「ご健闘」という言葉をご存知でしょうか。「ご健闘」は、上司や目上の人に対して「頑張ってください!」と伝えたい時に使用することができる丁寧な言葉です。今回は、「ご健闘」の意味と使い方を例文付きで詳しく紹介します。また、「ご健闘をお祈りします」の言い換え表現や、英語表現も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「ご健闘」の読み方は「けんとう」です。 同じ読みの言葉に「ご検討」があり、全く意味が異なるなので、メール等で打ち間違いに注意しましょう。
「健闘」の基本的の意味は、「健やかに闘う」という漢字からもわかるように、「全力で戦うこと」「屈せずに努力すること」です。 目の前に、困難に立ち向かう人がいたときに、「頑張っている人の努力が報われてほしい」という願いを込めて使用される言葉で、つまり「頑張れ」という応援の言葉と同じようなニュアンスになります。 さらに、これから困難に立ち向かわなければない相手に対して「頑張れ!」と激励する意味でも使用されます。
「ご健闘」は、「健闘」という言葉に、尊敬を表す接頭語の「お」をつけた敬語表現です。 この接頭語の「ご」は、漢字で表記することもでき、「御健闘」と表記することも可能です。 だだし、接頭語を「御」と漢字で表記する場合、かなり堅苦しい印象を与えますので間柄や場面によって使い分けるのが無難でしょう。
「健闘を祈る」は、応援するときに使用される言い回しです。 分解すると、「健闘を祈る」は「健闘」+「祈る」という言葉で成り立っています。 「健闘」は、上述したように「全力で戦うこと」「屈せずに努力すること」という意味があります。 「祈る」は、「心から願う・希望する」という意味です。 したがって「全力で戦えることを心から祈ります」という意味で「一生懸命頑張ってくださいね」というニュアンスの相手を応援する表現になります。 ただし、「健闘を祈る」では、敬語表現ではないので上司など目上の相手には使用することはできませんので注意してください。 自分と同等の立場の人物や、部下など目下の相手には使用することが可能です。
例文
目上の人や、ビジネスシーンで「健闘を祈る」という言葉を使用する場合、敬語表現に変更する必要があります。 「健闘を祈る」は、「ご健闘を祈ります」「ご健闘をお祈りします」「ご健闘をお祈りしております」で敬語表現になります。 「健闘」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた表現である「ご健闘」に、
というように、「祈る」という言葉を敬語表現に変えたものを使用することで丁寧な敬語表現にしています。
例文
「ご健闘をお祈りいたします」「ご健闘をお祈り申し上げます」という言い回しにすると、より丁寧になります。 「ご健闘をお祈りいたします」は「ご健闘」という言葉に「する」の謙譲語「いたす」の語尾に丁寧語の「ます」が付いた言葉です。 さらに「ご健闘をお祈り申し上げます」も、「ご健闘」に「お〜申し上げる」という謙譲語を使用した表現になります。 謙譲語にさらに丁寧語がついた「いたします」や「申し上げます」は、相手への敬意を払う表現となります。そのため目上の人や取引先といったビジネスシーンなど、相手に敬意を払う場面で好まれて使用されることが多い表現です。 また、「祈る」の代わりに「祈念(きねん)する」をするとより堅い表現となります。 「祈念(きねん)」は「祈り念ずること」「いのり」「祈願」を意味します。 「お祈りいたします」「お祈り申し上げます」をより改まった表現にしたのが「祈念」になります。 「祈念」は”心から祈っている”というニュアンスのため、基本的に相手の成功や活躍・発展・回復を祈るときに用います。主に「祈念いたします」「祈念申し上げます」と使います。
例文 ・今後、益々の御社ご繁栄と、社員皆様のご健闘をお祈りいたします。
「祈念」を使用した例文
病気や怪我をしている人に対しては、「ご健闘をお祈りします」という表現は使用しません。 上司や取引先の体調や怪我を案じるときには、
を使います。 「お大事になさってください」はすでに病気や怪我をした人に対して使うことが可能ですが、「ご自愛ください」はすでに病気の人には使うことができませんので注意してください。「ご自愛ください」はメールや手紙の結びの言葉として使われることが多いです。
例文
「ご健闘をお祈りします」という文章が入ったメールや手紙をもらったら、何て返事をすれば良いのでしょうか。 このような場合、相手は自分を気遣ってくれていることになるので、それに対するお礼をします。 「感謝いたします」「お礼申し上げます」などと感謝の気持ちを述べた後に、自分から相手に対しても幸福や健康を願う文章を書くのが良いでしょう。 就活では不採用通知で「○○様のご健闘をお祈り申し上げます」と書いてあるメールをもらうことがあります。(通称お祈りメール)このような場合は基本的に返信する必要はありません。 しかし、最終面接で不採用になった場合や、担当者に何かお世話になったり、親切にしてもらっていた場合は、選考してくれたことに対するお礼や今後の抱負などを簡潔にまとめて、返信するのが良いでしょう。
例文
目上の人やビジネスシーンにおいて「お疲れ様でした」と相手に労いの言葉をかけたいとき、「ご健闘お疲れ様でした」とは言いません。 そもそも「お疲れさまでした」という言葉は「目上の人が目下の人に使う言葉」であるということを頭に入れておくといいでしょう。 例えば、目上の人などが出張に帰ってきたというような場合は 「お帰りなさいませ、遠いところ大変でしたね、、、」というような声のかけかたをしましょう。 目下の人や、自分と同等の立場に声をかけたい場合は、シンプルに「お疲れ様」と声をかけ、目下の相手であれば「ご苦労様でした、大変でしたね」などの労いの言葉をかければOK。
「ご健勝」は「ごけんしょう」と読みます。 「健勝」の意味は「(相手の)健康がすぐれてすこやかなこと」です。 「ご健勝」は、ビジネスシーンにおいてメールや文書の前文や末文、で相手の健康を気遣ったり願う言葉として使用します。 例えば挨拶文で使う場合は「ご健勝のことと存じます」、結びの言葉で使う場合は「ご健勝とご活躍をお祈り申し上げます」などと使います。
例文
「ご活躍」の意味は「めざましく活動すること」「大いに手腕をふるうこと」です。 ビジネスシーンで使われる「ご活躍」は「相手の仕事における成果やその行動」を指しています。 「ご活躍」は誰に対しても使える言葉ですが、注意したいのが「ご活躍を期待しております」という表現です。 「期待する」と言うと、”相手に対して何らかの結果や成果を求める”というニュアンスになり、上から目線の印象が相手に不快感を与える恐れがあります。 目上の相手に使う場合は、「ご活躍をお祈りいたします」や「ご活躍を祈念しております」を使いましょう。
例文
「ご多幸」は「ごたこう」と読みます。 「ご多幸」は”相手の幸せを願う気持ち”を表します。 「ご多幸」の”幸せ”とは、「健康」「豊かな生活」「長寿」など様々になります。 「ご多幸」はスピーチや手紙などの締めの言葉として用いられます。 結婚式のお祝いの言葉や年賀状の新年の挨拶としても用います。 ビジネスシーンでの「ご多幸」は退職や転職などで別れるときにも使います。
例文
「頑張ってください」は、「頑張る」の連用形+「ください」で成り立っています。 「頑張る」は「どこまでも忍耐をして努力する」という意味で、「頑張ってください」は相手を激励・応援するときに使います。 「頑張ってください」は文法的には正しい敬語ですが、ビジネスシーンで目上の人に対しては使用すべきではありません。 ビジネスシーンでは、この記事でも紹介している「ご健闘」を使用する他、
というような、より丁寧な敬語表現を使用しましょう。
例文
「お励みください」「お励みくださいませ」も「頑張ってください」と同じ理由で使用を避けるべき言い回しです。 「お〜ください」で正しい尊敬表現ですが、「励む」は「努力する」「精を出す」という意味で「頑張る」の同義語です。 目上の人に努力を要請することには違和感を覚える人が多いので、「お励みください」も使用しない方がよいでしょう。
上司を口語で励ましたり、元気づけるときには、
がよく使われます。 「陰ながら」は「ひそかに」という意味で、具体的にできることは少ないが精神的な支えでありたい、というニュアンスを相手に伝えることができます。単に謙虚さを表現するために使う場合もあります。
例文
「ご自愛ください」は、「あなた自身の体を大事にしてください」という意味になります。 さらに「あまり無理しないでください」「健康でお元気にいてください」「身体を大切にしてください」といったニュアンスが含まれます。 要するに「ご自愛ください」は、相手の健康を気遣う、労りの言葉です。 「お(ご)〜ください」という形はよく使われる定型句で、相手に「何かを要望・懇願などを言うこと」を促す意味合いを持ちます。 「ご自愛」の「ご」は尊敬を表す接頭語で、「ください」は丁寧語になります。 「ご自愛ください」は正しい尊敬語となります。そのため目上の人に使うことができます。
例文
「お大事に」は、相手の健康状態を気遣い、体調の回復を願う気持ちを伝える表現です。 「お大事になさってください」の「なさってください」は、
で成り立つため、目上の人に対して使うことができます。 「お大事に」のその他の敬語表現には以下のようなものもあります。
例文
日本語の「健闘」には複数の意味合いがありますが、「よく戦うこと」の英語は「a good fight」です。
They lost the game, but it was a good fight.
試合には負けてしまったが、健闘した。
「精力的に努力すること」は「vigorous effort」です。 「vigorous」は「精力的な」という意味です。 「a lot of efforts」もよく使われます。
I've put vigorous efforts into that project.
そのプロジェクトに健闘してきた。
「ご健闘を祈ります」は「Good luck」です。 その他にも
などがあります。
「お疲れ様です」という言葉が、本来目上の人が目下の者に使用する表現であるということは上述しましたが、同じように「ご苦労様です」も、本来目上の人が目下の人に対して労う言葉です。 元々「ご苦労様」は、昔に殿様が家来に対して使った言葉と言われています。 目上の人、それも相当な立場の人が自分のために働き努力してくれた者に対して使うねぎらいの言葉になります。 したがって、目上の人に使うと失礼になりますので使わないよう注意しましょう。
「了解しました」もよく目上に対して使っている人がいますよね。 「了解」は日常会話で親しい友人に対しても使うことができる言葉です。 そのため目上の相手に対して使うと軽い印象を与えてしまうため、了解」「了解です」は当然のことながら、「了解しました」と丁寧な言い方でも失礼に当たります。 「了解」という言葉を目上の相手に使いたい場合は「承知しました」「かしこまりました」などと言い換えましょう。 目上の相手に使ってはいけない言葉ですが、親しい間柄であれば目上の者に使っても許される場合があります。
「大丈夫です」は自分よがり、「結構です」は上から目線、「構いません」は冷たい印象、という理由で目上の人には使用しない方が無難です。
などと言い換えるのがよいでしょう。
「感心する」という言葉には、 1. 感動する。深く心に感じること。優れた技量に心を動かされること 2.「感心な」で、行動や態度などが褒められるべきであるさま。 3. ひどさにあきれること。びっくりすること という3つの意味があります。 何か素晴らしいものを見て、『すごいな〜』『偉いな〜』と思うことを「感心する」と表すことがほとんどですが、上記で説明した1や2の意味で使ったとしても、上から目線な響きがあるため通常「感心する」は「ものすごく良かったと評価する」という意味で、目上の者が目下の者に使います。 したがって、「感心する」「感心しました」は目上の人に使わない方が無難です。
「ご健闘」のついて理解していただけましたか? ✓「ご健闘」の読み方は「ごけんとう」 ✓「ご健闘」の意味は「全力で戦うこと」「屈せずに努力すること」 ✓「ご健闘」の敬語の種類は尊敬語で、目上に使える ✓「健闘を祈る」は応援するときに使う ✓「ご健闘を祈ります」「ご健闘をお祈りします」「ご健闘をお祈りしております」で敬語になる ✓「ご健闘をお祈りいたします」「ご健闘をお祈り申し上げます」などより丁寧 など