「邂逅」という言葉を知っていますか?漢検では一級に出てくるほどの難しい漢字です。漢字の語源にはとても興味深いものがあります。今回は「邂逅」について漢字の語源や意味、使い方を例文付きで解説します。「巡り合い」「遭遇」との違い、類語、対義語、英語なども紹介します。
「邂逅」は<かいこう>と読みます。 あまり会話では使われないため耳馴染みのない方もいるかもしれませんが、文学的な表現としてよく用いられています。
「邂逅」の意味は「思いがけない出会い」「偶然出会うこと」「めぐりあい」です。 また、運命的な巡り合い、出会いのことも「邂逅」といいます。 これは人と人との出会いだけではなく、芸術や思想などあらゆるものとの「出会い」について用いることの出来る言葉です。
また、「邂逅」は<わくらば>とも読まれます。 しかし、一般的ではありません。 これは訓読みなわけでもなく、古語の「邂逅(わくらば)なり」という言葉が語源と言われています。 意味は「たまたま」「偶然」「まれ」となっています。 また、同じようにわくらばと読む「病葉」という言葉がありますが意味は異なります。 「病葉」は「色づきかすれた葉」という意味です。
「邂逅」というそれぞれの漢字と語源について詳しく説明します。 ○「邂」について 「解」という字と二点しんにょうから成っています。 「解」は、「ほどける」や「わかる」という意味がよく知られています。 ですが、「会う」という意味も含まれています。 その語源についてはっきりと書かれているものはないのですが、 昔、「禁止が解(と)ける」や「わだかまりが解(ほど)ける」ことで「会う」ことが出来たことが由来されたのではないかと考えられます。 二点しんにょうもとい、しんにょうには「道」や「進」など、道そのものや歩くことを意味します。 そのため「邂」という字には、道を歩いていることで出会うといった意味があります。 歩いていると故意せずとも人と会うことから「偶然出会う」といった意味も含まれるようになりました。 ○「逅」について 「后」と二点しんにょうから出来ています。 「后」の字は、「皇后」といった言葉でも使われるように、天皇の妻である「きさき」といった意味をもみます。 その「后」に二点しんにょうで、「逅」となり漢字の語源には「道を進む后」といった意味を持ちます。 そのため、「逅」には「まみえる」といった会うの謙譲語の「お目にかかる」といった意味が含まれるのです。 そして「邂」「逅」が合わさって「道を進む后と出会う」となり、昔では后にまみえることはめったになかったことから、「偶然の出会い」といった意味になりました。
「邂逅」は「ばったり偶然会った」というよりも、「運命的な出会い」など大きな偶然の出会いがあった時に使います。 随分と会っていなかった人と思いもしないところで偶然会ったり、その人にとって重要となる人との偶然の出会いのことを指します。 また人だけではなく、芸術や本、また思想など様々な物事との運命的な出会いに対して使われています。 そして「邂逅」は話し言葉ではほとんど使われません。 小説や文書など文学的な表現として使われることがほとんどです。 口頭で使うと、相手に伝わらなかったり大げさだと取られれてしまうことがあるので、使う場合には注意しましょう。 そのため、ビジネスシーンでもあまり使われることはありません。 ただ文面では使われている言葉ですので、しっかりと覚えておきましょう。 「邂逅」の主な言い回しは
です。 また、「邂逅」を用いた四字熟語があります。 「邂逅相遇」<かいこうそうぐう>です。 「邂逅」と同じで「偶然の出会い」「思いがけず巡り合うこと」という意味となります。
「後にパートナーとなった二人の邂逅の物語です」 「あの小説と思わぬ邂逅を果たしたことで、わたしの人生は大きく変わった」 「ついに二人はリング上で邂逅し、お互いの力をぶつけ合った」 「彼との三十年ぶりの邂逅には運命を感じた」
「邂逅」は悪い意味で用いられることもあります。 偶然に出会った人や物が必ずしも良い出会いなわけではありません。 とある人との出会いによって人生が転落したり、もう二度と会いたくなかった人とばったり会ってしまった時にも使うことができます。
「こんなところであいつと今さら邂逅するなんて」 「この邂逅さえなければ私は今ごろ自由でいられたのに」
とても難しい漢字と意味を持つ「邂逅」ですが、なんと今流行の「アナザーエデン」通称「アナデン」のクエスト名として「邂逅」が使われました。 どうやら、追加キャラクターを仲間にできるクエストなんだとか。 「邂逅」が使われるとは、相当レアだったり強いキャラなのでしょうか。 その邂逅クエストで仲間にできるのは「ガリユ」「シェリーヌ」」「アザミ」だそうです。 個人的には「シェリーヌ」編に出てくる「セティー」がイケメンなので気になりました!(笑) また、同じく大人気ゲーム「艦これ」こと「艦隊これくしょん」では、BGMのタイトルにも使われています! 「艦娘図鑑」の閲覧時に聞くことができるBGMだそうです。 神秘的でキレイな音楽なので作業用BGMとしてもおすすめです!
「邂逅」・・・偶然出会うこと
「巡り合い」・・・巡り合うこと、思いがけず出合うこと
「遭遇」・・・不意に出会うこと
「巡り合い」は、「邂逅」とほぼ同義です。 違う点は、「巡り合い」は話し言葉でも用いられているところです。 文学で使われる場合は「邂逅」と表記すると重みがあるように感じられます。 普段あまり使われない言葉であり、難しい漢字を使っているため「よほど重大な偶然の出会い」といった意味で使われています。
それに対して「遭遇」とは主に悪い意味で使われることが多くなっています。 「遭」という字は「遭う(あう)」という言葉で「会う」などと同じ意味でも用いられますが、「思いがけず悪い事態が自分の身に起こる、嫌な体験をする」といった意味があります。 例えば「事故に遭う」「ひどい目に遭う」などと使います。 そのことから「遭遇」も「敵に遭遇する」「事件と遭遇する」など悪い意味で使われることが多くなっています。
○「巡り合い」を用いた例文 「この本との巡り合いで、僕の人生観は変わった」 「わたしは素敵な人と巡り合い、良い家庭を作りたい」 「必然とも思えるあなたとの巡り合いを大切にしたいと思います」 ○「遭遇」を用いた例文 「わたしの祖父は森へキャンプをしに行った時に、熊と遭遇したらしい」 「最悪の事態に遭遇し、混乱する」 「浮気している最中に彼女と遭遇してしまった\(^o^)/オワタ」
「邂逅」・・・思いがけない出会い 「僥倖」・・・思いがけない幸せ
「僥倖」はぎょうこうと読みます。 「思いがけない幸い、偶然得る幸運」といった意味があります。 「邂逅」と「僥倖」どちらにも「思いがけない、偶然」という意味が含まれています。 しかし、「邂逅」は「思いがけない出会い」なのに対して、「僥倖」は「思いがけない幸せ」となります。
意味:長く別れ別れになっていた人同士がまた会うこと 「15年ぶりに恩師と再会した」 「旅先で話した人と別の異国の地で偶然の再会を果たした」
意味:意志に関わらず、身に巡ってくる吉凶や幸・不幸のこと 「寄り道したカフェで運命的な出会いをした」 「わたしが」
意味:思いがけず行き会うこと、偶然出会うこと 「とんでもない事態に出くわしちゃったよ!」 「こんなところで親と出くわすとは」
意味:不意に出会うこと 「元彼とお店でばったり顔を合わせた」 「大好きな芸能人とばったり出会った」
意味:思いがけず出会うこと、かち合うこと 「サプライズ企画中に本人と鉢合わせるなんて」 「連絡が取れなくなっていた友人と空港で鉢合わせた」
「邂逅」にはっきりとした対義語は存在しません。 「思いがけず会うこと」という意味と反対の意味となる言葉は大きく分けて2つ在ると考えられます。
そういった考察の上、対義語とします。
意味:わざとすること、意識して行うこと 「彼は故意にわたしの通る道に立ちはだかった」 「故意に嘘をついて噂を流すなんて最低だ」
意味:必ずそうなること、それ以外ありえないこと 「家が近いのだから帰り道が一緒なのは必然である」 「彼女との出会いはむしろ必然だった」
意味:別れること、別れ、離れ離れ 「突然の別離に言葉もなかった」 「ついに彼は彼女に別離を告げた」
「邂逅」は「偶然の出会い」なので「coincidental encounter」などと和訳できます。 動詞で「偶然出会う」と言うときは「run into」「run across」を使います。 例文です。
I just ran into John, which has changed the course of my life.
ジョンとの邂逅が私の人生の方向性を変えた。
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「邂逅」について理解できたでしょうか? ✔<かいこう>と読む ✔思いがけずに出会うこと ✔話し言葉ではあまり使われない ✔本来は「后を道でお目にかかる」ほどのめったいにない出会いのこと ✔アナデンのクエスト名にもなっている ビジネスシーンではほとんど使わない言葉かもしれませんが、ここぞ!という時に使うとかっこいいですよね。 難しい言葉や普段使わない言葉など、日本語を学んでいると自分にとって座右の銘になるような言葉と「邂逅」するかもしれませんよ!