「ご厚情」という言葉をご存知でしょうか。「ご厚情を賜る」「ご厚情をいただき」などと聞いたことがあると思います。「ご厚情」はフォーマルな場面で使うことが多い表現です。ただ「ご厚情」は使い方を間違ってしまうと、相手に不快感を与えてしまうため使用する際は気をつける必要があります。そこで今回は「ご厚情」の意味や使い方、使用上の注意点について解説していきます。
「ご厚情」は<ごこうじょう>と読みます。
「厚情」の意味は、「厚いなさけ」「心からの深い思いやりの気持ち」となります。 「ご厚情」は「厚情」に尊敬を表す接頭語「ご」を付けた表現です。 「ご厚情」は「目上の相手が深いなさけや思いやりを持っていること」を表します。 「ご厚情」は、相手に大事にしてもらった、親切にしてもらったことを示しています。
「ご厚情」という言葉は堅い表現なので、日常生活ではほとんど使わないですよね。 「ご厚情」は基本的にビジネスシーンで目上の人の思いやりに感謝するときに使う言葉です。 ビジネスシーンにおける歓送迎会、送別会、納会、宴会など行事や年賀状、暑中お見舞い状などの挨拶以外にも、結婚式や就任セレモニー、祝賀会、葬儀など式典で使うこともあります。
「賜る」は「もらう」の謙譲語です。 「ご厚情賜る」といった場合は「相手のなさけや思いやりを受ける」という意味になります。 「ご厚情を賜る」は日常会話ではそんなに使いませんが、手紙やスピーチなど改まった場面で使うことが多いです。 「ご厚情を賜る」は「日頃から格別のご厚情を賜り〜」といったように、年賀状やお礼状でよく使われます。主に感謝の気持ちを述べるときに使います。
例文
「賜物(たまもの)」は、
を意味します。 よく「努力の賜物」というように、良い結果・良いものを表します。 「ご厚情の賜物」といった場合は、「相手の親切心のおかげで現れたもの」という意味になります。 例えば「皆様のご厚情の賜物で◯◯」といったように使い、主に感謝を述べるときに使います。
例文
「一方ならぬ」は<ひとかたならぬ>と読み、「普通ではない」「並ひととおりではない」ことを意味します。 「一方ならぬご厚情」といった場合は「並ひととおりではないご厚情」という意味になります。 「一方ならぬご厚情」は年賀状やお礼状などで使うことが多いです。また、退職の挨拶にも使うことがあります。退職の挨拶は、主に在職中のお礼の言葉を伝えます。 「一方ならぬ」は古めかしく、少々堅い表現なので、改まったメールや手紙でしか使いません。
例文
「痛み入る」には
という意味があります。 基本的に「相手の親切・好意に恐縮する」といった意味で使います。 「痛み入ります」は、他人からの好意や親切に感謝しつつも、自分には(その親切が)もったいないと思い、胸が痛くなるほど申し訳なくなるということを表しています。 「痛み入ります」は目上の相手に対しての敬語として使われる言葉で、「謝罪」の気持ちではなく、あくまでも「感謝」の気持ちを表します。 「ご厚情に痛み入る」は相手のなさけに感謝しつつも、自分にはもったいないと感じ恐縮してしまうことを表します。
例文
「お応えする」は「働きかけに対して、それに添うような反応を示すこと」を表します。 「要求に応える」「要望に応える」などと言いますよね。 「ご厚情にお応えする」といった場合は「相手の親切心に応じる」という意味になります。 「ご厚情にお応えすることができるよう〜」「ご厚情にお応えすることができず〜」といったように使います。相手の厚情に対して同意するか、もしくは断るときに使うことができる言い回しです。
例文
「ご厚情に感謝」といった場合は「相手の親切心に感謝する」という意味になります。 「深謝」は「深く感謝すること」を表していて、「お礼申し上げます」「感謝いたします」よりも丁寧な表現になります。ただ「深謝」には「深くお詫びする」という意味でも使うので間違わないようにしましょう。 「ご厚情に感謝する〜」などは、何かいただいたことに関してのお礼としてよく使われます。
例文
「ご厚情あふれるお言葉」とは「相手の親切心がいっぱいに満ちた言葉」というニュアンスになり、相手からの言葉が励みになったときや元気付けてくれたときに使うことができます。 また結婚式やお祝いの席で「ご厚情」を用いられます。 例えば、「株式会社◯◯の創立祝賀会の折は、遠方から足を運んでくださった上に、ご厚情あふれるご祝辞と力強い励ましのお言葉を賜りまして、誠に深くお礼申し上げます」といったように使います。 「ご厚情」を使うことによって、相手への感謝の気持ちを示すことができます。
例文
「ご厚情」の「ご」は尊敬を表す接頭語のため、基本的には目上の人に対して使います。 目下の人に対して「ご厚情」を使ってしまうと、改まりすぎてかえって失礼になってしまいます。 目上の人といっても、日頃からお世話になっている上司や取引先などへのメールや手紙で使いますが、日頃全くといって言いほどお付き合いのない人へのメールで使ってしまうと冷たい印象を与えてしまう可能性があります。 「ご厚情」を使う際には、相手によって使用しても良いか判断する必要があります。
「ご厚情」は、言葉自体に「思いやり」「親切心」「気持ち」という意味が含まれているため、同じ意味の言葉と使ってしまうと意味が重複することになってしまいます。 例えば、「ご厚情のお気持ち」「深いご厚情」「ご厚情心」「ご厚情な思いやり」といった使い方は全て誤りです。 「ご厚情」を使う際には、前後の言葉が意味が被っていないか確認してから使うようにしましょう。
「ご厚情」は、あくまでも相手の親切心や思いやりを表しています。 「ご厚情してください」といってしまうと「(あなたの)心からの思いやりをください」という意味になってしまい、大変おこがましくなってしまいます。 間違っても「ご厚情ください」という表現は使わないと思いますが、大変失礼な言い方になってしまうと覚えておきましょう。
「高配」は「他人への心配りや配慮」という意味です。 「ご高配」は「他人の配慮の尊敬語」になります。 「ご高配」は主にビジネス文書や手紙などの挨拶文として用いることが多く、「ご高配賜りありがとうございます」といった形でよく使われます。 「平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」は挨拶の定型文として覚えておくと良いでしょう。 「ご高配」は「他人への心配り」を表しているので、自分のことに対しては使うことができません。 自分が相手へ心配りをしていることを伝えたい場合は、「最善を尽くす」や「鋭意努力する」と言い換えることができます。 「ご高配」は相手を敬う言い方なので、基本的に目上の相手や顧客に対して使う言葉で、自分よりも立場が下の相手には使いません。
例文
「ご厚誼」は「ごこうぎ」と読みます。 「厚誼」の意味は、「心からの親しい付き合い」「手厚い親切」「深い親しみの気持ち」となります。 「ご厚誼」は、ビジネス文書やスピーチの際の挨拶や結びの言葉として使われることが多く、訃報や葬儀の際にも使うことができる表現です。 「ご厚誼」は目上の相手に対して使うことのできる言葉になります。 「ご厚誼」は、相手を敬い、日頃からお世話になっていることに対する感謝の気持ちを込めて目上の相手に対して使用する言葉です。
例文
「ご交誼」は「ごこうぎ」と読みます。 「交誼」の意味は、「交際のよしみ」「親しい交わり」「友人としての親しい付き合い」となります。 「ご交誼」は”対等な関係を結ぶこと”を表しています。 「ご交誼」は、年賀状や喪中ハガキの文中に使うことが多い言葉です。 「ご交誼」は親しくしてくれた感謝する場合、これからも親しい関係を続けることをお願いする場合に使う表現になります。 「ご交誼」は親しい間柄の相手や団体に向けて使うことができ、相手と友人関係である、上下関係がない場合に使うのが適切です。 「ご交誼」は親しい相手に使うのが一般的なので、目上の相手に使ってしまうと失礼に当たってしまいます。
例文
「厚志」は「情の厚い心」「親切な気持ち」を意味します。 ビジネスシーンにおいて「ご厚志」は、忘年会や新年会、歓迎会などで上司や主賓が幹事に渡すお金のことを指します。 このような場面では、主賓や上司が感謝や労いの気持ちを込めてお金を出してくれることがあります。 「ご厚志」はありがたく受け取り、幹事が会の挨拶で「ご厚志をいただいた」ということを報告するのが礼儀となっています。
例文
「配慮」は「他人に対して心をくばること」という意味です。 「ご配慮」は「相手の心遣いに対して感謝の気持ち」を表している言葉です。 「ご配慮」は相手の心遣いの感謝だけではなく、自分が気を配る場合にも使うことができます。 特に自分に対して使うとき、「気をつけます」ではなんとなく軽い感じがしてしまうので「配慮します」と言い換えると良いでしょう。 相手に「気をつけてください」「上手に対応してください」と言うことを伝えたいときは、
などと使います。 「ご配慮」は目上の相手や顧客だけではなく、同等にも使うことができる言葉です。
例文
「厚意」は「思いやりのあるこころ」「厚情」を意味しています。 「ご厚意」は「相手の優しく思いやりのある気持ち」を指していて、他人が自分に示してくれた気持ちのことを言います。 「ご厚意」は相手の親切心や気遣いのことを表しているので、「ご厚意を賜り」「ご厚意に甘えて」といったように、感謝やお礼をするときに使用することができます。 また、断る場合に「ご厚意」を使う場合は「せっかくのご厚意〜」といった形で使います。 「せっかく」という言葉は、相手の厚意や行動を起こそうとしてくれたことを認めながらも何かを断る場合に使用します。 「せっかくのご厚意ですが」と使うことによって、残念に思っている気持ちや遺憾の気持ち伝えることができるので、相手に不快な思いにさせることなく、やんわりと断ることができます。
例文
「愛顧」は「あいこ」と読みます。 「愛顧」は「目をかけて引き立てること、ひいき」を意味します。 「ご愛顧」は「相手から贔屓にされること」を意味しています。 「ご愛顧」は元々芸人や役者がひいきしてくれるお客さんに対して使う言葉でしたが、そこから転用させ現在ではビジネスシーンで全般的に使用されるようになりました。 企業や法人側がいつも贔屓してもらっている顧客などに対して使います。例えば「ご愛顧いただき~」「ご愛顧のほど~」「ご愛顧を賜りますよう〜」などの形で使います。 「ご愛顧」は、ビジネスシーンでは企業や法人(目下の存在)が顧客や取引先(目上の存在)に対して使います。企業側が主体となって「ご愛顧させていただく」などとは使いませんので注意しましょう。
例文
「温情」は、「あたたかみのある優しい心」「思いやりのある寛大な心」を意味しています。 敬語表現にするには、「温情」に尊敬を表す接頭語「ご」つけて「ご温情」とします。 「ご温情」は「目上の人から受けた親切や思いやり、気遣い」を意味しています。 「ご温情」は感情についての意味合いが強いので、ビジネスシーンではあまり使用することのない表現ですが、手紙やお礼状などで多く使用されます。 「ご温情」は目下の人に使う言葉で、目下の人や同等には使用しません。
例文
「厚情」は英語で、
「ご厚情」は「相手の厚情」なので「your」を付けて表現することができます。 感謝を表す英語は実は「thank you」以外にもたくさんありますので、紹介します。
などです。
I would like to express my gratitude for your courteous consideration.
貴社のご厚情深く御礼申し上げます。
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正しいxxxxの使い方
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「ご厚情」について理解できたでしょうか? ✔︎「ご厚情」は「相手の厚いなさけ」や「深い思いやりの気持ち」を意味する ✔︎「ご厚情」は堅くフォーマルな言葉 ✔︎「ご厚情を賜る」「ご厚情に痛み入る」などと使う ✔︎「ご厚情」の類語は、「ご高配」「ご厚誼」などがある