「ひとでなし」と「ろくでなし」という言葉をご存知でしょうか。「彼はひとでなしだ」「ろくでなしな奴だ」といったように使います。では、それぞれの意味についてしっかりと理解しているでしょうか。この言葉は日常会話で使うこともあまりないため、初めて聞いたという方もいるかもしれません。二つとも非常に似ていますが、何か違いはあるのでしょうか。違いを正しく知っておけば、いざというときに使うことができます。そこで今回は「ひとでなし」と「ろくでなし」の使い分けについて解説していきます。適切に知って、上手く使い分けできるようにしましょう!
「ひとでなし」・・・非情で、人としてありえない行動をする者 「ろくでなし」・・・何事にも怠けていて、役に立たない者
「ひとでなし」と「ろくでなし」はどちらも人を批判して使うネガティブな言葉ですが、意味は異なります。 「ひとでなし」は人の道から外れた行いをする者、「ろくでなし」は常識から外れた行いをする者を表します。 「ひとでなし」は「人で無し」なので、「人情や恩義がない、人道に反する」というニュアンスで、相手の人格や生き方を否定する強意的な言葉です。 「ろくではんし」は「陸でなし」と漢字で書きます。「陸(ろく)」は「真面目、きちんとしている」という意味なので、その否定形である「ろくでなし」は「真面目じゃない、きちんとしていない」という意味になります。
「ひとでなし」の意味は「人間でありながら人の道から外れた行いをする者」です。 恩義や人情を理解していない人、人間らしい心を持たず人道に反する行いをする人を表します。 漢字では「人で無し」「人でなし」と表すことができます。 人としての感情を持っていなかったり、人としてあってはならない行動をとることを表す場合に「ひとでなし」を使います。「ひとでなし」は、非情な人に対しての蔑称として用います。 『このひとでなし!』『このひとでなし!』などと使われています。 「人間らしくない」ということなので、「鬼畜、悪魔」など恐ろしいものという意味合いが込められています。 使い方としては、
などとなります。 「ひとでなし」の類語には、「畜生」「人非人」「大悪」「極悪人」「悪魔」「鬼」などがあります。 「ひとでなし」の反対語には、「聖人君子」「人格者」「情の厚い人」「賢人」「聖者」などがあります。
例文
「ろくでなし」の意味は「怠けていて何の役にも立たない者」です。 怠けて遊んでいて役立たずの人、話にならないほど使いものにならない人を表します。 漢字では「陸でなし」「碌でなし」と表すことができます。 「陸」は「性格が真っ直ぐでまともなこと」を意味します。「ない」をつけることによって「真面目ではない」という意味になりました。「真面目でない」==>「ろくな者ではない」==>「ろくでなし」ということです。 言動や態度が怠けていて駄目な人を表す場合に「ろくでなし」を使います。例えば、家庭の手伝いをしないで外で遊んでばかりいる夫に対して『ろくでなし亭主』と表すことができます。 「ろくでなし」は役に立たない者に対して、怒りや軽蔑の意味合いを込めて用います。 『このろくでなしめ!』『ろくでなしな奴め!』などと使われています。 使い方としては、
などとなります。 「ろくでなし」の類語には、「役立たず」「能無し」「落ちこぼれ」「ずるける」などがあります。 「ろくでなし」の反対語には、「真面目」「まとも」「正しい」「誠実」「律儀」などがあります。
例文
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