「今度の劇は大団円(だいだんえん)を迎える」などと聞いたことがあるでしょうか?主に小説や演劇の世界で「大団円」はよく使われている言葉です。今回は「大団円」の意味と使い方、語源を例文つきで詳しく解説していきます。
「大団円」は「だいだんえん」と読みます。 「大(だい)」と「団円(だんえん)」が組み合わさった三字熟語です。 旧字では「大團圓」と書きます。
「大団円(だいだんえん)」は「小説・演劇などの終わりの場面」を意味します。 原則的に「すべてがめでたく解決する結末」を指します。物語の悲しい結末に対しては「大団円」は使うことはありません。 もとは演劇用語ですが、転じて日常会話では「物事の最終段階」また「全てがうまくおさまる結末」という意味で使います。 この意でもポジティブな意味で使います。 「大団円(だいだんえん)」の「団円」が転倒した「大円団(だいえんだん)」は間違いなので注意しましょう。
「大団円(だいだんえん)」の語源は「団円」の意味にあります。 「団円(だんえん)」の意味は「丸いこと」です。 転じて「円満であること。人々の仲がよいこと」という意味が生まれました。 劇の結末は円満に解決するのが通例であることから、「団円」は演劇用語として「演劇の最後の幕」という意味を持つようになりました。 また転じて、「まるくおさまる。うまく集結する」という意味になりました。 「大」は「団円」を強調する語で、「すべてがおさまる。完全に解決する」という意味になりました。
上述した通り、「大団円」は演劇用語ですが、日常会話でも使うことができます。 小説や劇だけでなく、仕事や恋愛、事件など幅広く使うことができます。 「大団円を迎える」の形で最も多く使います。 「大団円を迎える」は「すべてのことが具合よく解決する」という意味です。
などの形で使います。
たしかに「大団円」は単に「最終場面」という意味で使うことはあるものの、すべてが円満に解決する結末のみを指します。 よって、☓「事件は未解決のまま、悲劇的な大団円を迎えた」などと使うことはできません。 ちなみに「悲劇的結末」は「カタストロフィー」といいます。 逆に、☓「嬉しい大団円を迎える」などとするのは重言(二重敬語)にあたり不適切です。 「大団円」の前にポジティブな意味の言葉を付ける必要はありません。
「大団円」は本当にすべてが解決し、終わる場面でのみ使うことができます。 強調語「大」が付いており、「大団円」は「完結」を意味します。 「to be continued(つづく)」があるような物語に対しては「大団円」を使うのは不自然です。 また、事件解決などに対しても一定の懸念が残る場合は「大団円」を使うことはできません。
「劇などの終り」という意味の「大団円」は英語で、
などと言います。 中でも「climax」が一番よく使われる単語です。
などと表現します。 「climax」は劇・小説だけではなく、様々な一貫した行動・事象の終焉を表す単語として幅広く使用されます。
The election campaign reaches its climax next week.
来週で選挙は大団円を迎える。
「丸く収まる」というニュアンスの「大団円」は英語では、
などになります。
I had no idea what was going to happen at the time, but things worked out.
一時はどうなるかと思ったが、物事は丸く収まった。