「以内」という言葉は日常生活でも使用したり、耳にすることが多いですよね。しかし、「以内」の定義をきちんと理解できていないという人も多いのではないでしょうか。「以内」は、便利な言葉ですが誤解をされていることが多い言葉です。今回は「以内」の正しい意味と使い方を例文付きで解説します。また、類語との違いや「以内」と似た表現、英語表現も合わせて紹介しますので是非参考にしてください。
「以内」の読み方は「いない」です。 「以」は音読みで「イ」と読む漢字です。 「内」は音読みで「ナイ・ダイ」、訓読みで「うち」と読みます。
「以内」は、「基準とする値を含めて、距離や時間、数量がそれより小さい範囲」を指す言葉です。 「以」は「〜より」という意味があり「内」には「一定の範囲の中」という意味があります。 例えば「開封後3日以内にお召し上がりください」と書いてある商品があったとします。 この基準値は「3日」となります。 つまり、「開封をしてから3日目までに食べてください」という意味になります。 「以内」は、基準値を含むので開封してから3日目までは食べてOKということです。 「以内」や「以上」「未満」といった範囲を示す言葉で混乱を招いてしまうのは、やはりその基準値を「含むのか」「含まないのか」ということですよね。 「◯◯以内」の「◯◯」に入る距離や時間、数量は「含まれる」と覚えておきましょう。
「以内」を記号で表記すると「≦」です。 「≦」は数式でよく使用される「不等号」の一つで、「小なりイコール」と読みます。 「≦」は、大きさを表す不等号「<」の下に「等しい」という意味のある「=」がついています。 不等号は、口の開いている方の数字や文字が大きいことを示す記号です。 したがって、例えば「A≦5」だと「Aは5より小さい、または等しい」という意味になります。 Aは5よりも小さい数値、もしくは5と同じ数値を指すということなので、「Aは5以内の数値である」ということを指しているということがわかります。
「以内」は、上述したように基準となる数値を「含む」「含まない」で混乱してしまう人も多いです。 例えば、「明日から5日以内に振り込みをします」と相手に連絡を入れたとします。 「以内」なので「5日目まで」を含みますが、相手が「以内」の定義を勘違いしている場合4日目が終わったその瞬間に「振り込まれていないんだけどどういうこと?」と怒り出してしまう可能性があります。 なので、具体的に「◯日に振り込みます」と伝えたほうが無難です。 特にビジネスシーンでは思わぬトラブルを招いてしまわないためにも、日にちは具体的に指定 しましょう。
「以内」は、「〜以内に収める」という使い方をよくします。 「収める」は「一定の範囲内に入れる」という意味で使用される言葉です。 例えば、「毎月の食費を30000円以内に収める」といった使い方をします。 これは、食費を30000円を越えないようにするということになります。 「おさめる」の漢字には、「収める」の他にも「納める」「治める」「修める」があるので誤用に注意してください。 「〜以内におさめる」は「収める」と使うのが正しい漢字表記となります。
例文
「以内」には「それを含み、それより内側」の意味もあります。 例えば、代表的な物に「境界線以内」という表現があります。 「境界線以内」は、土地の境目の線など物事の境目を含み、その内側を指します。
例文
「以下」は、「基準となるものを含めて、それよりも小さい(少ない)」という意味がある表現です。 例えば「12歳以下のお子様のご利用が可能となっています」という文章だと、「0歳〜12歳までの子供が利用できる」という意味になります。 したがって、「以内」を「以下」に言い換えることが可能です。 ただし、「以下の通り」というように文章で使用する場合は意味合いが変わってきます。 文章で使用する場合の「以下」の意味は「それよりも後。その文章から後に述べること」です。 例:「事故が起きた原因は以下の通りです。 原因その一・・・***」 となります。 なので、文章で使用する場合の「以下」とは異なるということを覚えておきましょう。
例文
「未満」の意味は「ある一定の数に達しないこと」です。 「未」は「まだ〜ないこと」、「満」は「足りないこと」を表します。「未だ満たない」と書くように、「ある数字に達していないこと」という意味になります。 例えば、「身長140cm未満は利用禁止」ならば「身長が139cmまでの子は利用できない、140cmの子は利用できること」を表します。 このように、「未満」は基準となる数値を含みません。
例文
日程では「以内」より「まで」を使います。 「まで」には、「時間・距離・状態・動作が続いて、それが及ぶ到達点」という意味があります。 「まで」は、基準とする数値を含むので、例えば「5月15日までに提出」なら、「5月15日 23時59分」で猶予があるということになります。 ただ、ビジネスの場合はほとんどの一般企業が17時〜19時には営業を終えるので、15日の23時59分に提出したのでは遅すぎます。 基本的には会社であれば、就業時間までに提出するという考え方をします。 また、振り込みなどであれば15時までの猶予ということになるでしょう。
例文
「以来」の意味は「その時から今までずっと」です。 「以来」は基準となる時点や期間を含んで、その時からずっとという意味で使用されます。 例えば「出会って以来20年近く彼に恋心を抱いている」だと、出会った日から今に至るまで20年近く恋心を抱いているという意味になります。
例文
「以降」は「それからのち」という意味で使用します。 「以降」は、基準となる時点や期間を含んでそれより後のことを指す言葉です。 例えば、友達と約束をするときなどに「今月は忙しいけど来月以降なら何時でも良いよ」という表現をすることが多いのではないでしょうか。 この場合は、「来月を含み、それより先だったらいつでも良いよ」という意味になります。 年・月・日・時間を表す場合に使用されることが多いです。
例文
「以外」は「以」という漢字が使われていますが、「◯◯以外」の◯◯だけ含まない表現です。 「以」は「ある場所を起点としてそれより」、「外」は「一定の考えからはずれること」を意味しています。 主に「◯◯以外」という形で使い、他の名詞や動詞に付いて用います。 例えば、「いちご以外の果物であったらメロンが好き」「ホラー以外だったら何でも見る」などと言います。 これは「いちごを除いた中で一番好きな果物はメロン」「ホラーではなかったら見る」という意味です。 このように、ある事柄を取り除いた、他のものということを表す場合に「以外」を使います。
例文
「以上」は「基準値を含み、それよりも大きい(少ない)」を指す言葉です。 例えば、「5000円以上ご購入で、送料無料となります」ならば「5000円を含んでそれよりも多くお買い物いただけると、送料が無料になります」ということを表します。 この場合は、5000円でも送料が無料になります。 「以内」は、基準値を含み、それより下の範囲を指す言葉なので「以上」は対義語になります。
例文
「超え」は、「基準や数値を上回ること・優れていること」という意味で使用される表現です。 数量や限度、能力が基準を上回るという場合に「◯◯超え」と言ったり、「◯◯を超過している」と言ったりします。 例えば ①ある基準・数値を上回る。「10万人を超え」など ②自分の立場や考え方をこす。「利害を超える」など ③他よりすぐれる。「同年代を超えた」など といった使い方をします。
例文
「以内」の英語は「be less than or equal to」です。 「それより小さいか、もしくは同等」という意味です。 「less than...」だけだと「...より小さい」という意味になってしまうので注意です。 「equal」は動詞で使う場合もありますが、この表現の場合は形容詞です。
There are prime numbers that are less than or equal to 25.
これらが25以内の素数です。
期間・距離に対して使う「以内」を表す英語には「within」もあります。
We are planning to go public within five years.
5年以内に上場する予定だ。
「up to...」で「最大...」という意味になります。 「最大...」ということは「...以内」ということになります。
いかがでしたか? 「以内」について理解していただけたでしょうか。 ✓「以内」の読み方は「いない」 ✓「以内」の意味は「それを含めて、それより小さい範囲」 ✓「以内」の記号は「≦」と書く ✓「以内」は誤解を与える可能性あるので注意!