「瓢箪から駒(ひょうたんからこま)」とは「思いがけないことが起こる」「冗談が実現化する」という意味です。「駒」は「将棋」ではなく「馬」を表しており、中国の仙人が馬を瓢箪の中にしまっていた、という逸話が語源となっています。類語には「棚から牡丹餅」「藪から棒」「嘘から出たまこと」などがあります。
「瓢箪から駒」の読み方は「ひょうたんからこま」です。 「ひょうたん」はウリ科の蔓性(つるせい)の植物です。
「瓢箪から駒」の意味は3つあります。 1. 思いがけないことが起こること 2. 道理上ありえないことが起こること 3. 冗談半分で言ってたことが現実になること どれも、まさか本当に起こるとは思ってなかったといった意味合いになります。
「瓢箪から駒」は「瓢箪から駒が出る」の略です。 本来は「瓢箪から駒が出る」が正しいことわざになります。 ちなみに対義語となることわざには「瓢箪から駒も出でず」があります。
「瓢箪から駒」の語源は中国の東遊記(とうゆうき)にあります。 仙人である張果老が白い驢馬(ろば)に乗って数万里を回り歩き、休む時はその驢馬を瓢箪の中に収めていました。 そしてまた歩き回る際には、瓢箪から驢馬を出していました。 これが、室町時代から仙人を画題とする絵が描かれるときに、瓢箪から驢馬(=駒)が出る構図が使われ、広く知られるようになりました。 瓢箪から駒が出るなんて、誰も想像出来ないようなことから「思いがけないことが起こる」「道理上ありえないことが起こること」といった意味で「瓢箪から駒が出る」と言われるようになりました。
「瓢箪から駒」の使い方を紹介していきます。 一般的によく使われているのが「〜は瓢箪から駒だ」です。 「新プロジェクトに私が選ばれるのは瓢箪から駒だ」などと使います。 「そんなことが起こるなんて思ってもみなかった!」と思うような出来事に対して使います。 また「〜なんて、まさに瓢箪から駒だ」といった使い方も出来ますし、相手が驚いた話をしたのに「瓢箪から駒だね!」と言うことも出来ます。
例文
ーそれは瓢箪から駒だな。
「瓢箪から駒」は、「瓢箪から駒も出でず」と逆説的にも使います。 「思いがけないことなんてそう起きない」といった意味です。 「宝くじ当たらなかったな〜」「瓢箪から駒も出でずだよ」などと使います。
「棚から牡丹餅」は「たなからぼたもち」と読みます。 意味は「思いがけない幸運が転がり込むこと」です。 苦労をせずに、良いものを得るたとえとして使われています。 略して「たなぼた」とも言われ、「ラッキーだ!」といった意味で「まじたなぼただわ!」と若い人たちにも使われています。 「瓢箪から駒」は思いがけないこと全般であり「幸運」といった限定はしていませんが、「棚から牡丹餅」は「苦労せず幸運を得る」といった意味となります。
「藪から棒」は「やぶからぼう」と読みます。 意味は「予期せぬことが唐突に起こること」です。 また、出し抜けに物事を行うことのたとえとして使われています。 「予期せぬことが唐突に起こること」といった意味では「藪から棒」と「瓢箪から駒」は同義です。 ただ「瓢箪から駒」には「出し抜けに物事を行う」といった意味は含まれません。
「嘘から出たまこと」の意味は「嘘として言ったことが結果として真実になること」「冗談がはからずも真実になること」です。 ここでの「まこと」の漢字は「実」となります。「真実」の「実」ですね。 「嘘を言い続けてみんなが真実だと思い込む」といった意味ではなく、「たまたまでたらめ言ったら、その後本当になっちゃった!」といった意味合いです。 「瓢箪から駒」の「冗談半分で言ってたことが現実になること」と同義になります。 ただ「瓢箪から駒」には「相手に嘘を言う、でたらめを言う」といった意味合いはなく、あくまで「冗談」となります。
「予想外なことが起きる」といった意味の類語には
などがあります。 「灰吹きから蛇が出る」は「はいふきからじゃがでる」と読みます。 「意外なところから意外なものが出る」といった意味から「思いがけないことやありえないことが起こるたとえ」として使われています。 灰吹きは煙草を煙管で吸い終えた時に火皿に残った灰を落とすための器のことで、そこから蛇が出るとは予想も出来ないことから、「灰吹きから蛇が出る」がそういった意味を持ちます。 他にも「灰吹きから竜が上る」といったことわざもあり、同じ意味で使われています。 「青天の霹靂」は「せいてんのへきれき」と読みます。 意味は「予想だにしないことが突然起こる」です。 「霹靂」とは「急に雷が激しく鳴ること」であり、「青天=晴れ渡った青空」に突然雷が鳴ることは予想できないことから「青天の霹靂」はそういった意味を持ちます。 「寝耳に水」は「ねみみにみず」と読みます。 意味は「不意の出来事や知らせに驚くこと」です。 昔、治水が完全でなかった頃によく川の水が氾濫しており、それが寝ている時に起きて洪水などの濁流音が聞こえてくると驚くといったことから出来たことわざです。 「寝ているところに突然水が耳に入る」ではなく「寝ている時に濁流音を耳にする」が本来の語源となっています。
「道理に反している」の意味の類語には
があります。 「筋違い」は「すじちがい」と読みます。 意味は「道理に外れた言動を取る様」です。 これは特にことわざとかではありませんが、一般的にもよく使われていますよね。 「それは筋違いだよ」「筋違いな話だ」などと使います。 「江戸の敵を長崎で討つ」は「えどのてきをながさきでうつ」と読みます。 意味は「意外な場所や筋違いなところで、以前の恨みの仕返しをすること」です。 これは江戸の地で受けた恨みを、遠く離れた長崎で返したことから出来たことわざです。 ただ単に違う場所で恨みを返した、とかどこまでも執念で追い続けたといった意味ではありません。 例えば、仕事の成績で負けたことを恨み続け、相手の恋人などを奪うことで仕返しをするといった意味になります。 仕事で正々堂々と戦い直すのではなく、筋違いな仕返しをすることを表します。
ふさげ半分が実現するの意味の類語には
があります。 「虚は実を引く」は「きょはじつをひく」と読みます。 意味は「はじめは嘘であったことが、段々と本当のことになること」です。 実を引くは「真実を引きつける」といった意味であり、「嘘であっても言っていると本当になっちゃうことがある」といったニュアンスが強い言葉です。 「根もない嘘から芽が生える」も同じ意味で「はじめは嘘だったものが段々と本当になってしまうこと」です。 「冗談から駒」は「瓢箪から駒」をもじったものです。 意味は「冗談で言っていたことが本当になること」です。 「言霊」の意味は「言葉に内在する霊力」です。 これは「発した言葉どおりの結果を現す力があるとされたもの」であり、「嘘でも言ってると本当になるよ!」と言霊を信じている場合は、類語となります。
「思いがけないこと」の対義語として「当たり前のこと、当然のこと」といった意味の言葉は
「雨の降る日は天気が悪い」は「ごく当たり前のこと、当然であることのたとえ」として使われている言葉です。雨が降っていることを天気が悪いというので、当たり前ですよね。それくらい当たり前だ!というたとえです。 そして「犬が西向きゃ尾は東」といったことわざもあります。 犬が西側を向けば、犬のしっぽは東になる、と当たり前であることを言っていますよね。 「ごく当たり前のこと、当然であることのたとえ」として使われています。 他の言葉も「当たり前であることのたとえ」として使われています。
「思いがけず起こる」の対義語として「起こるかも分からないことをあてにして計画する」といった意味は
「取らぬ狸の皮算用」は「とらぬたぬきのかわざんよう」と読みます。 意味は「狸狩りをしている時に、まだ狸を捕獲する前から皮を売った収入をあてにして計画をすること」です。 手に入るかも分からない不確かなものをあてにして、あれこれと計画するといったたとえで使われています。 「飛ぶ鳥の献立」は「とぶとりのこんだて」と読みます。 意味は「飛んでいる鳥の献立を考えること」です。 まだ捕まえてもいない飛んでいる鳥の献立を考えるというのは、不確かなものをあてにして食事にしようと計画しています。 これも「不確かなものをあてにして計画」ですよね。 他の言葉も、手に入る前から値段をつけたり利益を計算したりすることを表しています。
「予想外なことが起こる」の英語は、
Something unexpected has happened.
Trump's victory was beyond our expectation.
トランプの勝利は瓢箪から駒だった。
「冗談が本当になる」には下記のような表現があります。
It was only a joke, but it has come true.
ほんの冗談のつもりが、実現化した。
Mows may come to earnest.
「mows」とは「jokes」という意味です。 「earnest」は「本気」という意味です。 「Mows may come to earnest」は直訳すると「冗談が本当になるかもしれない」です。
「鯰」は「なまず」と読みます。 「瓢箪で鯰を押さえる」の意味は「とらえどころがないことや、要領を得ないことのたとえ」です。 これは、丸くてなめらかな瓢箪ではぬるぬるした鯰をなかなか押さえられないところから、そうたとえられています。
「瓢箪の川流れ」の意味は2つあります。 1.うきうきして落ち着きのないようす 2.あてもなくぶらぶらとしているようす これは、川面を瓢箪がぷかぷかと流れていくようすからたとえられています。
いかがだったでしょうか? 「瓢箪から駒」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「ひょうたんからこま」 ✔意味は「思いがけないことが起こること」「道理に反していること」「冗談半分なことが現実に起こること」 ✔似た意味のことわざは「棚から牡丹餅」「藪から棒」など ✔ほか、類語は「灰吹きから蛇が出る」「筋違い」「虚は実を引く」など ✔対義語は「雨の降る日は天気が悪い」「取らぬ狸の皮算用」など