「より一層」という言葉をご存知でしょうか。「より一層」は「これまで以上に」を意味しているので、話したいことを強調して伝えることができます。そこで今回は「より一層」の意味や使い方、類語について解説していきます。「より一層」を上手く使いこなせるように、今一度使い方について確認しておきましょう。
「より一層」は「よりいっそう」と読みます。 「いっそのこと」などの言い回しで使われている「いっそ」は、「一層」の音が変化したものとされています。
「より一層」は「これまで以上に」「ひときわ」を意味します。 「より」は「それまでの程度を超えて」「さらに」「もっと」を意味する副詞です。 この「より」は比較の意を表す格助詞「より」から転じた語とされています。 「一層」は「程度が一段と加わること」「ひときわ」を意味する副詞です。 「より一層」は「より」と「一層」を単体で使っても意味は同じですが、重ねることでその意味を強調することができます。
「より一層」は「より一層頑張ります」といったように、ポデティブな文章で使うことが多い言葉です。 例えば「より一層の努力をさせていただきます」といったように、「より一層」を使うことによって、自分がこれから真剣に取り組みたいと考えていることを伝えられます。 「より一層」は話し言葉としても書き言葉としても使え、少し改まった表現のためスピーチの挨拶でも使うことができます。
同じ意味の言葉を重ねることを「重言(じゅうげん、じゅうごん)」と言います。 例えば、「頭痛が痛い」などがそれに当たります。 「より」と「一層」は同じ意味なので重言になりますが、間違った表現ではなく強調表現をするための正しい修辞技法となります。 同じ意味の言葉を重ねた熟語は他にも存在します。例えば、「びっくり仰天」「好き好んで」などなど。
「いっそう」と読む言葉には「一層」の他に、「一掃」「一双」などがあります。これらは全て意味が異なります。 そのため「いっそう」とひらがなで表記してしまうと、他の言葉と勘違いしてしまう可能性があるので、ひらがな表記はあまりおすすめできません。 また「より一層」と「一層」の違いは特にありません。 ただ「一層」を強調させている表現が「より一層」となりますので、「一層頑張ります」と言うよりも「より一層頑張ります」と言った方が「さらに頑張っていく」ということが強調できる表現となります。 そのため、ビジネスシーンでは「より一層」を使うことをおすすめします。
「より一層」を使った言い回しを紹介します。
今までよりもっと頑張っていくことを伝えられる言い回しになります。 ただ「頑張ります」は日常会話でもよく使われ、ビジネスシーンで使うにはややくだけた印象や幼い印象を与えるため、「精進してまいります」などと使うようにしましょう。
「ご愛顧」は主に企業や法人側がいつも贔屓(ひいき)してもらっている顧客などに対して、いつも愛用してくれていることを感謝したり、引き続き贔屓してもらいたいという思いを伝える時に使います。使います。 ビジネスシーンでは企業や法人(目下の存在)が顧客や取引先(目上の存在)に対して使います。企業側が主体となって「ご愛顧させていただく」などとは使いませんので注意してください。
「ご支援」はお世話になっていたり、力を貸して助けてくれている相手に使います。 ビジネスシーンでは取引先だけではなく、上司や周りの社員に使うこともあります。 ビジネスメールなどでもよく用いられており、「ご支援賜りますよう」はこれからも力添えしてほしいことをお願いするフレーズとなります。
・皆様のご期待に添うべく努力を重ねてまいりますので、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。 ・先日は貴重なアドバイスをいただきありがとうございました。今後もより一層のご支援いたくださいますようお願い申し上げます。
「ご指導ご鞭撻」は目上の相手からの自分に対する教育や指導のことであり、それらを敬っていう表現になります。 目上の方や先輩、お客様・取引先などに敬意を持ち、今後も変わらないお付き合いをお願いする場合に使います。 また、「ご指導ご鞭撻」は挨拶やスピーチの「結びの言葉」「締めの言葉」として使います。 ビジネスシーンだけでなく結婚式の挨拶などでも用いられています。
「一段と」は、「はっきりと差があるさま」「ひときわ」「格別に」を意味しています。 「一段と」は「益々」と言い換えることができる表現です。例えば、「益々お上手になられましたね」を「一段とお上手になられましたね」と言い換えても意味は変わりません。 「益々」よりも「一段と」を使った方が、前回との違いを明らかにする印象が強いので、「一段と」は相手を褒める際に適している言葉となります。
例文
「益々(ますます)」は、「程度が一層甚だしくなるさま」「前よりも一層」「いよいよ」という意味の副詞になります。 「益々」は今後の状態を表すときに使う言葉で、あとに続く言葉を強調する効果を持ちます。 「益々」は日常会話ではひらがな表記で、ビジネスシーンでは漢字表記にします。 日常会話で使う「益々」は、天気や体調について以前より良くも悪くもなっている様子を表す場合と、相手にとって今よりもより良くなりますようにという思いが込められた表現をする場合があります。 日常生活での「ますます」がプラスな意味でもマイナスな意味でも使うことに対して、ビジネスシーンでの「益々」は、より状況が良くなるというプラスの意味で使うことがほとんどです。 「益々」は目上の人に対して使うことができます。 ただ「益々」自体は失礼に当たる言葉ではありませんが、「益々」に続く言葉によって、文章全体が目上の相手に対して不適切になってしまう場合があるので注意しましょう。
例文
「輪をかけて」は、「あるものに比べて程度が一層甚だしいさま」を表します。 「輪をかけて」は「輪をかける」の連用形のため、副詞的に用いることが多いです。 例としては、「今日の朝はとてもいい天気だが、午後は輪をかけて気持ちの良い陽気になった」といったように使うことができます。これは朝から良い天気だったけど、午後もそれを上回る勢いで良い天気になったことを意味しています。 「輪をかけて」は少々堅い表現のため、一般的にはあまり使用しない表現ですが覚えておくと良いでしょう。
例文
「さらなる」は、「一層の」「ますます」という意味です。 「さらなる」は「より一層」と同義のため、使い方も同じになります。 「さらなる」は「より一層」と比べると、なんとなくスケールが大きいようなニュアンスになります。
例文
「より一層」の英語表現は、
などです。 「a lot」は比較級を修飾しないのが英文法のルールなのですが、ネイティブは口語的に「a lot more」などと言うことがありますので、一応お伝えしておきます。しかしビジネス文書などの正式な文語では使用を避けた方がよいでしょう。
It makes your life much more exciting to do what you're really passionate about.
自分が情熱を感じることをしたら、人生はより一層面白くなりますよ。
Much further efforts will be required in the future.
将来的にはより一層の努力が求められるでしょう。
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「より一層」について理解できたでしょうか? ✔︎「より一層」は「これまで以上に」「ひときわ」を意味する ✔︎「より一層」は、ポデティブな文章で使うことが多い ✔︎「より一層」は、改まった表現のためスピーチの挨拶などでも使うことができる ✔︎「より一層」の類語には、「一段と」「益々」などがある
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