「忸怩たる思いでいっぱいです」なんて、聞いたことありませんか? 「悔しい」気持ちなのかな、などと想像した人もいるかと思います。 ですが、「悔しい」といった意味で用いるのは間違いです。 しかし誤用している人は多くいるようです。 今回はそんな「忸怩たる思い」について説明していきます。 正しい意味や使い方を例文付きで解説します。 また、類語や英語表現も説明します。 しっかりと正しく覚えましょう!
「忸怩たる思い」は<じくじたるおもい>と読みます。 「忸」が「じく」、「怩」が「じ」と読みます。 意味は、「自分の行いや言ったことについて自分で恥ずかしく思うこと、深く恥じ入る」です。 この場合の恥ずかしいとは、人前に出るのが恥ずかしいや片想いの相手に対してなど、「照れて恥ずかしい」などといった可愛らしい類の「恥ずかしい」ではありません。 もっと深刻な状況や場面において自分自身の言動を振り返り反省し、自分自身のみっともなさや情けなさを「恥じ入る」ことです。
「忸怩たる思い」はあくまで、自分自身の言動に対して「恥じ入る」ことです。 「悔しい」「腹立だしい」「憤り(いきどおり)」「悩ましい」といった意味は含まれません。 このような意味で用いられることが多いですが、すべて誤用です。 誤用される大きな要因は、やはり企業や政治家による謝罪会見での言葉によるものではないでしょうか。 「このような不祥事が起きてしまい、忸怩たる思いです」などと使うことが多くあります。 これは正しい使い方です。 しかし、その文脈から「悔しい思い」「憤り」といった意味であると勘違いしてしまうようです。 また、そういった謝罪会見を開く人そのものが「悔しい」「残念」などといった意味で使っている人も多くいます。 政治家ですら、「日本は誠実にやってきたが、あの国が無視したことに対して忸怩たる思いがある」などと誤用しています。 それを聴いている国民はそのまま「悔しい」「残念」ということを言っているのだな〜とそのまま覚えてしまうわけです。 それこそ「忸怩たる思いを抱いてくださいませ」という感じですよね、、、 「忸怩たる思い」は「自分自身の言動を恥じ入る」ことだけを表す言葉ですので間違えないように注意しいましょう。
音の響きが似ていることから、「ぐじぐじ悩む」といった意味と間違っている人もいるようです、、、、 「じくじ」から「じくじく」「ぐじぐじ」「うじうじ」などが連想しやすいためです。 「ぐじぐじ」とは、物言いや態度がはっきりとしない様子を表します。 しかし、「忸怩たる思い」には「はっきりしない様子や悩む様子」はありません。 間違えて使ったり解釈しないよう注意しましょう。
「忸怩」の「自分の言動を恥じる」といった意味は漢字の語源から来ているようです。 「忸」は訓読みで「はじる」「なれる」です。 字の意味は読みの通り「恥ずかしく思う」「慣れ親しむ」です。 「怩」も訓読みで「はじる」です。 字の意味は「恥じ入る」です。 「忸」「怩」のどちらにも「恥じる」といった意味があります。 その2つが組み合わさり「恥じる」様子を強調した言葉となりました。 また「しくじる」の語源は、「忸怩」だと言われることもありますが、これは間違いです。 「しくじる」の語源は「為崩る(しくずる)」です。 「為したことが崩れてしまう」が変化して「しくじる」となりました。
「忸怩たる思い」は、意味にもあるように自分自身、もしくは自分が所属しているところに対して使われる言葉です。 他者の言動に対して使うものではありません。 「自分自身の言動を省みて、情けなく恥ずかしい」と思う気持ちのことです。 「忸怩たる思い」の言い回しは、 「忸怩たる思いで」 「忸怩たる思いを抱く」 「忸怩たる思いがある」 「忸怩たる思いにかられる」 などです。 「忸怩たる思い」の使用場面は大別して下記の3パターンが考えられます。
「忸怩たる思い」は古めかしい印象のあるかしこまった言葉で、日常生活ではあまり使われません。 主にビジネスシーンなどで、「深く恥じ入る」ようなことが起きた際に使われます。 不始末や不祥事といったような出来事や、良い結果などを出せずなかったことなどに対する、自分自身への恥を表現するのに適した言葉です。 「この任務を期日内に終わらせられずに恥ずかしいです」と言うと子供じみた印象があります。 この場合は「この任務を期日内に終わらせられずに忸怩たるお思いです」と話した方が丁寧かつ自分自身への恥が伝わります。
上司や取引先に、自分自身や自社の不備によって問題やミス、また迷惑をかけるようなことになってしまった場合の謝罪をする言葉として「忸怩たる思い」を使う事ができます。 「忸怩たる思い」を使うことで、自分自身の言動について恥ずかしく思っている=反省していると伝える事ができます。 「このようなことを引き起こし、部長に迷惑をかけてしまう結果となり忸怩たる思いでございます」は「部長に迷惑をかけてしまい、自分がとても恥ずかしく情けないと反省しています」と誠意を持って謝罪していることを表し伝えることができます。
「忸怩たる思い」は、何か不祥事や不始末があった時の謝罪の言葉として用いることが多くあります。 企業や政治家などの謝罪会見で聞いたことがあるのではないでしょうか? しかし先ほども説明しましたが、誤用されている場合があります。 「悔しい」「腹ただしい」などといった意味は含まれませんので、使う際や言葉を聞いて理解する際には注意しましょう。 この場合は「自分自身が不祥事などを起こしたことへの、恥入る気持ち」を表しています。 しかし「深く恥じています」と言わずに「忸怩たるお思い」と政治家が使うのには、「実際には恥じていないから遠回しに言ってる」、政治家も誤用していて「腹立たしさ(=不祥事が明らかになってしまったことへの)があるのでは」と解釈している人も多いようです。。。
「同じ失敗を繰り返し、忸怩たる思いだ」 「このプロジェクトチームでは私が中心となってやるのだと思い上がっていたが、足を引っ張る結果になり忸怩たる思いでいっぱいだ」 「このような不祥事が起きてしまい、忸怩たる思いです」 「あの日のことは今顧みても内心忸怩たる思いがこみ上げてくる」 「部長にまで迷惑を掛けた今回の問題に関して、忸怩たる思いを抱いている」 「忸怩たる思いを抱きながら家路を急ぐ」
○慚愧(ざんき)に堪えない 意味:残念に思い反省すること、 恥ずかしく思うこと …自分の行いについて、深く反省し、また大いに恥を感じることを表します。 「慙愧」は「恥じ入ること」といった意味です。 元来は仏教語で「慙」は自己に足して恥じること、「愧」は外部に対してその気持を示すことです。 (例文) 「このような事態になり、慚愧に堪えない」 「今回のことはまことに慚愧に堪えない次第である」 ※主に、ビジネスシーンや厳粛な場面で用いられる表現です ○恥じる 意味:自分の過ち・欠点・罪などを悟って面目なく思うこと ○恥じ入る 意味:深く恥じること、非常に恥ずかしいと思うこと ○羞恥心 意味:恥ずかしく思うこと、内からわき上がるような恥ずかしさ
○誇る 意味:優れていると思って得意になる、誇示すべき状態にある ○誇らしい 意味:得意になった気分に満ちていること、誇りに思って人に知らせたい気持ちである ○鼻が高い 意味:誇らしい気持ちであること、得意であること ○得意気 意味:得意そうなさま、誇らしげなさま ○光栄 意味:名誉であること、栄えあること
「忸怩たる思い」の英語を見ていきましょう。 「忸怩たる思い」は「恥ずかしい」という意味なので、 be ashamed of/to/that... を使うとよいでしょう。 「恥ずかしい」を意味する英語にはもう一つ「embarrassed」があります。 「ashamed」は「社会的に正しくないことをした自分に対する恥ずかしさ」を表し、「embarrassed」は単純に「他人に見られて・知られて恥ずかしい」という感情を示します。 よって、「忸怩たる思い」というニュアンスでは「ashamed」が適切と言えます。
I'm so ashamed that I've made the same mistakes over and over again.
何度も同じ失敗を繰り返し、忸怩たる思いだ。
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「忸怩たる思い」について理解できたでしょうか? ✔「忸怩」は「じくじ」と読む ✔「自分自身の言動を省みて深く恥じ入る」こと ✔「悔しい」「腹ただしい」などといった意味は含まれない 「忸怩たる思い」という言葉を使う場面にならないことが望ましいですが、用いる場面では正しい意味を理解して使いましょう。