「熟考」と「熟慮」という言葉をご存知でしょうか。「熟考を重ねる」「熟慮する」などと言います。では、「熟考」と「熟慮」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。2つとも「熟」という漢字が用いられているということもあって、違いはなさそうに思いますよね。しかし、それぞれ意味が異なります。何気なく使ってしまっている、という方も多いかもしれません。正しく使い分けるには、適切に意味を知っておく必要があります。そこで今回は「熟考」と「熟慮」の違いについて解説していきます。違いを覚えて、使い分けできるようにしましょう!
▶︎「熟考」・・・十分に考えること ▶︎「熟慮」・・・十分に考えをめぐらせること
「熟考」と「熟慮」の意味は非常に似ています。「熟考」と「熟慮」は同義語で意味は同じであると解釈しても誤りではありません。 あえて「熟考」と「熟慮」の違いを見出すならば、それぞれの漢字の意味の違いを認識する必要があります。 まずはじめに、「熟」は「十分に」「よくよく」という意味になります。 「考」はそのまま「考える」という意味です。 「慮」は「考えをめぐらせる」という意味になります。 「考」と「慮」は類似の漢字になりますが、「めぐらせる」という意味合いが「慮」には加わっている点で異なります。 「めぐらせる」とは、「多方面から、様々な方面から物事を考える」という意味です。 つまり、「熟慮」は「種々の状況や条件、人の意見などを加味して十分に考える」と言うことができます。「熟考」は単に「十分に考える」という意味になります。 「十分に考える」の「十分に」という部分に、「色々な方面から」というニュアンスも含まれると解釈することも可能です。 そのように解釈した場合は「熟考」=「熟慮」ということになります。 言い回しを見るとこの2つの熟語のニュアンスの違いがより明確になります。 「熟考」は「熟考を重ねる」という表現をよく使います。「熟考」は単に「十分に考える」ことなので ”重ねる” ことが可能です。一方で「熟慮」は「あらゆる方面から十分に考える」ことなので、"重ねる" ことはできず、「熟慮を重ねる」という表現は不自然です。「熟慮」だけで「あらゆる方面から」という意味合いが含まれているので、「重ねる」という表現と一緒に使うと、意味がクドくなってしまうからです。厳密に言えば、「熟考を重ねる」=「熟慮」になります。 また「熟慮」は「熟慮の末」という言い回しをよくするのですが、「熟考の末」とは言いません。「熟慮」は「あらゆる面から十分に考えている」ので、これ以上考える余地がありません。なので「終わり」を意味する「末」を使うことができます。しかし「熟考」にはまだ考える余地があるので「熟考の末」とは言わず、「熟考の上」と表現とします。
「熟考」は<じゅっこう>と読みます。 「熟」は音読みで「ジュク」、訓読みで「うれる・にる・なれる・つらつら」と読みます。 「熟」は「十分と。たっぷりと」を意味します。 「考」は音読みで「コウ」、訓読みで「かんがえる」と読みます。 「考」は「かんがえる。計算に入れる」を意味します。 「熟考」の意味は「十分に考えること」です。 ビジネスシーンで見聞きすることが多く、「熟考」は「判断や決定に間違いがないように念を入れて深く考える」というニュアンスで使います。何か重要な決断をする際に使うのが自然です。意思決定を間違えても取り返しがつくならば、わざわざ「熟考」する必要はありませんよね。 言い回しとしては、
などとなります。 「熟考」の類語には、「深く考える」「思慮に思慮を重ねる」「吟味」「検討」「考慮」「勘案」「考えに耽る」などがあります。
例文
「熟慮」は<じゅくりょ>と読みます。 「熟」は音読みで「ジュク」、訓読みで「うれる・にる・なれる・つらつら」と読みます。 「熟」は「十分と。たっぷりと」を意味します。 「慮」は音読みで「リョ」、訓読みで「おもんぱかる」と読みます。 「慮」は「どうするのが良いかあれこれと思い巡らすこと」を意味します。 「熟慮」の意味は「あらゆる方面から十分に考える」です。 「熟慮」も「熟考」と使う場面は似ています。 ビジネスシーンで物事を決定する際に、「落ち度がないように色々なことに思い巡らして意思決定を下す」という意味合いで使います。 言い回しは、
などがあります。 「熟慮」の類語は「熟考」と同じで、「よくよく考える」「思い巡らす」「思索」「思案」「考え抜く」「再考」「熟思」などになります。
例文
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