「逡巡」という言葉をご存知ですか? 日常的にはあまり使われていない言葉です。 これは「しゅんじゅん」と読み、「葛藤」や「躊躇」と似た意味を持ちます。 今回はそんな「逡巡」の正しい意味と読み方、使い方を例文付きで説明していきます。また、「葛藤」「躊躇」との違いや類語、英語も解説します!
「逡巡」は<しゅんじゅん>と読みます。
意味は「しりごみすること」「決断がつかず、ぐずぐずすること」「ためらうこと」です。 少し悩んだり迷ったりするのではなく、深く考え長いことぐずぐずしている様子を表しています。 なぜそのような意味があるのか、漢字の語源を見ていきましょう。
「逡巡」という漢字について説明します。 「逡」は「しりぞく」という意味の漢字です。 字源は「進む(道を行く)」と「田の神様」の組み合わせで、神を前にして頭を下げ進む様子を表しています。 よって、「退く」という意味になります。 また、「ゆずる」「ためらう」といった意味もあります。 「巡」は「めぐる」という意味の漢字です。 字源は「川」と「進む(道を行く)」の漢字の組み合わせで、川に沿って進む(=定まった道を進むこと)を表しています。 また、「一周して元に戻る」「後方へ下がる」という意味もあります。 この二つを合わせて、「退き元に戻る」という意味になります。 要するに「いつまで経っても進まない=ぐずぐずするさま」となります。 悩んだり迷っている、ぐるぐると回ったり思いを巡らせている様子が想像できます。 ただやることが遅いという意味ではありません。 決断をためらい、退いてしまうことを表す漢字です。
ぐるぐると歩き回るほど悩んでいる様子を表す「逡巡」の使い方を説明します。 主に、動詞の「する」と組み合わせて「逡巡する」「逡巡している」などと使います。 また、「逡巡を見せる」「逡巡だった」などと名詞のまま使う場合もあります。 主に、悩みすぎていたり「優柔不断」であるさまを表します。 何か大きな目的があったり、出さなければいけない答えがある状況のときに、どうすれば良いのか、どれを選択すれば良いのか決められない様子を表しています。 詳しい使い方は下記の例文を参考にしてください。
本来「逡巡の念」という言葉はありません。 しかし、女優の斉藤由貴さんが1993年に川崎麻世さんと不倫報道があった際の記者会見で 「川崎麻世さんを男の人として好きだったという気持ちは否めない。 家庭を持っているというのは知っていたので、逡巡の念と自分の理性との葛藤はありましたけど、モルモン教の信者として自覚のない無責任な行動をとったことに対してモルモン教の除名処分を受けても仕方のない覚悟はしています」 と、語っていました。 これによって「逡巡の念」とはどういう意味だろうか?と調べた人が多くいたのだと思いますが、「ためらう思い」といった意味で使われたと思われます。
「逡巡」のつく四字熟語がいくつかありますので、例文つき紹介していきます。
「狐疑逡巡」の意味は「狐のように疑いためらって決心がつかない様子、思いきりが悪い様子」のことです。
○「狐疑逡巡」を用いた例文 ・「一刻の猶予もならないという時に、狐疑逡巡しているとは言語道断である」
「遅疑逡巡」の意味は「物事の判断が出来ずにぐずぐずと迷い疑うこと」です。
○「遅疑逡巡」を用いた例文
○迅速果断(じんそくかだん) (意味:物事をすばやく決断し実行すること)
○即断即決 (意味:即座に判断し、その場で決めること)
○当機立断(とうきりつだん) (意味:機会をとらえ、素早く決断すること)
▶「逡巡」・・・ ▶「葛藤」・・・ ▶「躊躇」・・・
葛藤の意味は心の中に相反する欲求や勘定が存在し、どれを選択するか迷うことです。 主に、2つ以上の選択肢の中からどれか1つを選ばなければならない時に迷い悩むことです。 「葛(くず)」と「藤(ふじ)」はいずれも蔓(つる)植物であり、2種類の蔓がもつれ合い絡んでいるところを「迷い悩んでいるさま」と比喩表現しています。 「葛藤」は2つ以上の選択肢がある中でどれを選択するか迷うことを表し、「逡巡」は選択肢がない場合でもどうしようかとためらいしりごみすることです。
○「葛藤」を用いた例文
「躊躇」の意味は、「ためらうこと」「心を決めかねてぐずぐずすること」です。 ほとんど、「逡巡」と同じです。 ですが、「躊躇」は「心を決めかねる」といった意味を持ち、どうすればいいのか分かっていますが最後の一歩が踏み出せない様子を表しています。 それに対して、「逡巡」はどうすればいいのかを深く悩んでいる様子を表しています。 「躊躇」は最後の一歩を踏み出すことをためらっている様子を指し、「逡巡」は、深く時間をかけて悩み決断することをためらっている様子を指しています。
○「躊躇」を用いた例文
「逡巡」の類語について、いくつか意味を解説し例文つきで紹介していきます。
(意味:ぐずぐずして物事の決断の鈍いさま) …「優柔」と見るとあたたかいイメージが湧きますが、「気が弱くはきはきしないこと」「決断力がにぶいこと」といった意味もあります。それと「不断=決断できない」が組み合わさり「ぐずぐずして決断出来ない様子」を表した四字熟語です。
・「取引相手があまりに優柔不断で、なかなか結論が出ずに取引中止も考えている」
(意味:思い切りが悪く、ぐずぐずしているさま) …「因循」には「古い習慣や方法に従うばかりで改めないさま」といった意味も持ち「今までのままではだめだと分かっていながらもずるずる続ける」といった意味もあります。
・「いつまでも因循されては困る」
(意味:物事の進むべき方向が定まらず、結論がなかなか出ないこと) …本来交通や台風などが「定まった道や予想される道から大きく外れて進むこと」といった意味があり、比喩的に「方向が定まらず結論が出ないこと」を表すようになりました。
(例文)「いつまでも議論が迷走し、意味のない時間が刻々と過ぎる」
(意味:よく考えること、十分思いを巡らすこと) …「熟考」は良い意味で使われることが多いです。「逡巡」はマイナスなイメージがあるため、大事な決断の際に軽視せずに念を入れてじっくりと考えるさまを表しています。
「熟考した上での行動を心がけています」
次に「逡巡」の対義語をいくつか紹介します。
(意味:意思をはっきりと決めること、判断して決定すること)
・「長いこと逡巡していたが、転職を決断した」
(意味:すぐさまに決断すること)
・「逡巡することなく即決した」
(意味:心を決めること、考えを決めること)
・「逡巡していても仕方がないと、ついに決心した」
(意味:ためらわずに思い切って行うこと、決断力があるさま)
・「私が逡巡していると、先輩が果断な処置をしてくれた」
「逡巡」の英語表現について考えていきましょう。 「ためらう」という英語は「hesitate」を使います。 「逡巡している」=「悩んでいる」というニュアンスならば、
などと表現するのも可能です。
The president is still hesitating about making a final decision.
社長は最終決定を下すことを逡巡している。
I can't make up my mind to go abroad to study.
留学するかどうか逡巡している。
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「逡巡」について理解できたでしょうか? ✔「しゅんじゅん」と読む ✔「決断つかずぐずぐずすること」という意味 ✔「逡巡する」などと使う 普段あまり使われない言葉ですが、様子や気持ちが想像しやすい日本語を使うと相手にもよく伝わりますね。 しっかりと覚えておきたい日本語のひとつです!