「頭打ち(あたまうち)」とは「物事が限界に達し、もう上がらない状態」を意味します。「頭打ち」は元は金融用語で、「市場の相場が上がり続けた結果、高値の限界に達して横ばいとなり伸び悩むこと」を指します。「頭打ちになる」「頭打ち状態」などと使います。「頭打ち」の語源は、「頭」が人間の身体の一番上に位置し「最高点」を指すことからきています。
「頭打ち」の読み方は「あたまうち」です。
「頭打ち」の意味は、「物事が限界に達し、もう上がらない状態」です。 例えば、人間の身長は成長期にかけて伸びますが、永遠に伸び続けるわけではありません。 成長期を過ぎると自然と身長の伸びは止まってしまいます。 このように物事が限界に達し、伸び悩んでいる様子や上昇力の低下を言い表す場合に「頭打ち」という言葉を使用します。 主な言い回しとしては、
などがあります。 また、「最大料金に達してから上がらない」というニュアンスでも使います。 詳しい使い方については例文を参考にしてください。
例文
「頭打ち」の由来は、「人間が頭を天井に打ってしまう」という話ではありません。 「頭」は人間の体の一番上にあることから、「最高点。天井」という意味の比喩として使います。 つまり、「頭打ち」とは「最高点に達してしまう」=「これ以上は上がらない」という意味になります。 そこから「物事が限界に達していてそれ以上は上がる見込みがない」という意味で使用されるようになりました。
「頭打ち」は、金融・証券用語では「相場の最高点」という意味で使用されます。 上がり続けていた相場が、高値の限界に達して伸び悩むことを「頭打ち」と言います。 金融・証券用語としての「頭打ち」は、
の2つのパターンを指します。 実は「頭打ち」という言葉は元々金融用語として使われていたものが、一般に広がりました。 「頭打ち(あたまうち)」のことを金融用語で「頭打(ずうち)」ということもあります。
例文
バイク用語での「頭打ち」は「エンジンの回転数の上限数」を意味します。 バイクや車は、それぞれエンジンの回転数が決まっていています。 エンジンの回転数が高ければ高いほどスピードも出ますが、その分燃料を消費するスピードが早いです。 例えば「60キロで頭打ちのバイク」は、時速60キロ以上のスピードを出すことはできませんし、60キロで走れる回転数が上限値であるということになります。 バイクはリミッターが設定されていてそれ以上の回転数が回らなくなっているので、上限に達するまでスピードを出してしまうとパワーの落ち込みが現れるなどの問題がおきるため購入する際の大きな判断基準になります。
例文
音楽用語では、「ドラムのリズムパターン」として「頭打ち」という言葉が使用されます。 ドラムのリズムパターンでは、楽譜の小節の頭に1拍ずつスネアを叩くことを「頭打ち」と言います。 音楽用語での「頭」とは「先頭」「出だし」「最初」を意味します。 音楽の楽譜は、1小節4拍でできています。 この4拍すべてにスネアを叩くことを「頭打ち」と言います。 最も基本手的なドラムのリズムパターンと言えるでしょう。 ロイ・オービソンの「プリティーウーマン」など誰もが耳にしたことがある曲の中には、この頭打ちを使っている曲も多くあります。 いまいちピンとこないという人は、ぜひ聞いてみてください。
医療用語で「頭打ち」というと「頭部打撲」という意味になります。 この場合の「頭打ち」は文字通り「頭を打つ」ということです。 高さのあるところから落ちてしまったり、転倒してしまったなど理由を問わず頭をぶつけてしまうことを「頭打ち」と言い表します。
例文
人生・仕事での「頭打ち」は「スランプ」を意味しています。 例えば今までバンバンに執筆していた作家さんが、いきなり何も書けないという状態に陥ってしまうといった状態になるなど一時的に調子が悪くなっている状態を「頭打ち」と言います。 つまり、「伸び悩んでいる」という状況です。 また、人生において何をしても上手くいかないと感じてしまうように、思うように振るわなくなってしまったときに「頭打ちだ」と表現することがあります。
例文
ゲーム用語で「頭打ちの結晶」というものがあります。 「頭打ちの結晶」は、「魔法使いと黒猫のウィズ」というスマホゲームの中に出てくる技の名前です。
「横ばい」の意味は、「数値の変動がなく、一定水準のまま推移していること」です。 「横ばい」は、カニが横歩きで移動している様子を推移に例えた言葉です。 上がりもせず、下がりもしない同じ状態を保っていることを「横ばい」という言葉を使用して言い表すことができます。 物価や売上に対して使用されることが多いです。 「頭打ち」は、上がりきってそれ以上変わらないことを意味しているので「横ばい」は類語にあたります。
例文
「停滞」の意味は、「物事の進行が滞って先へ進まないこと」です。 「停」と「滞」には「とどまる・止まる」という意味があって、同じ意味の言葉を重ねることで意味を強調している熟語になります。 例えば「〜が停滞している」で、「スムーズに進行が進まず止まってしまっている状態」と言い表してします。 「頭打ち」も、状態が止まってしまって伸び悩む様子を言い表す言葉なので「停滞」は類語になると言えるでしょう。
例文
「足踏み」は、元々「動かずにその場で足を上げ下げすること」です。 足を上下するという歩くときの動作をしているのにも関わらず、前に進んでいないということから「物事がはかどらない」という意味で使用されるようになりました。 例えば、「〜は足踏みをしている状態だ」と言い表すと「進行が止まっていて何も変わっていない」ということを意味しています。 「足踏み」は、「停滞」と同義になります。
例文
「踊り場」の意味は、
です。 1番よく使われる「階段の踊り場」は、方向転換をする為だったり転落の危険を緩和するために設けられていますが、デパートなどでは休憩所として利用されているところもあります。 「踊り場」は、この階段の踊り場から転じて「上り調子だったものが鈍り、足踏み状態になっていること」を意味する言葉として使用されるようになりました。
例文
「立ち往生」の意味は「物事が行き詰まっている状態」を言い表す言葉です。 元々「往生」は「死ぬ」という意味があり、「立ち往生」は「立って死ぬこと」という意味で使用されていた言葉です。 そこから、転じて「前にも後にも動けない」という意味になりました。 現代では、事故が起きてしまって身動きがとれないような状態を「立ち往生」という言葉を使用して言い表します。 また、物事が行き詰まり横ばいの状態を続け抜け出せない場合も「立ち往生」と言い表すことができます。
例文
「一進一退(いっしんいったい)」の意味は「進んだり後に戻ったりすること」を意味する四字熟語です。 「一進」は、「進むこと」「一退」は「戻ること」を意味しています。 つまり、良い状況になったり悪い状況になったりを繰り替えすことを「一進一退」と言います。 「頭打ち」は「それ以上良くならないこと」というニュアンスで使用される言葉なので、「良くなったり悪くなったりする」という意味の「一進一退」とはニュアンスが異なります。 しかし、「進んだり戻ったり」ということは結局良くなっても戻っているということなので「状況が変わらない」と同じような意味になると言えるでしょう。
例文
「行き詰まり」の意味は、「困難や支障にあって、物事がそれ以上発展しないこと」です。 「行き詰まり」は道がなくて前に進めないことから、物事がそこから前に進まないことも意味するようになりました。 「仕事が行き詰まる」「企画が行き詰まる」など「物事が前進しない」という意味で使われています。 例えば、計画が内容通りに上手く進まなかったり、失敗した場合に「計画が行き詰まり...」と表現できます。
例文
「天井知らず」は、「物価や相場がどこまで上がるかわからない」という状態を言い表す言葉です。 「頭打ち」の「頭」は先述したように「天井」を意味しています。 天井より先に伸びることがないという意味で「頭打ち」という言葉を使います。 したがって、天井知らずでどこまで上がっていくのかわからない状態を表す「天井知らず」は「頭打ち」の対義語にあたります。
例文
「青天井」は、「あおてんじょう」と読みます。 「青天井」は、「快晴の青空」を意味する言葉です。 転じて、遮るものがない青空のように上り調子であることを言い表す言葉として使用されています。 主に金融業界で使用する言葉で、相場の上限がないことを意味する言葉として使用されることが多いですが様々な場面で使用することができます。
例文
「うなぎのぼり」の意味は、「すさまじい勢いで上昇する様子」を言い表す言葉です。 物価・地位・温度などが、どんどん上昇する様子をうなぎが逆流の中登っていく姿に例えて「うなぎのぼり」と言います。 株価の上昇や人気といった指標を表現する場面で使用されます。 どんどん上昇し、停滞することを知らない様子に対して使用する言葉なので「頭打ち」の対義語になります。
例文
「順調」の意味は、「物事が滞りなく進行する様子」です。 「順」は「都合がよく差し障りがないこと」を意味していて、この場合の「調」は「ようす・状態」という意味で使用されています。 したがって、「順調」は「都合がよく差し障りがない様子や状態」を言い表す言葉であるということがわかります。 「頭打ち」は、伸び悩んだり滞ったりしてしまうこと意味している言葉なので「順調」は対義語になります。
例文
「順風満帆」は、「物事が順調に進むこと」を言い表した四字熟語です。 「順風」は「進む方向に吹く風」「満帆」は、「帆をいっぱいに張ること」です。 「順風満帆」は、帆を張った船が追い風を受けぐんぐんと進んでいくことを表現しています。 船が順調に問題なく目的地に向かって進んでいく様子から、「順調に進んでいること」を意味する四字熟語として使用されるようになりました。 したがって、「順風満帆」は「頭打ち」の対義語になります。
「天井に当たる」を直訳して「hit the ceiling」とすると、「激怒する」という意味のイディオムになります。 日本語の慣用句にも「激怒する」を意味する「怒髪天を突く(どはつてんをつく)」がありますが。どことなく似ています。
My mom will hit the ceiling if she finds out that I skipped classes today.
今日ボクが授業をサボったことを知ったら母は激怒するだろう。
「頭打ち」の英語表現は、
などがあります。
Japan's GDP has been leveling off for more than 30 years.
日本のGDPは30年以上も頭打ちだ。
いかがでしたか? 「頭打ち」という言葉の意味を理解していただけたでしょうか。 ✓「頭打ち」の読み方は「あたまうち」 ✓「頭打ち」の意味は「物事が限界に達し、もう上がらない状態」 ✓「頭打ち」は金融用語で「相場の最高点」という意味で使用される ✓バイク用語では「エンジンの回転数の上限値」など様々な場面で使用される。 ✓「頭打ち」の類語には「横ばい」「停滞」「足踏み」などがある。