「当該」と「該当」という言葉をご存知でしょうか。「当該商品は」「該当する人」といったように使います。では、それぞれの意味についてしっかりと理解しているでしょうか。どちらもビジネスシーンにおいて見聞きすることがある言葉です。よく使われている言葉ですが、違いについて説明できる人は少ないのではないでしょうか。この二つの言葉は同じ漢字が使われているということもあって、区別するのが難しいですよね。正しく使うためには、意味についてきちんと知っておくことが必要です。そこで今回は「当該」と「該当」の使い分けについて解説していきます。適切に覚えて、上手く使い分けできるようにしましょう!
「当該」と「該当」は同じ漢字を並び替えた熟語ですが、意味と使い方に違いがあります。 「当該」には2つの意味があります。 1つ目は「その事柄に関すること」です。「当該(の)」は「その」のかしこまった表現といえます。「当該」は主にこの意味で使います。 例えば「当該事件の関係者は皆亡くなってしまった」「当該の住所は実際には存在しない」などと使います。 2つ目は「そのことにあたること。その受け持ち」つまり「自分(たち)の仕事として引き受けて扱うこと」を意味する語です。 例えば「〜の取り扱いに関しては、当該官庁の指示に従うこと」などといいます。「当該官庁」とは担当している官庁という意味です。 「該当」の意味は「その条件・事例・資格などにあてはまること」です。「適合する」「ぴったりあてはまる」というニュアンスです。 例えば、「該当する項目に印を付ける」「該当者は挙手してください」などと使います。 上述の通り、まず「当該」と「該当」は微妙に意味が違います。 ちなみに、漢字「当」と「該」は同義語で、どちらも「その。この」と「あたる。あてはまる」の2つの意味を持ちます。 「当該」の1つ目の意味の場合は、「当」も「該」も「その。この」という意味です。 「当該」の2つ目の意味の場合は、「当」は「その。この」で、「該」は「あたる。あてはまる」という意味です。 「該当」の場合は、「該」が「その。この」で、「当」が「あたる。あてはまる」という意味です。 使い方の違いですが、「当該」は連体詞として名詞の頭に置いて使うのに対して、「該当」は連体詞だけでなく動詞としても使います。 連体詞とは、名詞を修飾して詳しく説明する語のことをいいます。 例えば、「当該」は「当該商品」または「当該の商品」と使いますが、「当該する商品」と使うことはできません。 一方、「該当」は「該当商品」と「該当する商品」のどちらの形でも使うことができます。
「当該」は<とうがい>と読みます。 「当」は音読みで「トウ」訓読みで「あたる・まさに〜べし」、「該」は音読みで「ガイ」と読みます。
「当該」の意味は「話題となっている事柄に関すること、ある物事の担当であること」です。 今現在、話の中心となっている事柄に直接関係していることを表します。 「当該」は、話題に上がっている事柄を表す語です。 「それに当たる」「その事柄に何かしらつながりがある」といったニュアンスが含まれます。簡単に表すと「当該」=「その、この、前述の」となります。
「当該」は「当該+名詞」という形で、連体詞として用います。 また、助詞「の」を伴って、「当該の◯◯」という形で使うこともあります。 「その◯◯」でも意味は通じますが、「当該」を使うことで丁寧に表現することができます。 ビジネスシーンなどかしこまった場面で使われることが多く、宮内庁が発表する文書でも用いられています。 「当該」はいきなり使うことは出来ません。 まず、何か物事について述べている文章が既にあった上で「その内容に関係すること」や「その内容の中で話題となっている対象」を指す場合に使います。 例えば「A選手に来季契約を結ばないことなりました。当該選手については...」といったように、ここでいう「当該選手」は「A選手」のことになり、既に前で述べたことに対して用います。 ビジネスメールで言えば、例えばお客さんから商品に欠陥があったという連絡があったとします。 最初のメールでは「お買い上げいただいた商品に不具合があり....」とします。 次のメールでは商品に欠陥があったことを把握しているため、「当該商品については...」と「当該」を用いることができます。 「欠陥のあったお買い上げいただいた商品」よりも「当該商品」とした方が簡潔で理解しやすいです。 ひとつ注意するべき点としては「当該」はあまり話し言葉では使われません。 主に書面で使われています。 会話で使うとやや堅苦しくなりますので、「その」や「例の」などと使うようにしましょう。 「当該」の言い回しは
などが主に使われています。 ただ「当該」は名詞を伴って使うので、使い方は数多くあります。
○「当該」を用いた例文
その (意味:話題になったばかりの事柄を表す) 「その話は終わりにして違うことをしよう」 例の (意味:前に述べた、判断の元になる事柄) 「例の任務を誰かに頼まないといけない」 件の(くだりの) (意味:以前述べた事柄) 「件の話で彼に相談したことがある」 関連する (意味:ある物事と別の物事に何かしらのつながりがあること) 「そのことに関連している」 関する (意味:関わりがあること) 「彼に関する話をする」 関係する (意味:複数の物事が関わっていること) 「君にも関係する話だからよく聞いてね」 まつわる (意味:ある物事に関わっていること) 「今日は妖怪にまつわる伝説を話してあげる」 関わる (意味:ある事柄につながりがあること) 「将来に関わることだからしっかりと聞く」 連なる(つらなる) (意味:関わりが及んでいること) 「今後の経営に連なる問題だからきちんと解決する」 相当する (意味:ある物事に適していること) 「彼は才能相当する立場についている」
「該当」は<がいとう>と読みます。 「該」は音読みで「ガイ」、「当」は音読みで「トウ」訓読みで「あたる・まさに〜べし」と読みます。
「該当」の意味は「事柄の一定の条件・資格・ケースに当てはまること」です。 大体の範囲ではなくて、特定する範囲が決まっていてそれを的確に示すことを表しています。 「該当」は物事を決めるときに、前提となる事柄に合うことを表す語です。 前提となっている事柄はある特定のものではなくて、複数であることが多いです。「該当」は簡単に表すと、「ぴったり、一致する」となります。
「該当」は「該当する◯◯」という形で、動詞として用います。 「該当する人」「該当する場合」など、と使います。 また「該当者」という言葉があるように「該当+名詞」と連体詞で用いることもあります。 例えば、「プリントを持ってくるのを忘れた人のために、新しく刷って来ます。該当者は手をあげてください」と言われた場合、「該当者」は「プリントを持ってくるのを忘れたことに該当する人」のことを表します。 その他にも「該当事件」「該当事業」「該当製品」などといった言葉がよく使われています。 「該当」は、ある物事の何らかの条件やケースにぴったり合っていることを表す場合に使います。「該当」の前の文では、条件や物事の状態などを述べます。 そのため、ある特定の条件に合わない場合は「該当しない」という表現を用います。 「該当しない人」「該当しない場合」、などと使います。
例文
当てはまる (意味:物事にしっかりと合っていること) 「条件に当てはまっているから参加できる」 一致(いっち) (意味:複数のものがぴったりと合うこと) 「全員の答えが一致した」 適合(てきごう) (意味:物事の条件や事例に合っていること) 「環境に適合したサービスを提供する」 適応(てきおう) (意味:その状況や条件にぴったりと合っていること) 「状況に適応した手段をとる」 順応(じゅんおう) (意味:状態によって言動をそれに合わせること) 「新しい環境に順応するようにしたい」 即応(そくおう) (意味:状態に応じて適切な行動をすること) 「困難な事態に即応できるようになりたい」 条件を満たす (意味:ある物事の要件に合っていること) 「条件を満たしていないとそれはできない」 噛み合う (意味:違う事柄のものが、合って順調に進むこと) 「内容が噛み合ってよかった」