「おみそれしました」という言葉をご存知でしょうか。あまり若者が使うような言葉ではなく、おじさんが「いや、おみそれしました」と言っていそうなイメージがありますよね。「おみそれしました」は日常的に用いる言葉ではありませんが、この言葉を覚えておくと会話のバリエーションを広げることができます。そこで今回は「おみそれしました」の意味や使い方、類語について解説していきます。
「おみそれしました」は漢字だと「御見逸れしました」と書きます。 「逸」という字は「逸れる(それる)」と読み、「方向や目標からはずれる」といった意味があります。
「おみそれしました」には2つの意味があります。 1つ目は「会ってそれと気づかない、あるいは誰であるか思いつかないときにいう挨拶語」です。
「おみそれしました」の2つ目の意味は「相手の才能・手腕などに気づかないでいること、自分の間違った見方を詫びていう語」です。 「おみそれしました」は、どちらも相手に対して気付かなかったときにお詫びの気持ちをも込めて用いる言葉となります。
「御見逸れ」の「御」は謙譲を表す接頭語のため、「おみそれしました」は謙遜した表現となります。 「おみそれしました」は動詞「見逸れる」からきています。 「見逸れる」は「見おとす。見当違いな見方をする」という意味です。 現在は「見逸れる」という言葉はほとんど使われず、「おみそれしました」という言い回しでよく使われます。
「おみそれしました」には意味が2つあるため、使う状況も2通りあります。 一つは、会っても人に気づかなかったり、誰だか思い出せない場合です。 知人と出会いながら、誰だか思い出せないときや、その人に気づかなかったときに使います。
例文
もう一つは、相手を低く評価していたのに、予想外に相手の能力が高かった場合です。 ”相手を高く評価していたのに、実際は能力が低かったこと”を意味する「見損なう」とは反対の場合に使います。 どちらの場合でも、それに気づいたときに詫びる思いで「おみそれしました」を使います。
例文
「おみそれしました」という言葉自体にお詫びの意味合いが込められているため、「おみそれして申し訳ありません」「おみそれしてすみません」などと謝罪の言葉を付ける必要はありません。 ただ、相手の能力を周りの人が知っていたのに自分だけ知らなかった場合や、相手は自分に気付いたのに自分は相手のことを気付けなかった場合には「知らなくて申し訳ありません」「気付かなくて申し訳ありません」と伝えるほうが良いでしょう。
「おみそれしました」は敬語のため目上の人に対しても使えますが、使う際は注意が必要です。 「おみそれしました」という言葉自体は「おみそれ」したことを謙遜して詫びる言い回しのため、目上の人に対して使っても問題ありません。 しかし、「おみそれしました」と使うということは、「相手に気づかない」「誰だか分からない」「過小評価していた」と、どれも失礼なことですよね。 例えば、親しい上司が仕事をしている上では全く気付かないような、スポーツの才能や芸術の才能があった場合は「そんな才能があったなんて知りませんでした!」といった意味で「おみそれしました」を使っても問題ありません。 ただ、「才能がないと思っていた」ということになりますので、相手やその場の状況などを考えて使いましょう。 また上司に対して褒める行為も失礼にあたります。 下記の注意事項もぜひ参考にしてみてください。
⚠︎ 目上の人に「さすがですね」「すごいですね」は失礼にあたる! 自分の予想よりも目上の人の能力が高かったときに、「上手ですね」「さすがですね」「すごいですね」と言うのは失礼です。これらは”褒め言葉”と呼ばれます。 同等や目下の人に「さすが」などと褒めるのは良いですが、目上の人に「すごい」などと褒めるのは不適切です。目上の人には褒めるのではなく、感謝と尊敬する気持ちを伝えるようにします。 「おみそれしました」以外には「勉強になります」「尊敬します」などが適切でしょう。
気づかなかったという意味で「おみそれしました」と詫びられた場合は、
などと言うのが良いでしょう。 相手は無視したわけではなく気付かなったことを詫びているため、「気にしなくていい」ということを伝えるようにしましょう。
「おみそれしました」と言われた場合は何て返せば良いのでしょうか? 「おみそれしました」と相手の知らない能力があったことを褒められた場合は、
などが良いでしょう。 「ありがとうございます」だけだと何となく素っ気ない感じがするので、褒められたときは基本的に否定せずに素直に受け取るのが適切です。
「感服」は「深く感じて服従または敬服すること」「深く感じてもっともと思うこと」を意味します。 「感服」には「深く感心して、尊敬の気持ちを抱く」とい意味合いが含まれ、相手に対して感動を伝えています。 「感服しました」は気軽に言うと「感動した!あなたについていく」というニュアンスです。 日常会話ではあまり言いませんが、「すごい」「さすが」と同じ意味合いになります。 「感服」は”尊敬すること”を表すので、目上の人に対して使うことができます。
例文
「恐れ入る」は「相手の力量・実力に圧倒され、屈すること」を意味します。 「恐れ入る」には「自分のいたらなさや相手への迷惑を、申し訳なく思う」「恐縮する」というニュアンスが含まれます。 「恐れ入りました」は「感心し屈服すること」を表したいときに使います。目上の人に対しても使える表現です。
例文
「侮る」は「相手を軽くみて馬鹿にすること」を意味します。 「侮る」には”相手の力を自分より低いと見て、ばかにする言動をとる”というニュアンスになるため、目上の人に使うと失礼に当たってしまいます。
例文
「みくびる」は「力や価値がないと見きわめをつけること」「軽んじて侮ること」を意味します。 「みくびる」は「大したことはないと甘く考える」というニュアンスです。 「みくびる」「見下す・軽んじる・軽視する・舐める」などと非常に意味が近いため、目上の人に対しては使いません。
例文
「おみそれしました」の直訳の英語は残念ながら存在しません... 「気付かない」という内容を伝えるには、「recognize」や「know」などの単語を使い、打ち消しの文章を作ればよいでしょう。 例文です。
Oh, Taro! I didn't recognize you!
あ、太郎さん!おみそれしました。
Your company has grown so big! Sorry, I didn't know about that!
御社はこんなに大きくなっていたのですね!これはすいません、おみそれしました。
↓ ビジネスパーソンにおすすめの英会話教室・オンライン英会話に関してまとめましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
科学的に正しい英語勉強法
こちらの本では、日本人が陥りがちな効果の薄い勉強方法を指摘し、科学的に正しい英語の学習方法を紹介しています。読んだらすぐ実践できるおすすめ書籍です。短期間で英語を会得したい人は一度は読んでおくべき本です!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
ビジネスシーンで英語が必須な方など、本気で英語を学びたい人にオススメの英会話教室、オンライン英会話、英語学習アプリを厳選した記事を書きました。興味のある方はぜひご覧ください。
「おみそれしました」と「味噌」が一緒に検索されることが多いですが、2つは無関係です。 ただ、2つに関連した曲があります。 女性アイドルグループ”チームしゃちほこ”の「いただきっニッポン〜おみそれしましたなごやめし〜」という曲です。これは「なごやめしが予想外に美味しい」と解釈できます。 歌詞の一部を見てみると、
お見それしました味噌の味。名古屋はやっぱり味噌でしょう。うどんもカツもおでんでも八丁味噌は自慢です。 はい はい はい はい 和やか名古屋 はい はい はい はい ういろう売ろう 栄の通りをてくてくてく 迷わず進めばなんて素敵。腹減った おごってよ!
となります。 「おみそれしました味噌の味」ということで、”名古屋の味噌は予想以上に美味しい”とアピールしているのですね。一度聞いてみてもいいかもしれません。
「おみそれしました」について理解できたでしょうか? ✔︎「おみそれしました」は”誰だか気づかないこと、相手の能力に気づかないでいること”を意味する ✔︎「おみそれしました」は、言葉自体にお詫びの意味合いが込められている ✔︎「おみそれしました」は目上の人に使っても問題ないが、抵抗がある場合は類語を使うのが良い ✔︎「おみそれしました」の類語には、「感服しました」「恐れ入りました」などがある
敬語の使い方が面白いほど身につく本
元NHKアナウンサーの著者が教科書通りの敬語ではなく、様々なシーンで使うことができる生きた敬語表現を紹介しています。文法的に正しい敬語でも、言い回しや場面によっては相手に不快感を与えてしまう場合があります。こちらの本では ”気の利いた敬語” の使い方を、言葉のプロがコンパクトに解説しています。
入社1年目ビジネスマナーの教科書
ビジネスシーンでの正しい敬語の使い方から身だしなみ、電話対応などビジネスマナーについて幅広く書かれている書籍です。新入社員からベテラン社員まで使える大変便利な一冊です。イラスト付きで分かりやすくまとめられているので、スキマ時間でスラスラと読むことができます。