ビジネスシーンで、「老婆心ながら...」と上司や先輩からアドバイスだったり忠告を受けたことはありませんか。なんとなく「老婆心ながら」という言葉を聞いたことがあると思います。しかし、「老婆心ながら」とはどういった意味なのでしょうか。「老婆の心」とは何を表しているのか、いまいちピンときませんよね。また、自分が使うとして、目上の人に対して使うことができるのでしょうか。そこで今回は「老婆心ながら」の意味やビジネスでの使い方、類語、「僭越ながら」との違いについて解説していきます。意味を正しく理解して、上手く使いこなせるようにしましょう。
「老婆心ながら」は<ろうばしんながら>と読みます。 「老婆心ながら」は必要以上に気遣ったり心配したりして、余計かもしれない忠告を言う場合などに用いられる表現です。 「老婆心」は「年とった女の親切心がすぎて不必要なまでに世話を焼くこと」「必要以上な親切心」という意味で、主として自分の忠告などをへりくだっていう語です。 「ながら」は「〜にもかかわらず」「〜ではあるが」という意味で、内容の矛盾する二つの事柄をつなぐ意を表します。 おばあさんが、心配心から自分の子供や孫に色々口出しをすることがありますよね。 そういう場合に、「親にとっては、幾つになっても子供は子供である」と言ったりします。 心配するつもりで口出しをするのはとても良いことですが、時にそれがお節介となることがあります。 必要以上のお世話を焼いたり、度を越してあれこれ気を使うことを「老婆心」と表現します。 「老婆心ながら」は「余計なお世話で、申し訳ありませんが」という意味になります。 「あなたより人生経験が長い私の話を聞いてほしい」といったニュアンスです。
「老婆心ながら」は目上の人には使いません。 基本的に、「老婆心ながら」は目下の人・自分よりも若い人に何かを忠告するときに使うので、目上の人に使ってしまうと失礼にあたります。 例えば、「老婆心ながら言わせていただきますが、社長の意見には社員から不満が出るかもしれません」という使い方は誤用です。 このように経験豊富な目上の人に対して使うと失礼なので、注意するようにしましょう。 目上の人には「僭越ながら」を使うのが良いでしょう。「僭越ながら」については下記で紹介します。 また、家族や親しい間柄の相手に対してもあまり使いません。親しい相手などに対しては、「ちょっと言わせてもらうけど」「ちょっと言いたいことがあるのだけど」などと言うようにしましょう。
目上の人に使える表現
*意見を述べた後で、場の雰囲気が悪くなってしまった時は「出過ぎた真似をいたしまして....」「出過ぎたことを申しまして....」などと和らげる言葉を言ってから謝るようにしましょう。
男性も「老婆心ながら」という表現を使うことができます。 「老婆」は女性のことを指しているので、男性が「老婆心」を抱くというのも奇妙な感じがしますが、「老婆心を起こしているようで申し訳ないが」という言い回しを略した意味のため、自分が女性であることを主張するニュアンスは含まれません。 ちなみに、「老爺(ろうや)」という言葉はありますが「老爺心」という言葉はありません。ですので、「老爺心ながら」という表現も存在しないので間違って使ってしまわないようにしましょう。
「老婆心ながら」は目下の人に何か忠告したことがある場合や、お節介もしくは余計なお世話かもしれないが伝えたいことがある場合に使います。 「色々とお節介なことを言うけれど」と口うるさいと思われることを見越しての使い方と、「色々と心配しすぎかもしれませんが」と自分がへりくだった使い方ができます。 「老婆心ながら」は”クッション言葉”のようなものです。この表現を使うことによって、物事を柔らかく伝えることができます。自分をへりくだっている言葉でもあり、反論をさせないための言葉でもあります。 はっきりとマイナスなことを指摘してしまうと、相手にきつく聞こえてしまうので、「老婆心ながら」を使います。「老婆心ながら」には「これは理解してほしい」という気持ちが込められます。 例えば、「老婆心ながら言わせていただきます」といった場合は「余計なお世話かもしれませんが言います」という意味になります。
言い回し 「老婆心ながら一言」 「老婆心ながら申し上げます」 「老婆心ながら心配....」 「老婆心ながら忠告させてもらうと」 「老婆心ながら言わせてもらえば」 「老婆心のような物言いをしてすみません」
例文
「老婆心ながら....」と言われたときは、大体何かを忠告してもらったり、アドバイスをもらったということになります。 ですので、その場合はお礼の言葉だったり、理解したという旨を言うようにしましょう。 「老婆心ながら...」と言われたときの返答としては、
などと言いましょう。 内容について質問や疑問に思う部分がある場合は、「その内容についてもう少しお聞きしてもよろしいでしょうか」などと言います。
「僭越(せんえつ)」は「自分の身分・地位をこえて出過ぎたことをすること」「そういう態度」「でしゃばり」を意味します。 「僭越ながら」は「失礼を承知の上で、出過ぎたことをいたしますが」「身の程をわきまえず、申し訳ありませんが」という意味になります。 「僭越ながら」は出過ぎた行動をするときや、意見を伝える場合に「申し訳ありませんが」といった意味合いで使います。 例えば、「僭越ながらお話させてください」と言った場合は、「自分のような者が出過ぎた真似をして申し訳ありませんが、お話をさせてください」という意味になります。 「僭越ながら」は目上の人に意見するときや、ただの会話でも形式的に謙虚さを表現するためなどに使われます。その他にも、大勢の人の前でスピーチするときなど謙虚さを表すときによく使用します。 「老婆心ながら」は目上の人に使えませんが、「僭越ながら」は目上の人に対して使えます。
▶︎「僭越ながら」・・・身の程をわきまえず、申し訳ありませんが ▶︎「老婆心ながら」・・・余計なお世話で、申し訳ありませんが
例文
「老婆心切」は「年取った女性が必要以上に世話を焼くこと」「慈愛の心が深く厚いこと」を意味します。 「切」は「その程度が並み並みでないさま」といったように、非常に想いが強いことを表します。 「老婆親切」とも書きます。 元々は仏教用語で、本来は「老婆のような愛、誰にでも親切」を意味していて、皆そのような心を持ちなさいという教えでした。 「老婆心切から忠告する」「老婆心切からアドバイスする」といったように使います。
お節介ながら (意味:かえって迷惑になるような余計な世話を焼きますが) 「お節介ながら、今回の計画は無しにした方がよろしいのでは」 念のため (意味:いっそう注意するため。確認のため) 「念のためにもう一度調べ直す」 蛇足ながら (意味:説明などに際して一言、何事かを付け足して言う場合のへりくだった表現) 「蛇足ながら、もう少し最初から整理した方が良いと思います」 余計なお世話ですが (意味:不必要なお節介かもしれませんが) 「余計なお世話ですが、その衣装よりもこちらの商品のほうがお似合いです」 差し出がましいですが (意味:おせっかいなことだとは思いますが) 「差し出がましいですが、このお話は辞退なさった方がよろしいかと」 しゃしゃり出ますが (意味:厚かましくでしゃばりますが) 「しゃしゃり出ますが、もう少し良い提案はありますか」
「老婆心ながら」に該当する英語表現は存在しません。 英語で目下の者で何かを忠告したり助言するときは、前置きは必要なく直接的に発言しても問題ありません。 逆に目上の者に何かを発言するときは、
などと言うのをおすすめします。
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「老婆心ながら」について理解できたでしょうか? ✔︎「老婆心ながら」は<ろうばしんながら>と読む ✔︎「老婆心ながら」は「余計なお世話で、申し訳ありませんが」という意味 ✔︎「老婆心ながら」は目上の人ではなく、目下の人・自分よりも若い人に使う ✔︎「老婆心ながら」の類語は、「お節介ながら」「蛇足ながら」などがある