であり、裏技や卑劣なことをしないといった意味合いが強くなります。
例文
「素直」の意味は「態度や動作、考えなどがまっすぐなこと」です。 ありのままで飾り気がないことや、穏やかでひねくれていない様子を表します。 主に人の性格や言動などに使われる言葉ですが、物の形や性質などに使うこともあります。
例文
「奇をてらう」に最も近い英語表現は、かなりシンプルですが「try to be different」です。
Don't try to be different. Just be honest to yourself.
奇をてらうのはやめなさい。ただ自分自身に対して正直でありなさい。
「deliberately act strangely」で「わざと変な行動をとる」です。
You should not deliberately act strangely to stand out.
目立つために奇をてらうのはやめた方がよい。
いかがだったでしょうか? 「奇をてらう」について理解できたでしょうか? ✔意味は「人の気を引くために、故意に普通と違った言動をすること」 ✔漢字は「奇を衒う」 ✔人の方法を批判する時に使う ✔類語は「奇抜」「突飛」「エキセントリック」など