「邁進(まいしん)」の意味は、恐れることなく突き進むことです。目的などに向かって突き進む様子を表し、仕事をしていく上でのモットーとしてよく使われます。「精進(しょうじん)」の意味は、一生懸命に努力することです。目的に向かい、ひとつのことに精神を集中させて励むことを表します。
これまで「邁進」と「精進」について説明してきてました。 同じ「進」という字が入っているので混同しやすいですが、「邁進」と「精進」の違いはわかりましたか? 「邁進」は「恐れることなく突き進むこと」 「精進」は「一生懸命に努力すること」 どちらもポジティブな言葉で目標に向かう様子は伝わりますが、大きな違いは「邁進」は「突き進むこと」、「精進」は「努力すること」に重点を置いているということです。 「邁進」も「精進」もビジネスシーンにおける仕事への姿勢や、夢に向かう姿勢について使われています。 また一緒に「精進し邁進していきます」などと使われることもあります。
「邁進」の<まいしん>と読みます。 「まんしん」と読むのは間違いです。 意味は、「何事をも恐れることなく前進すること」です。 「邁」は「ゆく、進む」といった意味を持つ漢字です。 「進」もみんなが知っている通り「進む」といった意味です。 その「邁」と「進」が組み合わさり「進む」という意味が強調される熟語となりました。
「邁進」は目的などに向かって突き進む様子を表す言葉です。 前向きな言葉として使われています。 傲慢に突き進む様子ではなく、一生懸命に目的に向かって励んでいる様子です。 「邁進」を用いる四字熟語に「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」があります。 意味は「恐れることなく自分の目的や目標に向かい勇んで前進すること」です。 仕事上や夢に向かう時のモットーとして使われることが多くあります。 また、「邁進」はビジネスシーンや厳粛な場面でのスピーチや挨拶などでも使うことの出来る言葉です。 「みなさまのご期待に添えるよう邁進して参ります」などはスピーチにおける常套句です。 「邁進」は主に「邁進する」と使います。 ほとんど名詞のままでは使われません。 詳しい使い方は例文を参考にしてください。
○「邁進」を用いた例文 「父の希望に添いながら、自分の目的に向かって邁進する」 「彼はどんなにへこむことがあっても、夢への道を邁進している」 「課長によるフォローで、部下たちは安心して業務に邁進することができた」 「私はひたすら任務を遂行するために邁進しました」 「ついに新プロジェクト立ち上げへと邁進することができる」 「彼女は何にも動揺せずに勇往邁進していた」
ビジネスシーンや厳粛な場面でも使える例文もいくつか紹介します。
○「邁進」を用いたビジネスシーンや厳粛な場面での例文 「今後も皆様のご期待に添えるよう邁進して参ります」 「これからも社業発展のため社員一丸となって邁進して参る所存でございます」 「心機一転新たな決意を持ってサービス向上に邁進して参ります」 「今後とも、会社に尽力し、さらに邁進して参る所存でございます」
○驀進(ばくしん) 意味:まっしぐらに進むこと、勢いよく進むこと …「驀(ばく)」という字に「まっしぐらに進む」といった意味があります。漢字は「暮」という字の下の「日」を「馬」にして書きます。 (例文)「馬がゴールに向かって驀進している」 ○突進 意味:目標に向かってまっしぐらに突き進むこと、一気に進むこと …タックルするイメージがある言葉ですが、目標を目指して行動することも意味する言葉です。 (例文)「あらゆる障害を乗り越えて目標に向かって突進する」 ○猪突猛進(ちょとつもうしん) 意味:(イノシシの突進する様子に喩えて)目標に対して向こう見ずに突き進むこと ○前進 意味:前へと進むこと、物事が良い方向へと動くこと ○一目散 意味:脇目も振らずに駆けるさま
「精進」は<しょうじん>と読みます。 意味は、「一生懸命に努力すること」です。 目的に向かい、ひとつのことに精神を集中させて励むことです。 「精進」には他に、仏教における言葉として3つの意味があります。 ①「ひたすら仏道修行に励むこと」 ②「(①の意味が転じて)心身を浄め行いを慎むこと」 ③「肉食せずに菜食すること」 「精進料理」とは意味③で野菜だけを食べる料理のことです。 そして「精進落とし」とは、葬儀にまつわる料理のひとつです。 遺族が葬儀で用意し、法要の後にふるまわれるものが「精進落とし」です。
「精進」はがむしゃらに集中して取り組む様子を表す言葉です。 ただ目的に向かって進むだけでなく、目的に向かうその過程でも集中してひたむきに取り組むことを表します。 「精進」もビジネスシーンや厳粛な場面でよく使われている言葉です。 謝罪文や感謝の文章などでよく使われています。 また、スピーチや挨拶でも使われる言葉です。 日常的な「精進」の例文とあわせてビジネスシーンにおける「精進」を用いた例文もいくつか紹介します。
○「精進」を用いた日常的に使われる例文 「彼はこの会社をやめた後もこの業界で精進しているようだ」 「縦社会には馴染めなかったが、芸術の道に精進し日々生活している」 「新プロジェクトへ向けて、まずは知識をつけようと日々精進している」 「まだまだ駆け出しだが、この世界で精進していきたい」 「つべこべ言わずに、一度は与えられた仕事に精進してみろ」
○「精進」を用いたビジネスシーンで使われる例文 「今後はこのようなことがないよう、日々精進して参る所存です」 「これからはお役に立てるよう一層の精進を重ね、仕事に邁進して参ります」 「今後もこれまで以上に皆様方のご期待に沿えるようスタッフ一同さらに精進いたす所存でございます」 「一日でも早く戦力となれるよう日々精進してまいります」 「本年もより一層仕事に精進して参ります」
○努力 意味:目標実現のために力を尽くすこと …目標のために、心も体も使って励むことを表します。 「精進する」「努力する」とは同義になります。 (例文)「私は夢に向かって努力する」 ○懸命 意味:ある限りの力を出し尽くして頑張ること …「懸命」は「懸命に」「懸命な」「懸命である」と使い「懸命する」とは使いません。 また、ほとんどが「一生懸命」と使われています。 (例文)「彼女はいつでも仕事に対して懸命である」 「今は一生懸命に努力するしかないのだ」 ○熱中 意味:物事に心を集中すること ○奮励(ふんれい) 意味:気力をふるい起こして、一心に努めはげむこと ○尽力(じんりょく) 意味:力を尽くすこと
「邁進(まいしん)」と「精進(しょうじん)」は、どちらも物事を一生懸命に取り組むというときに使う表現です。 「邁進」は、目的に向かって勢いよく進んでいくことを表し、進んでいくことに重きを置いて使われる言葉で、「精進」は、目的を達成するために懸命に努力する姿勢に重きを置いて使われる言葉です。