「慰労」という言葉をご存知でしょうか。「慰労会」や「慰労金」など、ビジネスシーンにおいては一度は聞いたことがある言葉です。では、「慰労会」とはどのようなときに開かれる会なのでしょうか。なんとなく意味は分かっていても、説明するのはなかなか難しいです。そこで今回は「慰労」の意味や使い方、「慰労会」「慰労金」について解説していきます。「慰労」の意味を正しく理解して、上手く使いこなせるようにしましょう。
「慰労」は<いろう>と読みます。 「慰労」の意味は「なぐさめいたわること」「苦労をねぎらうこと」です。 「慰」は音読みだと「イ」、訓読みだと「なぐさめる」と読みます。 「慰」は「相手の気持ちをいたわり落ち着かせる」を意味します。 「労」は音読みだと「ロウ」、訓読みだと「いたわる」「ねぎらう」と読みます。 「労」は「心やからだを使ってそのことに努めること」「苦労・努力」を意味します。
「慰労」は「いたわること」「ねぎらうこと」を表しているので、「頑張った人たちを慰労する」「日頃の慰労を込めて〜」などと使います。 主に 「慰労する」「慰労を込めて」「慰労をかねて」などとします。 「慰労会」「慰労金」と使うこともできます。
例文
「慰労」は「なぐさめいたわる」「苦労をねぎらう」という意味なので、基本的に目上の人に使っても問題ありません。 しかし、「慰労」は相手の労をねぎらう言葉のため、目下の人に言われると違和感を感じるという人も中にはいます。 ですので、相手によっては使用しない方が良いこともあります。このような場合は「感謝の気持ちを込めて〜」や「お世話になったお礼を込めて〜」などと別の表現を用いるようにしましょう。
◯ねぎらい (意味:相手の努力に対して謝意を表すこと) 「一大プロジェクトを成し遂げたスタッフにねぎらいの言葉をかける」 ◯いたわり (意味:功労あること、ほねおり) 「激闘の試合を終えた選手をいたわる」
ビジネスシーンでは様々な場面で、大変なことが多々あります。 そのような場合には、ふとかけてくれた”慰労の言葉”が、とても嬉しかったりします。 ”慰労の言葉”を聞いて、さらに頑張ろうと思ったりもできます。 そこで今回は言われて嬉しい、心に響く”慰労の言葉”について紹介します。
「いつもありがとう」は毎回言う必要はない言葉ですが、いつも行なって当然のことでも、時々お礼を言われると嬉しく思います。 「ありがとう」は対等な立場からねぎらい、感謝されている気持ちになります。 更に「いつも」という言葉をつけると、「普段からよくやってくれていることに気が付いていますよ」というニュアンスを含めることができます。
「頑張っているね」は努力していることを認めてくれる言葉であり、この一言を言われるだけで「いつも自分のことを気にかけてくれている」という感じがします。 また、同じような言葉でも「頑張ってね」だと「努力が足りないからもっと頑張って」と上から目線な印象を与える可能性があり、ねぎらいの言葉としては不適切です。
「助かります」は「相手の助力に対してうれしい、ありがたい」ということを表します。 例えば、指示されていないことを行なったあとに「やっておいてくれて非常に助かります」と言われたとします。 自分としては、余計なことをしたかと不安に思っていた場合に「助かりました」と言われたことで、どことなく安心するような感じがします。 「助かります」は基本的に、親しい間柄の相手や目下の人に対して使う表現です。
「大事になさってください」は体調不良や病気から復活した人に対して、「あまり無理をしないでください」という意味を込めて使用します。 病み上がりの人への気遣いの言葉として、適切な言い回しになります。
ビジネスシーンではねぎらいの言葉として、よく「お疲れ様でした」を使います。 しかし、「お疲れ様でした」だと一方的な感じがでてしまうので、代わりに「お疲れになりましたでしょう」を用います。 「お疲れになりましたでしょう」とすることで、相手への気遣いを示すことができ、より一層労う気持ちが伝えやすくなります。
「慰安」は「なぐさめて心を安らかにすること」を意味します。 「慰労」も「慰安」も、どちらもねぎらうという意味の言葉です。ただ、「慰安」は「心を安らげるようにねぎらう」というニュアンスになります。 例えば、「慰安会」は日頃の労をねぎらって開かれる飲み会のことで、「慰労会」は長年頑張ってきた人に対しての苦労・努力を労う会という意味で使われることが多いです。 他にも「慰安旅行」とした場合は、企業や団体などが、日頃の頑張りや成果などを労うために行う団体旅行を表します。「慰労旅行」とは”なぐさめいたわる旅行”を表しているので、社員旅行だけでなく、家族旅行なども含まれます。 また、「慰安婦」という言葉もあります。 「慰安婦」は「戦時時に軍人相手に売春業を行なっている女性」を表します。”性的に慰めるための役職”ということから「慰安婦」と呼ばれています。 「慰安」と「慰労」は非常に似ていますが、ニュアンスが少々異なるので注意しましょう。
例文
会社を退職する場合に支払われるのが”退職金”で、この”退職金”には役員に支払われる”慰労金”という名の退職金が存在します。 「慰労金」は「労をねぎらうために贈られる金銭」を意味します。 ”慰労金”は、会社の役員のみが受け取ることができる退職金で、一般的な退職金よりも、金額が高い場合がほとんどです。役員の会社への貢献度によって、金額が変わるそうです。 退職金は、退職金規定に従って支給されます。しかし、慰労金は株主総会の決議で支給が決定されない限り、支給されないお金です。ですので、慰労金は会社が勝手に支給できないお金だということが分かります。 「慰労金」は、会社側から”よく頑張った”とねぎらいの意味を込めてもらえるお金です。 会社によって条件は異なりますが、慰労金はただ在籍しているだけでもらえるものではありません。 基本的には無遅刻無欠勤で、しっかり勤めた人だけがもらえるお金であると認識しておいた方が良いでしょう。
「慰労会」とは”成果や業績、あるいは苦労などをねぎらう会”です。 「慰労会」は皆で大きなことをやり遂げた後や大切なことを終えて、疲れを癒したり、ねぎらうときに開かれることが多いです。 以下のようなときに「慰労会」が開かれます。
いずれも会の名前は「慰労会」とはされずに、「お疲れ様会」「打ち上げ」という名前で開催されることが多いです。 また、定年退職する人に対しても「今までお疲れ様でした」という気持ちを込めて、慰労会が開かれます。 ”送別会”とも呼ばれますが、ねぎらう意味合いが強い場合は慰労会と呼びます。
慰労会を開く上では何回か挨拶をする場面があります。 最初と最後、乾杯の挨拶をします。
「慰労会」では最初の挨拶をするのは、大抵司会者です。 会社全体の会とすると、人数も多くざわざわしていることが多いです。これから会が始まるということがわかるように、開会の告知をします。 最初の挨拶のポイントとしては、
となります。
例
慰労会が始まると、乾杯の音頭があります。 乾杯の音頭は主に、上の立場の人がとり行うことがほとんどです。 乾杯の挨拶のポイントとしては、
となります。
例
慰労会では、締めの挨拶が大切になります。 開始時と違い、すでに盛り上がっている中での仕切りとなりますので、タイミングもしっかりと読んで挨拶しなくてはなりません。 締めの挨拶のポイントとしては、
となります。
例
「慰労」について理解できたでしょうか? ✔︎「慰労」は「なぐさめいたわること」「苦労をねぎらうこと」を意味する ✔︎「慰労の言葉」には、「頑張っているね」「いつもありがとう」などがある ✔︎「慰労金」は「労をねぎらうために贈られる金銭」を表す ✔︎「慰労」の類語には、「いたわり」「ねぎらい」などがある