RADWIMPSの歌詞にもなった「揶揄」という言葉をご存知ですか?「比喩」と似ていますが「例える」などといった意味ではありません!「揶揄」の意味や使い方を漢字の語源から例文付きで詳しく解説していきます。
「揶揄」の読み方は「やゆ」です。 「揶揄う」と書くと「からかう」と読みます。
「揶揄」の意味は「からかうこと、なぶること」です。 揶揄をするということは冗談や皮肉を言ったりいたずらをして、相手を困らせたり怒らせたりして楽しむことです。 良い意味で使われることはありません。
「揶」「揄」共に、漢字そのものに「からかう」という意味があります。 それぞれの漢字の語源を解説します。
「揶」は「手へん」と「耶」という字から出来ています。 「手へん」にはいくつかの意味がありますが、「揶」に使われているのは「みずから」という意味です。 「耶」は訓読みで<よこしま>です。 それは、「耶」が「邪(ヨコシマ)な気持ち」などで使われる「邪」の俗字だからです。 そのため、「や」とも「よこしま」とも読まれています。 「耶(邪)」の意味は、「正しくない」「意見などがかたよっている」「悪い事をしようとする心」「他人に害を加えようとする心」といった意味があります。 その2つを合わせ、「自ら他人に害を加えようとする」といった意味から「からかう」という意味へと転じました。
「揄」は「手へん」と「兪」という字から出来ています。 「兪」は訓読みで<しかり>です。 「しかり」は「はい」と承諾を表すことばであり、「応答の辞」意味があります。 また、「患部を抜き取る」といった意味があり、そこから派生して癒える、という意味もあります。 それが「手へん」と合わさり「手で取り出すこと、ひきだす」といった意味となります。 しかし、それでは「からかう」にはつながりません。 なぜ「揄」という字が「からかう」といった意味になったのかというと、「揄揚(ゆよう)」という言葉が「ほめそやす」といった意味でそこから転じました。 「ほめそやす」とは「褒めそやす」と書き、「しきりに褒める、おだてあげる」といった意味がます。 それが転じて「調子に乗らせる」「からかう」といった意味になりました。 そのため、「揄」の漢字そのものが「からかう」といった意味を持つようになりました。
「揶揄」は「からかうこと」を表す名詞です。 一般的に動詞の「〜する」「〜される」を付けて使います。 人の言動や物事・現象などに対して「揶揄する(させられる)」もしくは「揶揄している」と使うことができます。 ただ「揶揄」には「楽しむ」という気持ちが含まれているからといって、楽しむためにするわではありません。 揶揄する相手に対して嫌な感情を抱いていたり憎悪の気持ちがある場合もあります。
「君の名は。」の主題歌でも話題になった、大人気バンドグループの「RADWIMPS」の曲に「揶揄」というタイトルがあります。 この曲は、自分自身のことを揶揄している曲なのでしょうか。 他人のことを揶揄しているような始まりですが、実際は自分自身に嫌気がさして揶揄しているように感じました。 ちょっぴり刺激的で1回では理解しきれない歌詞に引き込まれますね。 この歌詞に「揶揄」というタイトルをつけたことがとても絶妙です!
「揶揄」・・・からかうこと 「比喩」・・・説明するのに、他のものに置き換えたりなぞらえて表現すること 「暗喩(=隠喩)」・・・「〜のようだ」など比喩の言葉を使わずに直接その言葉をいって例えること
「揶揄」に似た言葉に「比喩(ひゆ)」がありますが、意味は全く違います。 よく見ると「ゆ」の字が違いますね。 「比喩」の意味は「物事の説明や描写のある共通点に着目し、他の物事や言葉を借りて表現すること。たとえること」です。 そのため「比喩」といった言葉自体はあまり使わず、そういった表現方法のことを指します。 それに対して「揶揄」はからかうことであり、例えるといった意味はありません。 また、「比喩」にはからかうといった意味がありません。 「比喩」を使うことで、難しい話や相手の知らない物事や情景などが分かりやすく、想像しやすくなる利点があります。 さらに、比喩表現を使うと程度や感情も伝わります。 ですが、あまりに比喩表現ばかり使っているとくどくなるため注意しましょう。
○比喩表現が使われている例文
例えば「彼女の肌はまるで雪のようだ」というと比喩表現です。 しかし、暗喩は「彼女は雪だ」などと使います。
「揶揄」・・・からかうこと 「嘲笑」・・・相手をばかにして笑うこと 「皮肉」・・・相手の欠点や弱点を意地悪く非難すること 「嫌味」・・・わざと不快な思いをさせるような言動 「軽蔑」・・・相手を見下してばかにすること
「嘲笑」は「ちょうしょう」と読みます。 この漢字は「嘲笑う(あざわらう)」とも読みます。 嘲る(あざける)とは「相手を馬鹿にしたり悪く言って笑うこと」といった意味があります。 嘲笑には楽しむといった感情はなく、ここで言う笑いも楽しくて笑うのではなく「笑いものにする」といったニュアンスが含まれます。
○「嘲笑」を用いた例文 「彼女はすぐに人を嘲笑することを辞めたほうがいい」 「嘲笑された過去から彼は自信をなくしてしまった」 「あまりの不甲斐なさに、思わず自分に対して嘲笑する」
「皮肉」は「ひにく」と読み、相手を非難することだけを意味します。 「揶揄」と違って非難する側に楽しもうという気持ちはありません。 また「皮肉」は直接的なことを言うのではなく、遠回しに相手が嫌だと思うことを言います。 意地の悪さがあり、皮肉なことばかり言う人のことを「皮肉屋」と言うことがあります。
「あまりに皮肉なことばかり言っていると、人から嫌われてしまうよ」 「彼女にあなたが遅れたおかげでゆっくり出来たと言われたけど、皮肉だったのかな」
「嫌味」とは「あえて相手に不快な思いをさせるような言動」のことです。 嫌味もはっきりと直接的に言うのではなく、遠回しであったりわざとらしく言ったりする様子を指して使われます。 褒める時に余計な一言をつけることも「嫌味」と言われます。
「上司から嫌味ばかり言われて、今日はついに言い返してしまった」 「誰かさんのせいで今日は疲れた〜と嫌味を言われた」
「軽蔑」は「相手を見下して馬鹿にすること、劣ったものみなすこと」といった意味があります。 相手を劣ったものとしてばかにすることで、言動よりも感情を指します。 ただ軽蔑した側に悪意があるわけではなく、相手に悪意があったり人に迷惑をかけるような人に対しても「軽蔑」をすることがあります。
「国籍だけで相手を軽蔑するのは間違っている」 「さすがに人の嫌味ばかり言っているあなたのことは軽蔑します」
(意味:からかって馬鹿にする)
「上司のことをおちょくるんじゃない」 「反応が面白くてついおちょくりたくなる」
(意味:相手が困ったり恥ずかしがる言葉をかけてからかう)
「付き合いたての二人を冷やかす」 「昇進した僕を後輩たちが『課長さ〜ん』と冷やかしてきた」
(意味:まじめに受け取らず冗談めかしてしまう)
「彼女の相談ごとを元気づけようと茶化したら傷ついてしまった」 「どうせ彼に話したところで、茶化されて終わる」
(意味:困らせたりいじめたりして面白がる、もてあそぶ)
「先輩はいつも新人をなぶっている」 「女性をそんなになぶっていては、いつまでもモテませんよ」
「揶揄する」は英語で、
などの動詞を使うのが一般的です。 例文です。
You must not make fun of your parents even though they are not so smart.
親がそんなに賢くないからと言って、揶揄は禁物だ。
The teacher asked her students to stop teasing Mary about her ginger hair.
教師は生徒たちにメアリーを赤毛のことで揶揄するのをやめるように言った。
科学的に正しい英語勉強法
こちらの本では、日本人が陥りがちな効果の薄い勉強方法を指摘し、科学的に正しい英語の学習方法を紹介しています。読んだらすぐ実践できるおすすめ書籍です。短期間で英語を会得したい人は一度は読んでおくべき本です!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
職場で英語が必須な方や海外留学を検討している方など、本気で英語を学びたい人にオススメの英会話教室、オンライン英会話、英語学習アプリを厳選した記事を書きてみました!興味のある方はぜひご覧ください。↓
「揶揄」について理解できたでしょうか? ✔やゆ、と読む ✔からかうことの意味 ✔楽しむ気持ちも含まれるため、「皮肉」などとは同義語にはならない ✔「比喩」とは意味も使い方も違う 用いる場面がさほど多くなくても、言葉や難しい漢字を知っておくことに損はありません。 ビジネススキルの一つとして、正しい日本語の意味と使い方を理解していきましょう!