「人畜無害」という言葉をご存知ですか?「人畜無害」には、3つも意味と使い方があるのですが全てを理解する事ができている人は中々いないのではないのでしょうか。実は、「人畜無害」は悪口にもなり得る表現なので使い方には注意が必要なのです。今回は「人畜無害」の正しい意味と使い方を例文付きで解説します。また、類語や言い換え表現、英語表現なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「人畜無害」の元の意味は「人にも動物にも害を与えない」です。 「人畜」とは「人と家畜」=「人間と動物」を指します。 「無害」は文字通り「害を与えない」です。 よって、「人畜無害」の原義は「人にも動物にも害を与えない安全なもの」です。 現代で使う場合は、生活において人にもペットにも危害を加えない薬や食品などに対して使います。
例文
「人畜無害」は人に対して使うこともできます。 「人畜無害な人」といった場合、「周りの人(と動物にも)悪影響のない人。問題を起こさない人」という意味になります。 つまり、「誰に対しても害を与えることのない安全な人」という意味です。 例えば、暴力を振るったりもしなけば悪口を言ったりもしない平和な人を指します。 しかしながら、聞き手の感覚にも寄るところですが、この意味で使うのはかなり稀なので注意してください。
例文
「人畜無害な人」といった場合、ほとんどは「平凡で特に才能がなく、(人はおろか動物にさえ)良くも悪くも影響を与える力がない」という皮肉・侮辱のニュアンスになります。 簡単に言えば、「つまらない人」「取り柄のない人」という意味です。 上述した「問題を起こさない人」というよりも、皮肉として使用されることのほうが多いので目上の人などに使用するのは良からぬ誤解を防ぐためにも避けたほうが良いでしょう。 「人畜無害な人ですね」と本人に対して言ってしまうと「役に立たない人ですね」「つまらない人ですね」と言う意味で受け取られてしまう可能性が高いです。
例文
「人畜」には「人と動物」以外にも「ひとでなし」という意味があります。 「人畜」や「鬼畜」などの「畜」は「畜生」の略です。 「畜生」は「ちくしょう」と読み、感嘆語として日常的に使いますが、原義は「けだもの」です。 「人に値しない」という意味で人を罵る言葉として使用されます。 ちなみに「畜生」は元々は仏教用語で語源はサンスクリット語です。
「毒にも薬にもならない」は、「害もなく益ない」と意味で使用される表現です。 「毒」は「人に害を与えること」を意味していて、「薬にもならない」は「利益や良いことにもならない」ということを意味しています。 よって、「有害ではないが役に立つものでもない」という意味になります。 「居ても居なくても何も影響もない」=「役に立たない人」という意味で使用されることわざです。 したがって、「人畜無害」を「毒にも薬にもならない」に言い換えることが可能です。
例文
「可もなく不可もなし」は、「特に良くもなく、悪くもない」という意味です。 「可もなく不可もなし」は「可もなく不可もなく」の終止形になります。 取り立てて良いというわけでもないけれど、悪いというわけでもない=「普通」という意味の表現として使用されます。 「まあ、良いでしょう」という軽い了承の意味で使用されていたことから転じて、「特に長所も短所もない」という意味でも使用されるようになりました。
例文
「凡庸」の意味は、「平凡で特に優れた所のないこと」「取り柄がないこと」です。 「凡」という字は、「およそ(一般的)」「並(普通)」といった意味があります。 「庸」にも「用いる」「以って」といった意味の他に「常」「普通」「並である」といった意味があります。 その2つが組み合わさり「凡庸」となり、「平凡」や「凡人」である様子を表現する言葉になりました。 しかし、ただ「人並み」「ごく普通」といった意味ではなく「優れた所がない」「取り柄がない」といった意味があるので、否定的な言葉です。 言い回しとしては「凡庸な○○(名詞)」「凡庸である」「凡庸なる」「凡庸さ」などがあります。
例文
「役立たず」とは、「何の役にも立たないこと・役に立たない人」を意味する言葉です。 例えば、何のスキルも持っていなくてその場にいても何の利益をもたらすことができないような人を「役立たず」と言います。 「人畜無害」も「何の取り柄もない人」に対する皮肉として使用することがある表現なので「役立たず」は類語表現であると言えます。 「役立たず」は「人畜無害」とは違い、良い意味で使用されることはないので自分のことを「役立たずですみません」と言うことはあっても目上の人に「役立たず」と言うことはありあません。 人畜無害よりもカジュアルな表現で、日常生活で多く耳にする表現であると言えるでしょう。
例文
「そこそこ」には色々な意味がありますが、「人畜無害」の類語としての「そこそこ」の意味は「十分とは言えないが、一応満足できる程度」です。 平均的な評価に対して「そこそこ」という表現を使用することができます。 例えば、「合コン相手どうだった?」と聞かれた時に「そこそこだったよ」と答えたとすると、「物凄く良いとは言えないけれど、悪くもなかった」という意味になります。
例文
「人畜無害」の対義語は、「人畜無害」の意味をどう捉えるかによりますので、意味別に反対語を紹介していきます。
「平凡」という意味の「人畜無害」の対義語は「非凡」「異才」「天才」「並外れた才能」などがあります。 それぞれの意味は、 「非凡(ひぼん)」 ・・・ 普通より優れていること 「異才(いさい)」 ・・・ 際立ってすぐれた才能をもつ人 「天才」・・・ 生まれつき優れた才能を盛っている人 「並外れた才能」・・・人が持っていないような優れた才能 となります。 どれも、「普通より優れている人」という意味のある言葉になります。
例文
「害を与えない」という意味の「人畜無害」の対義語は「危険」「有害」「トラブルメーカー」となります。 それぞれの意味は、 「危険」・・・悪い結果を招く恐れがあること 「有害」・・・害があること 「トラブルメーカー」・・・問題を起こす人 となります。 物事や他人にとって、害を与えるという意味のある言葉が対義語にあたります。
例文
「無害」を意味する英語は「harmless」が一般的です。 より強調した意味の英語には「innocuous」があります。 「innocuous」=「completely innocuous」です。
Bill might look a little eccentric, but he is actually harmless.
ビルは少し過激に見えるかもしれないが、実は人畜無害だ。
「良くも悪くもない」を意味する英語表現はたくさんあります。
などなど。 これらの表現を使っても、「人畜無害」を表現することができます。
「troublemaker(トラブルメーカー)」の対義語「peacemaker(ピースメーカー)」です。 しかし「peacemaker」は「人々の争いを止める人」=「仲裁者」という意味なので、「人畜無害」の意味にはなりません。
いかがでしたか? 「人畜無害」という言葉の意味を理解していただけたでしょうか。 ✓「人畜無害」の元の意味は「人にも動物にも害を与えない」 ✓「人畜無害な人」は「問題を起こさない人」で褒め言葉 ✓「人畜無害な人」は「影響力がない平凡な人」という悪口で疲れることが多い ✓「人畜無害」の類語は「毒にも薬にもならない」「可もなく不可もなく」