「千変万化」という言葉をご存知でしょうか。「千変万化」は「変わっていくこと」を表現することができる四字熟語です。今回は「千変万化」という言葉の意味と、正しい使い方を例文つきで詳しく解説します。また、類語や、「千変万化」の英語表現なども合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「千変万化」は「せんぺんばんが」と読みます。 「せんへんまんが」などと読み間違えないように気をつけましょう。 「変」は音読みで「ぺん」、「万」も音読みで「バン」と読むことができます。
「千変万化」の意味は、「物事がさまざまに変化すること」です。 「千変万化」は、「千変」と「万化」という2つの言葉からできている四字熟語です。 それぞれの意味を見てみると、 「千変」・・・ 色々変化すること 「万化」・・・ 色々変化すること となり、同じ意味の言葉を組み合わせた四字熟語であるということがわかります。 さらに分解してみると、 「千」と「万」が共に「数の多いこと」を意味していて、 「変」と「化」も共に「変わること」を意味しています。 したがって、「千変万化」は、とにかく変化することを強調している言葉であり、局面や状況などが変化して行く様子を言い表すことを表すことができます。
「千変万化」の由来は、中国の古典『列子』にあります。 『列子』とは、西暦500年代に中国の思想家である列禦寇の著書文献です。 この『列子』に書かれていた、まるで人間のような人形を作った「偃師」という名工の話が語源となっています。 「偃師」が、「穆」という王様に生きているように動く人形を持っていき、王様を喜ばせたという話です。 王様の望む通りに目まぐるしく動く人形の様子を「千変万化」といったのです。 そこから、情景や情勢など目まぐるしく変わる物に対して使用される言葉となりました。
「千変万化」は「千変万華」と表記されていることもありますが、当て字です。 「くるくると変わる・変化する」というニュアンスで使用されているということに代わりはありませんが、「化」を「華」にすることで、「華やかさ」を出しています。 「千変万化」と書かれることが一般的ですが、曲名などでは「千変万華」とあえて使用されていることがあります。
「千変万化」は、変化していくものを表現する言葉で、
といった形で使用されます。 「千変万化」は物理的に変化するものに対しても使いますし、世の中の状態や経済状況など感覚的なものに対しても使用することができます。 ビジネスシーンでも、状況に合わせてマーケティングを変える...など、状況に合わせて変わっていく様子を「千変万化」という言葉を使って言い表すことができます。
例文
「変幻自在(へんげんじざい)」の意味は、「素早く現れたり消えたりすることが思いのままであること」です。 「変幻自在」は、「変幻」と「自在」という2つの言葉からできている四字熟語です。 「変幻」は、「姿がたちまち消えたり現れたりすること」 「自在」は、「思いのまま・思うとおりになること」です。 自分の思いのままに変化させることができることを、「変幻自在」と言います。 「千変万化」と「変幻自在」の違いは、「変化していく」という点で言えば同じ意味を持っていますが、 「千変万化」は「目まぐるしく変わっていく」というニュアンスが強く、 「変幻自在」は「自分の思いのままに変えることができる」というニュアンスであるという点で違いがあります。 例えば、景色や場面といった情景が変わることは「千変万化」と表現することができますが、「変幻自在」とは言いません。 「千変万化」は、変わっていっている物を、客観的に見ているイメージで、「変幻自在」は、自分の思うままに操ったり、操られてるというイメージだと考えるとわかりやすいでしょう。
例文
「諸行無常」は、「しょぎょうむじょう」読みます。 「諸行無常」の意味は、「この世に存在するすべての物事は同じ状態を保つことなく移り変わり、永久不変なものなどないということ」です。 「諸行無常」といえば、平家物語の冒頭の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり...」が、有名ですよね。 すべてのものは、いつかは変わったり失くなったりすることが当たり前であるということを、言い表しているのが「諸行無常」という言葉です。 「諸行無常」は、自分自身が変化しようとしたとき、そして自分自身ではどうしようもないものでも変化してしまうときにも使用することができます。
例文
「万物流転」は、「ばんぶつるてん」と読みます。 「万物流転」の意味は「この世にあるものは、絶え間なく変化してとどまることがない」です。 「万物流転」は、「万物」と「流転」という2つの言葉からできている四字熟語です。 「万物」は、「宇宙の、ありとあらゆるもの」という意味があり、 「流転」は、「一つの状態にとどまらず、移り変わっていくこと」という意味があります。 簡単に言えば、どんなに頑丈なものでもいつかは壊れる時がくるし、形を変えることがあるということです。
例文
「動揺流転」は、「どうようるてん」と読みます。 「動揺流転」の意味は、「揺れ動き、絶え間なく変化すること」です。 「動揺流転」は、「動揺」と「流転」という2つの言葉から成り立つ四字熟語です。 「動揺」は「揺れ動くこと」 「流転」は「一つの状態にとどまらず、移り変わっていくこと」という意味があります。 気持ちが揺れ動き不安定で、移り変わっていくことを表現している四字熟語です。
例文
「流転無窮」は、「るてんむぐう」と読みます。 「流転無窮」の意味は、「様々な状態に変化し続けて、留まることがないこと」です。 「流転無窮」は、「流転」と「無窮」という2つの言葉からできている四字熟語です。 「流転」は「一つの状態にとどまらず、移り変わっていくこと」 「無窮」は「果てしなく続くこと」という意味があります。 したがって、「流転無窮」は、「果てしなく変化し続けること」を言い表す四字熟語であるということがわかります。
例文 ・流転無窮だからこそ、変化があっておもしろいのだろう。
「生生流転」は、「せいせいるてん」と読みます。 また、「しょうじょうるてん」と読む場合もあります。 「生々流転」の意味は、「すべての物は産まれては変化をし、変わっていく」です。 「生々流転」は、「生生(生々)」と「流転」という2つの言葉からできている四字熟語です。 「生々」は「産まれては死ぬことを永遠に繰り返すこと」 「流転」は「一つの状態にとどまらず、移り変わっていくこと」という意味があります。 世の中のものは、時間とともに変化をしていくものであるということを言い表している四字熟語です。
例文
「二転三転」は、「にてんさんてん」と読みます。 「二転三転」の意味は、「状況や情勢が何度も覆ること」です。 例えば、「NO」と言ってたものが「YES」に変わったり、言っていることがコロコロ変わることを「二転三転」という四字熟語を使って言い表すことができます。 二転三転の場合、一回状況が変わるだけではなく、何度も何度もコロコロ変わるというニュアンスが強く、良くなったかと思えば悪くなり、悪くなったかと思えばまた良くなるということを、何度も繰り返すことです。
例文
「永久不変」は「えいきゅうふへん」と読みます。 「永久不変」の意味は、「どれだけ時間が経ってもかわらないこと」です。 「永久不変」は、「永久」と「不変」の2つの言葉から成り立つ四字熟語です。 「永久」は、「果てしなく続くこと」 「不変」は「変わらず、同じ状態を保つこと」という意味があります。 いつまでも変わらないことを言いあらわす四字熟語なので、「千変万化」の対義語になります。
例文
「永永無窮」は、「えいえいむきゅう」と読みます。 「永永無窮」の意味は、「いつまでも永遠に果てることなく続くこと」です。 「永永無窮」は、「永永」と「無窮」の2つの言葉から成り立つ四字熟語です。 「永永」は「永遠にいつまでも」「長い歳月にわたる様子」という意味があり、 「無窮」は、「果てしなく続くこと」という意味があります。 歳月が永遠に続くことを言い表した四字熟語でもあります。
例文
「千篇一律」は、「せんぺんいちりつ」と読みます。 「千篇一律」の意味は、「どれも同じで代わり映えのないこと」です。 「千篇一律」は「千編」と「一律」という2つの言葉でできている四字熟語です。 「千篇」は「たくさんの詩文」という意味で、 「一律」は「同じ調子で変化がないこと」という意味があります。 「その詩文も同じでおもしろみがない」という意味から、「どれもこれも同じ調子でおもしろみ がない」という意味で使用される四字熟語になりました。
例文
「千古不易」は、「せんこふえき」と読みます。 「千古不易」の意味は、「昔から、現在に至るまで変わらず、これからも変わらないこと」です。 「千古不易」は、「千古」と「不易」の2つの言葉からできている四字熟語です。 「千古」は、「大昔」という意味がありますが、この場合は「永遠」という意味になります。 「不易」は、「時代を通じて変わらないこと」という意味です。 したがって、「千古不易」は、昔から今に至るまで変わらないことをさし、なおかつ、これから先も変わらないということを意味する四字熟語になります。
例文
「常住不断」は、「じょうじゅうふだん」と読みます。 「常住不断」の意味は、「常に切れ目なく続いていて絶え間ないこと」です。 「常住不断」は、「常住」と「不断」という2つ言葉でできている四字熟語です。 「常住」は「いつもそこに住んでいる」という意味ですが、副詞的に使うと「普段・いつも」という意味になります。 「不断」は、「いつも・日頃」「絶え間ないこと」という意味です。 したがって、「常住不断」は「いつも、絶え間なく続いている」という意味になります。
例文
「一定不変」は、「いっていふへん」と読みます。 「一定不変」の意味は「何があっても変わることがないこと」です。 「一定不変」は、「一定」と「不変」の2つの言葉からできている四字熟語です。 「一定」は「決まっていて変わらないこと」という意味があり、 「不変」は「変わらず、同じ状態を保つこと」という意味があります。 したがてって、「一定不変」は「決まっていて何があっても変わることがないこと」といったニュアンスの四字熟語になります。
例文
「一本調子」は、「いっぽんちょうし」と読みます。 「一本調子」の意味は、「抑揚がなく変化がないこと」です。 一本の線をまっすぐ引くように、調子が同じで変化に乏しいことを「一本調子」という四字熟語を使用して表現することができます。
例文
「千変万化の」の英語は「ever-changing」です。 英語で言い換えると「constantly changing or developing」で、「常に変化または発達している」という意味です。
The key to survive is to adapt to the ever-changing environment.
生き残るための鍵は千変万化の環境に適応することだ。
「千変万化の」の英語表現には「shifting」もあります。 「shifting」を英語で言い換えると「always changing or moving」で、「いつも変化または移動している」という意味です。 予期せぬ変化に対してよく使用する言葉です。
I can't put up with her shifting moods.
彼女の千変万化の気分には耐えられない。
Marketing needs to catch up with shifting customer interests.
千変万化の顧客興味にマーケティングはキャッチアップする必要がある。
「千」と「万」を組み合わせた四字熟語は実は非常に多くあります。 本記事の最後に代表的なものをいくつか紹介したいと思います。
「千差万別」は、「せんさばんべつ」と読みます。 「千差万別」の意味は、「色々な種類のものが沢山あって、違いもたくさんあること」です。 「千差万別」は、「千差」と「万別」という2つの言葉から成り立つ四字熟語です。 「千差」の意味は、「多くの差別」「様々な相違」です。 「万別」は、「色々な違いがあること」です。 人を含む生き物、物などの性質や種類、機能に対して、様々な種類、違いが無数にあるということを言い表しています。
例文
「千客万来」は、「せんきゃくばんらい」と読みます。 「千客万来」の意味は、「多くのお客がひっきりなしに絶え間なく来ること」です。 「千客万来」は「千客」と「万来」という2つの言葉でできている四字熟語です。 「千客」の意味は「多くの客」 「万来」の意味は「多くの人が来ること」です。 お客さんがひっきりなしに来客している様子を表現することができる四字熟語です。
例文
「千軍万馬」は「せんぐんばんば」と読みます。 「千軍万馬」の意味は「多くの軍兵と軍馬」「戦闘の経験が豊富にあること」です。 「千軍万馬」は「千軍」と「万馬」という2つの意味からできている四字熟語です。 漢字から見てわかるように、「千軍」は「多くの軍兵」「万馬」は「多くの馬」という意味があります。 そのまま「多くの軍兵と軍馬」という意味として使ったり、「戦闘経験の豊富さ」を言い表すのに使用されますが、現代では、これらの意味から転じて「社会経験が豊かであること」を意味する四字熟語をしても使用されています。
例文
「千言万語」は、「せんげんばんご」と読みます。 「千言万語」の意味は、「非常にたくさんの言葉」「沢山の言葉を話すこと」です。 「千言万語」は、「千言」と「万語」という2つの言葉からできている四字熟語です。 「千言」は、「多くの言葉」 「万語」は「数が多いこと」という意味です。 「千言万語」は、とにかく多くの言葉を使って、あれやこれやと述べることを言い表した四字熟語 です。
例文
「千紫万紅」は、「せんしばんこう」と読みます。 「千紫万紅」の意味は、「色とりどりの花が咲き乱れること」「様々な花の色や形容」です。 「千」と「万」は、数が多いことを意味していて、「紫」や「紅」は「多様な色」を意味しています。 したがって、色々な種類の花を指す言葉になりますが、花だけではなく、色々なものに使用することができます。
例文
「千山万水」は、「せんざんばんすい」と読みます。 「千山万水」の意味は、「多くの山や川」「山や川が続くこと」です。 「千山」が「たくさんの山」「万水」が「沢山の川」という意味です。
例文
「海千山千」は「うみせんやません」と読みます。 なんとなく、「かいせんさんせん」「かいせんやません」など読んでしまいそうですが...「うみせんやません」が正しい読み方なので、読み間違いに注意しましょう。 「海千山千」の意味は「せちがらい世の中の裏も表も知っていて、老獪な人。したたか者」です。 長い年月で様々な経験を積み、世間の裏も表も知り尽くしていてずる賢いさま・したたかな人を表します。 「物事をよく知っている」ではなく、「裏の事情にも詳しい」という意味合いになります。 『そのようなことまで知っているなんて、悪い知恵が働いていますね』というイメージです。 別名「海に千年、山に千年」「海千河千」とも言います。
例文
いかがでしたか? 「千変万化」について理解していただけたでしょうか。 ✓「千変万化」の読み方は「せんぺんばんが」 ✓「千変万化」の意味は「ものごとが、さまざまに変化すること」 ✓「千変万華」は、当て字 ✓「千変万化する」「千変万化の◯◯」の形で使う ✓類語には、「変幻自在」「諸行無常」などがある