「承諾」という言葉は、「承諾しました」とうようにビジネスシーンなどでもよく使用される言葉だと思います。今回は、「承諾」を正しい意味と、ビジネスシーン使い方を中心に例文付きで解説していきます。また、「承諾」と「了承」の違いや類語、英語表現も照会しますので参考にしてください。
「承諾」の読み方は「しょうだく」です。
「承諾」の意味は「相手の申し出や頼みを聞き入れること・引き受けること」です。 「承諾」は、「承」という「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」を意味している漢字と、「諾」という「応答すること」「引き受けること」といった意味のある言葉を合わせてできている言葉です。積極的に引き受けると言うニュアンスが含まれている言葉です。 また、ビジネスシーンで使われる法律用語として「申し込みに応じて契約を成立させる意思表示」を意味します。
「承諾」は、「承る(うけたまわる)」という意味の漢字が使用されていることから、謙譲語の敬語であると思われがちですが、「承諾」は敬語ではありません。 「承諾」は、「ご承諾」で敬語となります。 しかし、「ひきうける」という意味のある丁寧な言葉である為、「お客様からの承諾を得ました」といったように、「承諾」という言葉だけでも十分に使用できる言葉です。
「承諾」は、「承諾書にサインをする」というような言葉があるように「取引や契約を結ぶ場面」でも使用される言葉です。 例えば「承諾書にサインをする」というのは、契約内容に同意しましたということを書面で証明するというような場面で使用します。 また、契約内容に承諾してもらったときは、「ご承諾ありがとうございます」というようにお礼を述べたりといった場面で使用されます。
「承諾を得る」は、「許可を得ること」という意味で使用される言い回しです。 簡単に言い表すと、「~してもいいですか?」「~させてください」と依頼された事に対して「いいですよ」と返事をしてもらうというようなことを「承諾を得る」といいます。 「~に承諾を得る」というように個人の行為に対して使用されることがほとんどです。 「承諾」と似ている言葉で「受託」という言葉があります。 「受託」の意味も「申し出を受け入れる」という点で同じですが、「受託」という言葉を使用するのは「公的な提案」であって、個人的な行為に対して使用する言葉ではないので、混合してしまわないように注意しましょう。
「事後承諾」は「事が済んでから承諾を受けること」です。 例えば、「承諾を得る」という言い回しは「~してもいいですか?というように事前に許しを得る場合に使用されます。 それに対して、「事後」はつまり「事の後」という意味で使用される言葉で「物事が起こったあと、起きた後」に「承諾を得る」ことを「事後承諾」といいます。 事前に承諾を得ている時間がないといった場合や、どうしても関係者と連絡がとれないといった場合に、行為を行ったあとで承諾を得るという方法をとることが「事後承諾」です。
相手が何か依頼や要望をしてきて、自分がそれを承諾したといった場合は「承諾いたしました」「ご承諾しました」というように使用します。 「わかりました」といったように、相手のいう事を受け入れる場面で使用しますが、目上の人などに「わかりました」ということを伝える場面では、「承諾いたしました」「ご承諾しました」と言いあらわすほうが、丁寧で印象がいいです。
「ご承諾の上え、~してください」は「承諾したあと~してください」という意味合いで使用される言葉です。 「〜のうえ」の意味は「〜をしたあと、〜をした結果、〜を条件に入れて」です。 「ある行動をした後に」というニュアンスです。物事の順番や前提条件をはっきりと示す表現となります。 したがって、「ご承諾のうえ、~してください」は、「こちらの要望に、納得してから~してください」という先に相手の了承を得たいという場合に使用される言葉であるということになります。 例えば、「返品返金不可であることにご承諾いただき、開封をお願いします」というのは、「返品返金できないということをわかった上で、開封してくださいね」というような意味です。
自分自身が承諾したことを相手に伝えるときは、「ご承諾申し上げます」という言い回しを使用します。 「申し上げます」は「言う」の謙譲語「申し上げる」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「申し上げます」は「言わせていただきます」という意味で、目上の人など敬意を払うべき相手に対して、”うやうやしく言う”というニュアンスになります。 よって、「ご承諾申し上げます」と使用することによって、目上の人に敬意を払いながら丁寧に「わかりました」ということを伝えることができるということです。
「承諾してもらった」という事へお礼を伝える際は、「ご承諾いただきありがとうございます」というような言い回しをします。 「ご承諾いただきありがとうございます」は、「受け入れてくれてありがとうございます」という言葉を丁寧に使用した言葉です。 「~をご承諾いただきありがとうございます」というような使い方をします。 さらに丁寧な「ご承諾賜り感謝いたしております」や、「ご承諾いただき感謝申し上げます」といった言い回しもあります。
相手の申し入れを断るというときの、丁寧なフレーズは「ご承諾いたしかねます」です。 取引先の人や目上の人に、無理なことをお願いされたという場合に使用します。 「いたしかねます」は、「いたし兼ねる」という意味で「~することができない」という意味の謙譲語になります。 「承諾することはできません」といストレートに伝えるよりも、「いたしかねます」という敬語を使用することで、柔らかい表現になります。 他にも、「承諾することが叶いません」などの断りのフレーズがあります。
▶「承諾」・・・相手の申し出や頼みを聞き入れること・引き受けること ▶「了承」・・・「事情を理解して承知すること」
「了承」は「りょしょう」と読みます。 「了」は、音読みでは「リョウ」、訓読みでは「おわる・さとる」と読みます。 「了」は、「終わりになる」「明らか」「はっきりとさとる」ことを意味しています。 「承」は、音読みでは「ショウ」、訓読みでは「うけたまわる」と読みます。 「承」は、「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」ことを意味しています。
「了承」の意味は「事情を理解して承知すること」です。 「了承」は、目上の人に要求・依頼をする場合やそれを許可する場合に使用する言葉で、「納得する」という意味のある言葉です。 「承諾」は、相手からの申し出を引き受けるという意味がありましたが、「了承」は「状況を把握する・理解する」というという意味合いがあります。 ただ、「了承」には「許可する」という意味合いがあるため、上から目線のニュアンスが含まれてしまうということを頭に入れておきましょう。
「承知」は「しょうち」と読みます。 「承知」は、「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」という意味のある「承」と、「物事の本質を見抜く」「相手を理解する」という意味のある「知」という漢字を組み合わせてできている言葉です。 「承知」は、「理解する」「ひきうける」「相手の事情を許す」というような意味合いで使用されます。 何かを依頼されたり、相手のいう事を理解したというような場面で、「わかりました」というのと同じで「承知しました」と使います。
「了解」は「りょうかい」と読みます。 「了解」には、「物事の内容や事情を理解して承認する」という意味があります。 相手の依頼や申し出を「はっきり理解して承認する」ということです。 「了解」は、尊敬語でも謙譲語でもないので、同等もしくは目下の者に使用する言葉です。 そのため目上の相手に対して使うと軽い印象を与えてしまいます。「了解」「了解です」は当然のことながら、「了解しました」と丁寧な言い方でも失礼に当たりますので注意しましょう。
「賛成」は「さんせい」と読みます。 「賛成」の意味は「人の意見や行動をよいと認めて、それに同意すること」です。 提案や意見に「同じ意見です」「同じ考えです」というように同意する場面で使用される言葉です。
「合意」は、「ごうい」と読みます。 「合意」の意味は「2人以上の意志が一致すること」です。 「クラス全員の合意の元~」というような使いかたをし、この場合は「クラス全員の意志が一致している」という意味になります。
「承諾」という言葉について理解していただけましたでしょうか? ✓「承諾」は「しょうだく」と読む ✓「承諾」の意味は「相手の申し出や頼みを聞き入れること・引き受けること」 ✓「承諾」は取引や契約を結ぶ場面で使われる ✓「承諾」の類語は「承知」「了解」など