「ニアミス」という言葉は、日常会話でもよく使用されている言葉だと思いますが、本来は「飛行機の距離が以上に接近すること」ということをご存知ですか?今回は「ニアミス」の意味や使い方について解説します。また、「ニアピン」「ケアレスミス」といった似たような言葉や、類語も紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
「ニアミス」の意味は「近づくこと・すれ違うこと」です。 「近づく・すれ違う」とは、人間同士の出来事についてだけではなく、車などの物など様々な事柄に使用することができます。 対象となっているものや、状況によってニュアンスが変わってくる言葉です。 例えば、車など物が対象となっている場合は「異常に急接近した」という状態を意味しています。 簡単にいうと、「ぶつかりそうになった」というような意味です。 人間同士の場合は「近づく」という意味の他に「すれ違う」という意味があります。 その他に、医療現場などでも使用されます。 詳しい意味や使い方は後述しますので参考にしてみてください。
ニアミスの語源は、英語の「near-miss」という言葉です。 この「near-miss」という言葉は、「飛行機の距離が異常に接近する」という状況を表した言葉になります。 「miss」という単語は、日本語では「やりそこなうこと」や「失敗」という意味で使用されますが、英語では「的を外れる・免れる」というような意味をもつ単語です。 「near-miss」は「nearly-missed」とも表現され、意味は「ギリギリあたらなかった・免れた」というような意味になります。 よって、日本でも「飛行機の距離が異常に接近すること」という意味で使用されることもあります。
「ニアミス」は「惜しい」とう意味で使用されます。 「ニアミス」は、英語で表記すると「near-miss」となります。 この「miss」という単語には「逃す」という意味があり、「あともう少しのところで逃した」というような意味合いで「near-miss」と使用されることがあります。 このことから、日本でも「あともう少しだったのに残念だったね・惜しかったね」というようなニュアンスで使用されることがあります。
「1点差で決勝戦進出を逃すというニアミス」 「ニアミスなんて悔しいことは1番避けたいことだ」 「何度もニアミスで逃しているので今年こそ頑張りたい」
「ニアミス」は、「入れ違い」「会えない」の意味でも使われます。 例えば、「あと1時間早くその場所に着いていれば友人に会うことができたのに」という場面で、「友人とニアミスした」というような使い方をします。 この場合の「ニアミス」は、「入れ違った・会えなかった」という意味で使用されています。 「会えなくて残念だ」という意味でも使用されますが、「嫌いな部長とニアミスした」といったように、「会わなくてよかった・会わずにすんだ」というようなポジティブな意味でも使用することができます。
「あと1時間早く来れば会えたのに、ニアミスだった」 「都内に住んでいれば、芸能人とのニアミスは珍しいことではない」 「旧友と偶然ニアミスしたということを知り、直接会う約束をすることにした」
「ニアミス」の本来の意味は、「飛行機の異常接近」と説明したように、「ニアミス」とは、「近づくべきではないもの近づいてしまった」というような失敗のニュアンスがあるネガティブな言葉です。 つまり、「すれ違った」等の使い方は、「異常接近」というネガティブな言葉の比喩表現なのです。 その為、「すれ違いだったね・残念だったね・惜しいね」というような意味合いで使った場合でも、相手にネガティブ意味合いで受けとられてしまう場合もあります。 使い方には十分に注意しましょう。
「ニアミス」は、医療現場でも使用される単語です。 医療現場で使用される場合の「ニアミス」の意味は、「ヒヤリハット」です。 「ヒヤリハット」とは、「重大な事故が起こる可能性のあった出来事」という意味です。 事故にはいたらなかったが、「ヒヤリとした」「ハッとした」という状況を「ヒヤリハット」といいます。 医療現場では、患者にとって大きな害は与えなかったものの、何らかの異常な事態がおきていたという状態で使用されます。
同じく医療現場で使用される「ニアミス」の使用例として、「ニアミスSIDS」という言葉があります。 「ニアミスSIDS」とは、「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の一歩手前という意味です。 「乳幼児突然死症候群(SIDS)」は、1歳児未満の乳幼児が健康状態だったのにもかかわらず、睡眠中などに突然死してしまうという症状で、原因は不明とされている病気です。 この「乳幼児突然死症候群(SIDS)」を発症した場合に、死にいたらなかったものを、医療機関では「ニアミスSIDS」と読んでいます。
▶「ニアミス」・・・「近づくこと・すれ違うこと」 ▶「ニアピン」・・・「惜しい」 ▶「ケアレスミス」・・・「不注意によるミス」
「ニアピン」の意味は「惜しい」という意味です。 「ニアピン」の語源は、英語の「near pin」という言葉からきています。 「near pin」とはゴルフ用語で、「ボールがホール(ボールを入れる穴)に最も近づく」という意味です。 ゴルフは、ボールをホールに入れるという競技なので、ボールがホールに入りそうなくらい近づくというのは、「惜しい」という状況であるということになります。 「ニアピン」は「とても惜しい」というニュアンスで使われる言葉です。 ゴルフ用語でも「ニアピン賞」という使い方をされることが多いですが、「優勝に最も近い、惜しい賞」という意味で様々な競技で「ニアピン」という言葉は使用されます。 競技以外でも、「惜しい」という意味で「ニアピン」という言葉を使用する場合があります。
「ニアピン」を用いた例文 「ニアピン賞で賞金をもらうことができた」 「1点差で優勝を逃すなんて、ニアピンだったね」 「今回は、惜しくもニアピン賞でしたが、次回は必ず優勝します!」
「ケアレスミス」の意味は「不注意によるミス」です。 「ケアレスミス」は、英語の「careless mistake 」という言葉が語源です。 「careless」 には、「不注意な・軽率な」という意味があり、「mistake 」は「誤り・間違い」という意味です。 つまり、「careless mistake 」とは「不注意による間違い」という意味になります。 注意していれば防げたはずのミスを「ケアレスミス」といいます。 わかりやすく表現すると、「うっかりミス」というようなニュアンスです。
「ケアレスミス」を用いた例文 「ケアレスミスでの減点ほどもったいないものはない」 「疲れがでてきたのか、ケアレスミスが増えてきた」 「ケアレスミスさえ気を付ければなんてことのない問題だ」
「接近」は「せっきん」と読みます。 「接近」の意味は「近づくこと」または「両者の程度や内容の差が縮むこと」です。 距離が近づくことを「接近」という言葉を使って、「接近している・接近した」というように表現します。 人間同士や、物の目に見える距離だけではなく「仲が良くなった」という意味や、「実力の差が縮まってきた」という意味でも使用されます。
○「接近」を用いた例文 「知らない間に妹と友人の仲が接近していた」 「台風が来週末には日本にかなり接近してくるようだ」 「ストーカー行為をはたらき、加害者は接近禁止命令をうけた」
「すれ違い」とは、「時間や位置が会わず、会えるはずが会えないこと」という意味です。 漢字では「擦れ違い」と書きます。 お互いに触れ合うほど近くを通り過ぎて、それぞれ反対のほうへ行くというような場面を、「すれ違う」といいます。 また、お互いの距離だけではなく、「時間がずれる」というような場合も「すれ違い」といいます。
○「すれ違う」を用いた例文 「同じお店に行っていたけど、すれ違いだったみたいだね」 「赤い車を青い車が猛スピードですれ違った」 「お互いの仕事が忙しく、すれ違いの生活を送っている」
「衝突」の意味は「物同士がぶつかること、突き当たること」です。 また、「人の意見や立場、利害などが対立すること、対人関係においてぶつかり合うこと」といった意味もあります。
○「衝突」を用いた例文 「前の通りで衝突事故があったようだ」 「課長と部長の意見が珍しく衝突している」
「遭遇」の意味は「思いがけなく出くわすこと、偶然に出会うこと」です。 主に好ましくない出会いに対して使うことが多くなっています。 . 「遭」という字は「遭う(あう)」という言葉で「会う」などと同じ意味でも用いられますが、「思いがけず悪い事態が自分の身に起こる、嫌な体験をする」といった意味があります。 例えば「事故に遭う」「ひどい目に遭う」などと使います。
○「遭遇」を用いた例文 「最悪の事態に遭遇し、混乱する」 「浮気している最中に彼女と遭遇してしまった\(^o^)/オワタ」
「鉢合わせ」の意味は「思いがけず出会うこと、かち合うこと」です。 「鉢(はち)」は、形状が似ていることから頭や頭蓋骨を表すようになった言葉です。 元々「鉢合わせ」とは出会い頭に頭同士がぶつかることを指して使われていました。 それが「思いがけずに偶然出会うこと」といった意味で使われるようになりました。
○「鉢合わせ」を用いた例文 「サプライズ企画中に本人と鉢合わせるなんて」 「連絡が取れなくなっていた友人と空港で鉢合わせた」
「邂逅」の意味は「思いがけない出会い、偶然出会うこと、めぐりあい」です。 運命的な巡り合い、出会いのことも「邂逅」といいます。 これは人と人との出会いだけではなく、芸術や思想などあらゆるものとの「出会い」について用いることの出来る言葉です。 また「邂逅」は悪い意味で用いられることもあります。 偶然に出会った人や物が必ずしも良い出会いなわけではありません。 とある人との出会いによって人生が転落したり、もう二度と会いたくなかった人とばったり会ってしまった時にも使うことができます。
○「邂逅」を用いた例文 「後にパートナーとなった二人の邂逅の物語です」 「彼との三十年ぶりの邂逅には運命を感じた」 「この邂逅さえなければ私は今ごろ自由でいられたのに」
カタカナ語「ニアミス」の語源は、英語「near miss」になります。 英語の「near miss」は、「2つの機体がぶつかりそうな状況」という意味になります。 英語の「near miss」にはこれ以外の意味はありません。
That was a near miss! He should not drive like that.
今のはぶつかりそうだったね。彼はあんな運転しちゃダメだ。
「すれ違う」は英語で「pass by」と言います。 「惜しい」は形容詞「close」で表現できます。
I just passed by her, but I couldn't see her.
彼女とニアミスで会えなかった。
It was so close!
今のはニアミスだった。
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ニアミスについて理解していただけましたか? ✓「ニアミス」の意味は「近づくこと・すれ違うこと」 ✓「ニアミス」の本来の意味は「飛行機の距離が異常に接近すること」 ✓「ニアミス」はネガティブな意味合いがあるので使い方には注意 ✓「ニアミス」の類語は「接近」「すれ違う」など
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