「些か」という言葉はご存知ですか?「些か」は日常会話ではあまり使いませんが、ビジネスシーンや形式ばった会話では使ったり聞いたりすることがあると思います。 今回は、「些か」について、正しい意味と使い方を例文付きで解説します。 また「些か」と同じ読みの「聊か」との違いについてや、語源も解説します。 類語・対義語・英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「些か」は「いささか」と読みます。 万葉仮名の時代からあるとても古い言葉です。 「些か」という言葉は日常生活で使う機会は少ないですが、ビジネス文書などやや格式ばった文章で見かけます。 同じ読みの漢字に「聊か」もありますが、意味は同じです。
「些か」は「ほんの少し」「ちょっと」「わずかに」という意味です。 気持ちや物の数量、程度を主観的に表現する言葉として使います。 自己のことに対して使う場合は、建前としては「少しばかり」でも心の中では「かなり」の意味合いで用いる謙遜のニュアンスを含む場合もあります。 「些か」または「些かも」の後に「〜ない」などといった否定形を組み合わせることで、「少しも〜ない」「全くない」といった意味になります。
古語の中で、「些か」は「いささか」とひらがな表記でした。 元々の古語の「いささか」も「少しばかり」「ほんの少し」といった意味があり、今でも変わらずにそのままの意味で使われ続けています。 「些か」の「些」は訓読みで「いささ(か)」「ち(と)」「ち(っと)」です。音読みでは「サ」「シャ」と読みます。 ちなみに、この訓読みの「ちと、ちっと」は現代でよく使われている「ちょっと」の語源となっている言葉です。 「ちと早く着いた〜」などと聞くと「ちょっと」を略したように思いますが、実は「ちと」が時を経て「ちょっと」になっていたのです。 「些」という漢字は「此」と「二」から成り立つ形声文字です。 「此」の左側の「止」は「立ち止まる足の象形」を、右側の「ヒ」は「年老いた女性の象形」を、「二」は2本の線を意味しています。 この「2本の線」から転じて、「2つばかりしかない」つまり「わずか」「少し」を意味するようになりました。 現在の中国語でも「些」という文字が使われています。中国語では不定の数量を表す時に「些」を用います。「一些」として数えられるものが「少し」「幾つか」の意味になります。
「いささか」は漢字で「些か」「聊か」と表記することができます。 3つの意味と使い方に違いはありません。 「些か」「聊か」は常用漢字ではないため、「いささか」と読めない人も多くいると思います。 そのため日常で使う場合は「いささか」とひらがな表記の方が無難です。 余談ですが、サザエさんに出てくる「いささか先生」の漢字は「伊佐坂」と書きます。 本名は「伊佐坂難物」と良い、「ちょっと気難しい」といった意味でつけられているので「いささか先生」の「いささか」は、この「些か」から来ているようです。
ビジネスシーンなどで「ちょっと」「少しだけ」という表現を使うと、軽い印象を与えてしまいがちです。 代わりに「些か」という言葉を使うことによって自分の感情や状態を控えめに伝達することができます。 「些か」は文語的な文章に使うと上手く馴染みますが、堅い表現なのでビジネスメールやレポートなどに多用すると相手が違和感を感じてしまう場合があります。 そのため、類義語の「少々」「稍(やや)」「多少」「幾らか」「僅か」などもあわせて使うと良いでしょう。 また、自分自身の良い部分や得意なことに関して、謙遜さを出すために「かなり」「とても」と思っていることを「いささか」を使うことがあります。 例えば自分の成績の良さに「とても」自信があったとしても相手に「自分の成績にとても自信があります!」と、言いづらい場面があったりしますよね。 その場合に「自分の成績には、いささか自信があります」と言うことで、実際にはとても自信があっても「いささか」を使うことによって謙虚に聞こえます。 「かなり」自信があるということがストレートには伝わらず、言葉にも品もあります。 ただ「いささか」と使っている場合、そのまま「少し」の意味で使っているのか「かなり」の意味で使っているのかは話し方やシチュエーションなどによって判断するしかありません。 さらに他者のネガティブなことに関して「とても」「かなり」と表現したいときでも、「いささか」ということで婉曲(遠回しに表現する)のニュアンスを表現することができます。 例えば、「彼女は年末いささか太ったようだ」といった場合、実際には「すごく太った」と思っていても、「いささか」を使うことによって控えめに聞こえ、失礼のない表現になるということです。 それでは「些か」を用いた例文を紹介していきます。 ぜひ参考にしてみてください。
「その決断には、いささかの揺るぎもない」(否定文) 「彼は高校時代からイケメンで人気だったが、いささかも衰えておらず未だにイケメンだった」(否定文) 「あまりにも素敵だったので、いささか見すぎてしまった」(「少し」の」意) 「いささか不思議だとは思いませんか」(「少し」の意) 「数学の成績なら、いささか自信がある」(「謙遜」の意あり) 「確かに高校時代は、いささかモテていました」(「謙遜」の意あり) 「彼は昨日飲みすぎたせいで、いささか臭い」(「婉曲」の意あり) 「彼女は普段からいささか化粧が濃い」(「婉曲」の意あり)
「些か」の類語には「少々」「少し」「稍(やや)」「多少」「幾らか」「僅か(わずか)」「ちょっと」などがあります。 これらの単語は「普通の程度よりも甚だしくないこと、数量が多くないこと」を意味しています。
「些か」の対義語には「甚だ(はなはだ)」「随分」「大層」「非常に」「大変」などがあります。 これらの単語は「普通の程度をはるかに超えているさま」を意味しています。 全て物事を強調する表現で、類語と同じで後に来る言葉によって良い印象にも、悪い印象にもなってしまいます。 特に「甚だ」「大層」は相手に対して反抗的な意味合いをもつ言葉があとに来やすいので、使用する際は注意してください。 前向きなことを伝えたい場合は「非常に」「大変」を使うこと方がベターです。
「些か」の英語表現を見ていきましょう。 「些か」は「少し」という意味なので「a liitle」「a bit」「a few」などでもよいですが、「些か」は少し堅い表現なので、英語でも堅い表現で「少し」を意味する「slightly」「somewhat」がベストな英訳かと思います。 例文です。
My opinion is slightly different from what you are saying.
私の意見はあなたが述べていることとは些か違う。
I have somewhat confidence in it.
私は些かそれに関して自信がある。
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「些か」について理解できたでしょうか? ✔︎「些か」は「いささか」と読み、「ほんの少し」「ちょっと」という意味 ✔︎「些か」の「些」の漢字一字にも「わずか」「少し」「ちょっと」の意味 ✔︎「些か」のあとに否定形を伴って「少し〜ない」と全否定になる ✔︎ 自己に対して使う時は謙遜のニュアンスの場合あり ✔︎ 他人に対して使う場合は婉曲の意味合いの場合あり 丁寧な印象を与える言葉ですので、やや距離のある相手や目上の人にも使うことのできる言葉です。 社会人にとって覚えておくべき日本語のひとつとなりますので、しっかりと理解しておきましょう!