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「能動的」「自発的」「積極的」「主体的」の違いと対義語「受動的」の使い方

「能動的」「自発的」「積極的」「主体的」という言葉を使ったことがありますか。「能動的に取り組む」「積極的に発言する」などと言いますが、4つの意味や使い方についてしっかりと理解できているでしょうか。違いはないように思ってしまいますが、実はそれぞれ意味が異なります。何となく使っていると、自分が恥ずかしい思いをしてしまいます。そこで今回は「能動的」「自発的」「積極的」「主体的」の意味と使い方、対義語「受動的」の使い方について解説してきます。各々の例文も紹介しているので、日常会話のなかでも是非使えるようにしておきましょう!

「能動的」「自発的」「積極的」「主体的」の違いまとめ

能動的(のうどうてき)
自分から他へ働きかけるさま。自分の方から他に作用を及ぼすさま。
自発的(じはつてき)
他からの働きかけがなくても、自然と物事を自分から進んでするさま。
積極的(せっきょくてき)
他からの働きかけに関係なく、進んで物事を行ったり、他に働きかけたりするさま。
主体的(しゅたいてき)
様々な状況下においても、自分の意志や判断に基づいて行動するさま。

「能動的(のうどうてき)」の意味は、他者から強制されることなく、自分から働きかけることです。 「能動的」の対義語は「受動的」です。 「自発的(じはつてき)」の意味は、他からの働きかけがなくても自然とするさまです。 「自ら行う」という意味では「能動的」と共通していますが、「自発」には自分から他者に働きかけるという意味はありません。 「自発的」の対義語はありません。 「積極的(せっきょくてき)」の意味は、、他からの働きかけに関係なく進んで物事を行うことです。 「積極的」は意味が広く、自分で進んで物事を行うことを表す他に、他者へ働きかけることも表すことができます。 つまり、「積極的」には「能動的」と「自発的」の意味が含まれています。 「積極的」の対義語は「消極的」です。 「主体的(しゅたいてき)」の意味は、様々な状況においても他者に強制されたりするのではなく自分の意志や判断で行動することです。 「主体的」にも他者に働きかけるという意味はありません。 「主体的」の対義語もありません。

「能動的」の意味と使い方と例文

「能動的」は「のうどうてき」と読みます。 「能動的」の意味は「自ら働きかけるさま・自分の方から他に作用を及ぼすさま」です。 「能動」は「自己の作用を他に及ぼすこと。はたらきかけ」を意味します。 「能動的」は、他者から強制されることなく、自分から働きかけることを表します。 また、自分のために行動するのではなく、他人に呼びかけたり、何かを訴えることで、新しい繋がりを生み出していくような働きかけるのも「能動的」です。 例えば「能動的な行為」とした場合は、「自分から他へ働きかける行為」を表します。 自分の考えなどをブログに書き込んで、他者に働きかけることなどが「能動的な行為」にあたります。 「能動的」はあくまでも”自分から”ということを表しているので、「友達からの誘いを能動的に受ける」などとは言うことができません。この場合、自分から友達を誘うのが「能動的」です。 「能動的」は、「能動的学習」「能動的行動」「能動的恐怖」のように、複合語としても使われます。 「能動的」の対義語は「受動的」です。

例文

  • 彼は元気ハツラツで能動的な人である。
  • 企業の多くは能動的な人材が必要であると考えている。
  • 仕事を順調に片付けていくためにも、能動的に行動する。
  • 能動的に地域のボランティア活動に参加する。
  • 彼女は能動的に外国人留学生との交流を図っている。
  • 能動的に世の中と関わっていく。
  • 能動的になるためには、まず行動に移すことが大切だ。
  • 彼は能動的でリーダーに向いている人物である。

「自発的」の意味と使い方と例文

「自発的」は「じはつてき」と読みます。 「自発的」の意味は「自分から進んでするさま」です。 「自発」は「自ら進んで行うこと」を意味します。 「自発的」は、物事を進んで行うさま、他からの働きかけがなくても自然とするさまを表します。 ”他からの働きかけがなくても、自分から進んで行う”という意味合いが強いのが「自発的」です。 例えば、「自発的に勉強する」といった場合は「他からの働きかけがなくても、自分から進んで勉強する」という意味になります。 よく「自発的な人」とも言いますが、これは”他者からの働きかけや干渉がなくても、自分の意思によって行動を起こせることができる人”を表しています。 「自発的」も「自発的行動」「自発的避難」のように複合語としも使うことができます。 「能動的」と似た意味を持ちますが、「自発的」には「自ら他者に働きかける」という意味はありません。 「自発的」の対義語は「強制的(きょうせいてき)」だと思われがちですが、「強制」の対義語が「任意(にんい)」であることを考えると「自発的」の対義語としては適当ではありません。

例文

  • 会議中は自発的に発言するように意識している。
  • 地域の運動会に自発的に参加する。
  • まだ教わっていない箇所については、自発的に学習するようにしている。
  • 今日は思い切って自発的に意見を述べた。
  • 自発的な行動は素晴らしいことである。
  • 彼は自発的に被災地に大金を寄付した。
  • 報酬を受けることなく、自発的に何かを助けたり活動を行ったりする。
  • 彼女の息子は自発的に家の手伝いをする。

「積極的」の意味と使い方と例文

「積極的」は「せっきょくてき」と読みます。 「積極的」の意味は「物事を進んでしようとするさま・進んで働きかけるさまです。 「積極」は「対象に対して進んで働きかけること。意欲的に行動すること」を意味します。 「積極的」は、他からの働きかけに関係なく、進んで物事を行ったり、他に働きかけたりすることを表します。 「積極的」は自分から進んで行う場合、他からの働きかけに応じて行動する場合、他へ働きかける場合のどの場合でも使うことができます。 例えば、「積極的に発言する」といった場合は「自分から進んで発言する」という意味になります。 また、「積極的」も「積極的学習」「積極的治療」のように複合語でも使うことができます。 「積極的」と「自発的」の意味は似ていますが、「自発的」よりも「自分から進んで行う」という意味が弱いという違いがあります。 「積極的」の反対語は「消極的」です。 「消極的」は「進んで事をしないこと。控え目」を意味します。 「積極的」は英語で「ポジティブ」です。

例文

  • 集会には積極的に参加するようにしている。
  • 思ったことを積極的に述べる。
  • 彼女は積極的に学級委員長に立候補した。
  • 難題に積極的に取り組んでみる。
  • あの人はとても積極的で勇敢な人物である。
  • この建物は防災対策に積極的に取り組んでいる。
  • 彼女は積極的に男性にアピールしている。
  • 必ず成功すると願って、積極的に物事を行う。
  • 発言の内容というよりも、積極的に発言しようとする姿勢を重視しています。

「主体的」の意味と使い方と例文

「主体的」は「しゅたいてき」と読みます。 「主体的」の意味は「ある活動や思考などをなす時、その主体となって働きかけるさま。他のものによって導かれるのではなく、自己の純粋な立場において行うさま」です。 「主体」は「自覚や意志に基づいて行動したり作用を他に及ぼしたりするもの」を意味します。 「主体」は、様々な状況においても他者に強制されたりするのではなく自分の意志や判断で行動することを表します。 例えば「主体性」は何を行うか決まっていない状況でも何をするべきなのかを自分で考えて、判断して行動するということになります。 「主体的に行動する」といった場合は「やるべき事をやるだけではなく、状況を見ながら自らの意思で判断し、行動する」という意味になります。 「主体的」も「主体的判断」「主体的外交」のように複合語として使うことができます。 「主体的」には「積極的」と「能動的」とはちがい「働きかける」という意味合いはありません。 「主体的」の対義語はありません。

例文

  • 言われたことだけをやるのではなく、もっと主体的に行動しないと!
  • 社長が社員の主体的な試みを促した。
  • 自分のためにも、もう少し主体的な行動をする。
  • 主体的な生徒を育てることを目的とする。
  • 青少年が主体的な役割を果たしていける社会を目指していく。
  • 主体的な努力をすることによって、成長することができた。
  • 主体的に考える力を身につけられるように意識する。
  • 難しい問題に主体的に取り組む。

「能動的」の対義語は「受動的」

「受動的」は「じゅどうてき」と読みます。 「受動的」の意味は「他から働きかけられて行動するさま」です。 「受動」は「他からの働きかけを受けること。受身」を意味します。 「能動的」は、自分から積極的に動くのではなく、他人の働きかけによって行動することを表します。 「能動的」が”自分から他へ”という方向性を表すのに対して、「受動的」は”他から自分へ”という方向性にを表します。 例えば、友達と映画を見にいくとします。しかし、お互い見たい映画が違っていたため、「絶対にこっちが見たい」と主張する友達につられて、結局自分が見たかった映画とは異なる映画を見たとします。 この場合、自分で言い出してその通りになったので、友達の行動は「能動的」になります。 一方で、自らの意思ではなく友達の意見を受けたので、自分の行動は「受動的」になります。

例文

  • 人に合わせがちな受動的な性格を直さなければ。
  • 受動的な考えではこのプロジェクトは成功しない。
  • 受動的な人よりも、能動的な人の方が印象が良いだろう。
  • この件に関して当社はあくまでも受動的な立場であり、指示に従うだけです。
  • こちらとしてはしばらくの間、受動的な姿勢を貫くしか方法がない。

まとめ

「能動的」「自発的」「積極的」「主体的」の違いについて理解できたでしょうか? 4つとも非常に似ていますが、それぞれ意味や使い方が異なります。 「能動的」「自発的」「積極的」「主体的」の違いをしっかりと理解して、上手く使いこなせるようにしましょう!

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