「恫喝」という言葉をご存知でしょうか。「恫喝を加える」「恫喝によるトラブル」などとニュースなどでも聞くことが多い言葉ですが、具体的にどのようなことを意味しているかについては知らない方も多いと思います。また、似た言葉に「恐喝」や「脅迫」などがありますが、違いは何か、罪に当てはまるのか、疑問を感じますよね。そこで今回は「恫喝」の意味と使い方、類語「脅迫・恐喝」との違い、「恫喝」に関する法律について解説します。「恫喝」を正しく理解して、言葉の知識を深めましょう!
「恫喝」は<どうかつ>と読みます。 「胴」「銅」「洞」などと「恫喝」の「恫」に似た漢字が多くありますが、意味が全く異なるので間違えないように注意しましょう。 「恫」は音読みだと「ドウ」「トウ」、訓読みだと「いたむ」「おどす」と読みます。 「恫」は「心がいたむ・おどす」を意味します。 「喝」は音読みで「カツ」と読みます。 「喝」は「おどす」を意味します。 「恫」は「危険を感じさせる」、「喝」は「大きな声で相手を怯えさせる」という意味になります。 「恫喝」の意味は「おどして恐れさせること」です。 不安になるようなことを言ったり怒鳴るなどして相手を脅し、怯えさせることを表します。
”不安になるようなことを言う、危険を感じ取らせて怯えさす”といった行動を「恫喝行為」と言います。 「恫喝」は刃物による脅しではなく、声・言葉による脅しの場合に使います。 「恫喝行為」の中でも多いのが、”怒鳴りつけること”になります。 怒声や罵倒など、厳しい言葉により相手を怯えさせることです。 例えば、仕事でミスをしてしまったときに「お前なんか、すぐに辞めさせられるんだよ!」などと怒鳴ったりするようなことは「恫喝」に当てはまります。 他にも、親が子供に向かって「片付けしないなら、おもちゃ捨てるからね!」「宿題やらないなら、外に出すよ!」などもある意味「恫喝」になります。 「金を出せ」と刃物を持って脅した場合は「恫喝」ではなく、「脅し」となります。
例文
「脅迫」は<きょうはく>と読みます。 「脅迫」の意味は、
となります。 例えば、「本当のことを言わないと、お前の親を殺すぞ」といったように、他人にある事を行わせようとして、生命や名誉などを害するとおどしつけることを「脅迫」と言います。 「脅迫」は、相手にある行動をさせるために脅すことを表します。 一方で、「恫喝」は相手に何かをさせる目的の有無を問わずに言葉で脅すことを表します。 ですので、ただの恫喝ではなく、”相手にある行動をさせるために恫喝”をすると「脅迫」となります。
例文
「恐喝」は<きょうかつ>と読みます。 「恐喝」の意味は「おどしつけること。おどして金品をゆすり取ること」です。 言葉に限らず、弱みにつけこみ、脅し勝てないと思わせて金品をゆすり取る様子を表します。 「恐喝」は「強い者の言葉におそれる」という意味で、「もしかしたら殺されるかもしれない....」といった恐れ方を指しています。 「恫喝」は「不安になるようなことを言って怯えさせる」、 「恐喝」は「相手の弱みなどにつけこみ脅すこと。おどして金品をゆすりとること」となります。 「恐喝」は「恫喝」と違い、”相手の弱みを握っている”という意味合いが含まれます。
例文
威喝 (意味:怒鳴ったりして、人を脅すこと) 「うるさい子を威喝する」 脅し (意味:相手を恐れさせる。脅迫する) 「鋭利な刃物をちらつかせて脅しをかける」 威嚇 (意味:威力をもっておどすこと) 「相手を威嚇して、なんとか了承を得た」 脅嚇 (意味:おどしつけて恐れさせること) 「不審者を脅嚇する」 威迫 (意味:威力を示して相手を脅し従わせようとすること) 「威迫して、金を巻き取る」 脅威 (意味:強い力や勢いでおびやかすこと。また、おびやかされて感じる恐ろしさ) 「地球温暖化は人類にとっての脅威である」 ゆすり取る (意味:人をおどして金品を強引に取る) 「変な男に金をゆすり取られる」 たかる (意味:人に金品をせびる。また、おどして奪い取る) 「人相の悪いグループにたかられる」
実は、「恫喝」は法律に触れる行為ではありません。 不安にさせるようなことを言って、怯えさせるだけでは何の犯罪にもならないのです。 「あいつ、人のことをめちゃくちゃに怒鳴りつけやがって、訴えてやる」と思っても、法的に対処することはできません。 ただ、「恫喝」は”パワハラ”に当たります。 ”パワハラ”とは職場などで、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、相手に精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為のことです。 パワハラは犯罪ではありません。法律で明確にパワハラは禁止されてはいないのです。 「恫喝」自体は法律に触れる行為ではありませんが、相手の受け止め方によっては犯罪行為として扱われます。そこで「恫喝」に関する犯罪を紹介します。
”脅迫罪”は、相手方やその親族の生命・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知して脅迫する罪です。 「脅迫」は相手にあることをさせようと、脅しつけることを表します。 まだ実際には何も危害を与えられてはいないが、要求を聞かないとひどい目に合うよと脅すことが「脅迫」に当たります。 また、「脅迫罪」で保護される被害者は本人に限らず、本人の親族も含まれますが、親友や恋人といった他人は含まれません。 このように、対象となる人物は脅迫を受けた本人か親族のみになります。そのため、「お前の恋人を殺す」などは脅迫罪には当たりませんが、恋人に対する脅迫罪が成立する可能性があります。 脅迫罪は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。
”恐喝罪”は他人を畏怖させて、財物を交付させ、または財産上不法の利益を得、もしくは第三者にこれを得させる罪です。 「恐喝」は弱みにつけこみ、脅し勝てないと思わせて金品をゆすり取ることを表します。 相手に対して大きな声などで脅して、金品を巻き上げる行為が「恐喝」です。 「殴られたくなかったら金を出せ」と言って、相手に金を払わせたというような行為は、典型的な恐喝に当たります。 恐喝罪は、10年以下の懲役に処せられます。罰金刑はありません。 相手が自分の要求に応じない場合に、恐喝する手段として、言葉だけでなく、暴行が行われた場合は恐喝罪ではなく、”強盗罪”となります。
”強要罪”は、相手方やその親族の生命・自由・名誉・財産に対して害を与える旨を告知して脅迫し、または暴行によって他人に義務のないことを行わせ、もしくは他人の権利行使を妨害する罪です。 「強要」とは、無理じいに要求することを表します。 強要罪は、脅迫したうえでさらに義務のないことを行わせた場合に成立します。例えば、相手に土下座を無理に求める行為・無理やり相手の腕を掴んで押印をさせる行為などは強要罪に当たります。 強要罪は、3年以下の懲役に処せられます。
”侮辱(ぶじょく)罪”は具体的事実を示さずに、公然と他人を侮辱する罪です。 「侮辱」とは相手を軽んじ、はずかしめること・見下して、名誉などを傷つけることを表します。 侮辱罪は、”公然と”侮辱が行う際に成立して、相手と面と向かって言う分には該当しません。 ですので、多数の第三者が聞いているような場所で多くの人たちに聞こえるような声で言った場合に「侮辱罪」が成立します。 侮辱罪はかなり軽く、罰金も懲役もありません。「科料・拘留」という罰になります。 科料は千円以上一万円未満の金額の没収、拘留は1日以上30日未満刑務所に収監されます。
「恫喝」の英語に一番近い英語は「threat」になります。 動詞「恫喝する」は「threaten」になります。 「threaten」は漠然と「脅す」というニュアンスです。 「intimidate」という単語は、「脅すことで相手の言動に制約をかける」というニュアンスになります。 「恫喝する」はこちらの単語の方がニュアンスが近いかもしれません。 受け身の形「be intimidated into ...ing」で「...するように恫喝される」というニュアンスになります。
I was intimidated into working late every day by the threat of my boss.
私は上司に毎日残業するように恫喝されていた。
科学的に正しい英語勉強法
こちらの本では、日本人が陥りがちな効果の薄い勉強方法を指摘し、科学的に正しい英語の学習方法を紹介しています。読んだらすぐ実践できるおすすめ書籍です。短期間で英語を会得したい人は一度は読んでおくべき本です!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
職場で英語が必須な方や海外留学を検討している方など、本気で英語を学びたい人にオススメの英会話教室、オンライン英会話、英語学習アプリを厳選した記事を書きました!興味のある方はぜひご覧ください。
「恫喝」について理解できたでしょうか? ✔︎「恫喝」は<どうかつ>と読む ✔︎「恫喝」は不安になるようなことを言って脅して、怯えさせるさまを表す ✔︎ 相手にある行動をさせるために”恫喝”する行為は、「脅迫」となる ✔︎「恫喝」の類語には、「威喝」「脅し」「たかる」などがある